第1話 追放
新連載です。
何故か真面目に書いてしまったギャグ作品ですが、頑張りますので面白かったなら応援をお願いします。
「……俺が……パーティから追放…………?」
ある日、突然パーティリーダーのリドーから信じられない言葉を突き付けられた時、俺――ベン・モーレル――は動揺を浮かべずにはいられなかった。
「悪いが……それが、お前以外、パーティ全員の総意だ」
「なぜ! なぜだ!? 俺はずっとパーティに貢献してきた! この前だって超大型モンスターを俺のスキルで止めていたから倒せたんじゃないのか!?」
俺の役割は妨害専門。どれだけ強力なモンスターであっても、俺の力を使えばその場に留めておく事が出来る。この戦法を使って俺達パーティはSランクまで駆け上がってきた。
そんな俺が居なければきっと困る筈……ッ!!
「勿論、お前の貢献度は確かに高い。……しかし、邪魔者でもあるんだ」
「俺が……邪魔者……?」
考えもしなかった言葉に思わず身体が固まる。俺はパーティの事を第一に考え、自分が汚れるのも厭わずここまで必死に尽くしてきた。なのに……。
「どこが、俺のどこが邪魔者だって言うんだ!?」
そして、リドーは観念したのか、俺にその理由をハッキリと告げた。
「お前のスキル【ベン・E】は相手の腹を下す事の出来る超強力なスキルだ! けれど、使用した後の後始末を考えれば正直精神的疲労が酷いんだよ!!」
「そ、そんな……、確かに糞を漏らしたモンスターからの素材剥ぎ取りなどを含めたその場の処理は大変だし、臭いし、街に戻った後に嫌な顔される事もある。けれど、大型モンスターを確実に足止め出来る超強力なスキルなんだ! 違うのか!」
「その処理が最悪に面倒臭いんだ! つうかSランクパーティであるにも関わらず俺達が周囲から扱いが酷いのはその所為なんだよ! 《これが本当の糞パーティ》とかって言われてるんだぞ、俺達は! しかも俺達には女性のメンバーも多い! つうか俺とベン以外は女だ! あいつらの苦労も考えて――――――――ぐおぉおおおおお!!!!!」
「こんなに……こんなに便利で、相手をその場で足止めさせ、あまつさえ簡単に隙を作れるスキルなのに、か?」
俺が対象を定めてスキル【ベン・E】を発動すると、途端にリドーは苦しみ始める。
「ぐぉおおおおお、やめ、もれっ、漏れるぅうう!!!! お、お前!! そ、そういうところもだぞ!! ちょっと口論になった時にすぐスキルに訴えかけるのマジ辞めろ! どれだけ鬼なんだ、お前はぁあああ!?」
「それは…………ああ、あれだ。お前が今朝食った茸にでも当たったんじゃないのか?」
「ぐぅううう……しらばっくれる、な。はぁはぁ……ぐぅうう!! 待って、ホント、待って、お願いしますぅうう!! あと、十秒、いやあと五秒で漏れ、ぐぅううううう!!! ――――はッ、はぁはぁ……」
俺がスキルを止めてやると、リドーは脂汗を大量に吹きながら、息を整える。
「と、とにかくだ!! お前はパーティからクビだ!! どこへなりとも行ってしまえ!!!」
「…………分かった」
こうして俺はパーティを抜ける事になってしまった。