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あれから驚きに目を見開き戸惑うリアムに、事のあらましを説明する。


経緯を理解はしたが、すぐに受け止めきれないリアムはその言葉に頷くしかなかった。





ご主人様以外の主人となる人間がこの屋敷に住む


それもご主人様の子供になるというのだ



リアムはどう受け止めてよいのか分からなかった









そして夕食の場でリアムの告げたその事実は、奴隷たち全員を驚かせるには十分すぎた







――――――――――――――――――――――――






その手紙の内容はあまりに早急だった。


『1週間後にその子供をマルシャン家に連れていく』


こちらの都合も聞かず、一方的に告げられた連絡にイザベルは腹が立ったが、

彼らの態度は一度目の人生と何ら変わらなかったため、対して気にしないことにした。


かつてイザベルが捕えられたその時に、彼らにすぐに手の平返しされたのだ。


そんな相手に使う時間はイザベルにはなかった。






『コンコンコン』


ドアをノックした後、すぐにノアの声が響き渡った。



「ご主人様、到着されました」



「わかった。行こう」


ドアを開け、言葉を放ったイザベルの後にノアがそのまま静かについてきた。








――――――――――――――――――――――――




『ガチャ』



応接間のドアを開け部屋へと足を踏み入れたイザベルは部屋の中を見渡し、少し驚いた。



部屋の中には保護者も従者も誰一人おらず、10歳に満たない子供。


ただ一人だけが部屋の中でイザベルの訪れを待っていた。



「っ!」


ドアの開いた音に子供はびくっと身体を震わせて、即座にソファから立ち上がり振り返る。



イザベルとその子供の目が合う


不安。そして恐れ


こちらに怯え、機嫌や様子を窺うような眼差しである。





「私がイザベル・マルシャンだ」


イザベルがその子供の前の席に腰掛け、名を名乗る。


「…ゆ、ユーリ・ロペスです」


目の前でユーリと名乗ったのは、ダークグレーの髪を持ち、いささか痩せ気味の印象を受ける子供だった。



「座りなさい」


イザベルの言葉にまた身体をびくっと震わせたが、言われるがままソファへと浅く腰掛けた。


こちらに怯えるかのように身を縮こませ、俯いていた。




こんな子供だっただろうか?


イザベルは思い返すが、この子供に対しての情報をほとんど思い出せなかった







それも当然である。


子供がマルシャン家に来たのはイザベルが死ぬ半年前だ。

しかし、実質この子供と過ごした期間は3か月ほどである。



イザベルは子供と共に屋敷で3か月過ごし、その後捕らえられ牢獄で1人最後の3か月を過ごし、火あぶりに処され死を向かえるのだ




そしてかつてのイザベルは、目の前の子供と深く関わろうとしなかった。





しかし、再びこの時を迎えることになったからこそ、

今この瞬間に、イザベルは自分の過ちの重さを思い知る。






あの時のイザベルは自分の事だけで精いっぱいだったのだ


24歳という若さでたった一人で公爵家を守り、その身を犠牲にしながら祈りの儀式を行う


誰一人としてそれを気遣い、寄り添い、助けようとする味方のいなかった


そんなイザベルを誰が責められるのだろう






しかし、今ここにいるイザベルはその事実を理解し、後悔と自身の責任の重さが全身にのしかかる






立場的にはマルシャン公爵家当主であるイザベルの養子となったユーリ



イザベルが死んだ後、10歳だったこの子は、たった一人でその重責を背負ったのだろう




祈りの儀式を一人で乗り越え、周囲の貴族や従者と戦う術も知らずに…






この幼い子供に


自身の息子(養子)に、私は、何か一つでもしてやることはなかったのだ

































イザベル後悔回です。

(※ユーリが来てからの時系列の記述が分かりづかったため、微修正しました)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ユーリが来てから死ぬまでの期間ですが、48話では半年、49話では3ヶ月となっているのですがどちらが正しいのでしょうから
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