表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/65

01




なんでなんでなんで!

死にたくない、死にたくない





汚い粗末な服を着せられ、一人の女が十字架に縛り付けられ今にもその身に火をつけられる寸前のところだ。


自身の潔白を主張しようにも潰された喉では、小さな息を吐きだす音しか出すことが出来ない。

その小さな音すら、周囲の罵声の声にかき消される。



「この悪女め!」


「早く殺せ!」





なんで、なぜ?

なんで自分は火にかけられているのだ?


死にたくない、だれか誰か誰か、誰かお願い助けて…




火あぶりにされる1人の女。


それを囲むように群衆はその火あぶりの様子を見て彼女を罵倒し、石を投げるものまでいた。




熱い苦しい。

熱い熱い熱い苦しいのに、息ができない。


なぜ誰も助けてくれない?私が何をしたのだ?





目に映るのはあらゆるものを焼き尽くす炎




そして自身を見てあざ笑う


聖女


そして、かつての使用人たち







ああ、ああ、



あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




こいつらに陥れられた、ハメられた、騙された。




許さない。許さない許さない。絶対に許さない。

私を陥れたこいつらは絶対に許さない。






お願いお願いお願い、誰でもいい。

誰か誰か!


死にたくない死にたくない!だれか誰か誰か、誰かお願い助けて…





燃えたぎるようなその憎悪は、彼女の心を最後まで蝕み続けた









――――――――――――――――――――――――






スアレス国の公爵家の1つであるマルシャン家。

マルシャン家当主のイザベル・マルシャン。24歳の女当主である。


マルシャン家は領地を治めているわけでも王宮に仕えているわけではない。


それにかかわらず、王家に次ぐ公爵という地位を得ている所以は、マルシャン家は邪を清浄化できる力を持つ家だからだ。


その唯一無二の能力の故、領地を治めずとも、国にはびこる邪を清浄化することにより、高い地位と国から多額の金銭を受けていた。






マルシャン家当主のイザベルは今まで自身に起きていた全ての事を思い返した。





自身がいずれ悪女とされ火あぶりにされ、殺されること



聖女という女が現れ、自分を陥れること




そして今このマルシャン家に仕える使用人たちに裏切られること





そう、それは何の因果か




あの火あぶりにされた日から、2年前の自分に戻っていたのだ











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ