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07



一通り奴隷を見て回ったイザベルは再び、個室へと戻ってきた。




「勧めてくれた奴隷3名を買おう。これで金は足りるか?」



そう言ってイザベルは、金貨3枚を差し出す。



イザベルが差し出した金貨を見て、パブロは浮かべていた笑みを更に深めた。



「公爵様、ありがとうございます。すぐに奴隷を連れて参りますね」







そう言って出迎えた若い従業員が3名の奴隷を部屋へと連れてきた。


栗色の髪の男は変わらずに目を閉じている。赤髪の男はこちらを真っ直ぐに見つめていた。そして、黒髪の男は下を向き俯いたままだった。



「公爵様、制約の方はどうなさいますか?」


パブロは奴隷紋につける制約についてイザベルに尋ねる。



「私に逆らわない、私を傷つけない、私に嘘をつかない、自死を禁ずる。…これで頼む」


「かしこまりました。それではこちらに」


そう言って呪文が書かれた契約書の上にイザベルは血を垂らした。



すると3人の首元にはくっきりと奴隷紋が浮かび上がった。




「こちらで、この者たちは公爵様と正式な奴隷契約が結ばれました」


パブロは機嫌良く言う。




「イザベル・マルシャンだ。お前たちは今日から私のモノである」


イザベルは宣言する様に3人へと言葉を放った。


そしてまた、来た時のように再びローブを深く被り直した。



「店主よ、また近いうちに来る」



「ええ公爵様。またのご来店をいつでもお待ちしております」



パブロは変わらずに態とらしい笑みを最後まで浮かべたままイザベルたちを見送った。











奴隷商館を出た後、イザベルはこの奴隷たちが来ている奴隷服が余りに汚く、このまま屋敷に入れたくなかったため、服屋を探していた。



そうして偶然見つけた服屋に入る。

3人の奴隷たちも何も言わずに、ただイザベルの後を着いてきた。




いらっしゃいませと迎える店員を横目にイザベルは3人へと向き直った。



「お前たち、これから着る服を早く選べ」


イザベルにとっては大した言葉ではなかったが、3人は驚いた表情を浮かべ固まった。



「何をしている?早く選ばぬか」


イザベルは固まった3人を見て、急かすように言葉をかける。




「…ご主人様、私共に服を与えてくださるのですか?」


栗色の髪の男がおずおずと戸惑いながらイザベルに尋ねる。




イザベルは彼等が何に驚いているのか、何に戸惑っているのか全く持って理解ができなかった。


そして貴族として育ってきた彼女は見当違いな言葉を言い放つ。




「ふん。お前らの様なものたちが服を仕立てて貰えるとでも思ったのか?お前たちには既製品で十分だ」




イザベルの言葉を聞いても彼等は全くもって理解が追いついていなかった。




奴隷として生きてから、1度だって新しい服を与えられた事はなかったのだから





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