105話
下駄箱で靴を履き替える、っていう難しいミッションをこなした。
よくぞ突破できた物だ。
ぼくは里香と手をつないで廊下を渡り……。
教室の前にやってきた。
前は、ここ来るのすごいいやだった。
クリスマスの日、元カノを含め、クラスメイトたちから、いじめられたから。
でも今は、ま、どうでもいいや。
「じゃ、いこっか、里香、ダリア」
「うん!」
「いやいやちょい待って」
あれ、ダリアが呼び止めてくる。
なんだろ?
「あーしは行けない」
「そんな! どうして? クラスに入りにくいとか?」
「違うからあーし、隣のクラスだから」
「あ」
そ、そうだった……。
ダリアは別のクラスだった。ぼくと里香とは別の……。
「そう、だったね……残念……」
せっかく三人で楽しい、学校生活が送れるとおもったんだけどなぁ。
三学期も残り少ないけど。
「またすぐあえるよ」
ダリアは小さく息をついて、でも、笑顔でぼくの頭をなでる。
「そうだね。じゃああとで」
「うん、あとで。里香たん、お兄ちゃん、あんまり……あー……なんでもね」
何の忠告をしようとしていたんだろう。
わからないけど、ぼくらは手を振って、ダリアと別れた。
さて、気を取り直して、里香と手をつなぎ、ぼくは教室の中にはいるのだった。




