04
その後何度も縋ってくる使用人達をやっとの事で全員屋敷から追い出すことに成功した。
そこで、イザベルはやっと安堵の息をつくことができたのだ。
もうすっかり日は沈み、夜空に星が煌いていた。
「…生きている、…私は今、生きているのだ」
思わずそう口に出し、普段なら絶対にしないはずのベットに飛び込んだ。
そう、これで良い。
私は何一つ間違っていない。
裏切り者の使用人達全てこの屋敷から追い出し、私から引き離す事に成功したのだ。
人がいなくなった広い屋敷は物音一つしない。
しかし、今のイザベルにとってはこの静まり返った屋敷に1人でいる事が最も心地よかった。
疲れた。
酷くひどく疲れた。
イザベルは猛烈な睡魔に襲われ、深い深い眠りへと落ちていった。
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窓から差し込む暖かな光でイザベルは目が覚めた。
昨日はベットに飛び込んだ後すぐに眠ってしまったようだった。
カーテンすら閉めていなかったので陽の光が部屋中に差し込んでいた。
充分な睡眠をとり、身体と心を癒した事でようやくイザベルはこれからの事をゆっくりと考える事ができる様になった。
―これから、どうするべきか―
1人でこの屋敷で生きていく事は中々に難しい。
イザベルは幼い頃から貴族であったため、ずっと使用人達に身の回りから、料理掃除等全て世話をされる事が当然の生活であった。
もう一度新たな使用人を雇う?
いや、この者達が私を同じ様に裏切らないとは考えられない。
―もっと、何か、私を絶対に裏切らない存在はないか―
その時、ふと思い出した。
とある貴族が連れていた虐げられながらも、従順に付き従う奴隷の存在を。
そうだ、奴隷。
奴隷を買って、そいつらに世話をさせればいい。
金ならある。金ならいくらでも。
それに聞いた事がある。
奴隷は制約によってその身を縛る事ができると。
ならば、私を絶対に裏切らない制約をつければ!
そうすればあの使用人達の裏切りから始まったあの結末を避ける事ができるはず…
イザベルの心は既に決まっていた。
奴隷を買うと。