第5話 取っ掛かりを考える
深夜投稿失礼します。
人間関係を濃くするとは言ったもののどうしようか。
今、まさに受験前。自分も受験勉強しないといけない時期である。ということは他の人も自分の望んだ高校に入ろうと時間を惜しみ受験勉強している訳だ。今更、連絡先交換したりしても頻繁な連絡は迷惑になってしまう。この時期に邪魔をして迷惑だけはかけたくない。
うーむ。この高い壁、如何に崩すか。
まずは情報を仕入れよう。誰がどの学校に入ろうとしているのか。人にそこまでの興味を抱いていなかった自分はそれすらも全く、同じ部活だった人たちがどこに行くかすらまともに聞いたことは無かった。どの高校に行くかぐらい聞いてもそんなに迷惑ではないだろう。
今日は土曜日、一応メモするための紙をワードでちゃちゃっと作って準備する。来週には卒業テストがあるから放課後には聞けないだろう。月曜日、出来る限りの人に聞いてみるか。
だが、ただどこの高校に行こうとしているかを聞いたところでそれで終わってしまう。かといって頑張ろうにも積極的に意思疎通を図る時期ではないこの時期に、迷惑をかけずにコミュニケーションを図るにはいったいどうしたらいいのだろうか。
そうだ。もう専願で私立受験をしている奴やスポーツ推薦で公立受験をしない人達がいるではないか。
とは、いいつつも誰がどの高校受験するか分からない自分にそういう人達がクラスにいることぐらいは分かっていたとしても、誰が専願で私立受験をし終わってるかスポーツ推薦で行く高校が確定している奴が誰かすら分からない。結局は全員に聞くしかないか。
こう自分を振り返ってみるとなんか周りのこと知らなさすぎな気がするなぁ。誰が誰と付き合ったかなんてまったくもって知らないし、つい最近学年集会でこの学年でいじめがあったと先生が言っていたのを聞いて寝耳に水だった。
クラスでいじめられる奴は、少なからずいじめる奴らから関心を持たれたからいじめられているが、自分なんか親と同じように自分ではそんなもの出していないつもりでも何か近寄りがたい空気を纏っているらしいし、そもそも微塵も関心を持たれない人間は友達の数が少ない代わりに全くいじめられることもない。あんまりクラスの人たちの人間関係に関心を持っていないから誰が誰を嫌っているとか少しも知らない。部活の人とは全員友達なのだがやっぱり共同作業をするとしないとでは違うんだろうか。
ま、今決まったことは月曜日にクラスの人、手始めは友達だけでいいがどこの高校に行くかを教えてもらおう。多分拒否されることは無いだろう。多分。もし、嫌とか言われたらただ落ち込むだろう。
ただ高校だけ聞くのは勿体無いし他に聞いとくことは無いだろうか。いきなり住所とか聞くのはぶっとびすぎだしほぼ拒否られるだろう。かといって電話番号も結構きつい。いきなり電話番号教えてとかいうだけでも精神がすり減るし、断られたらもっとごっそり減ること間違いなしだ。ならLINEのIDくらいならどうだろうか。これなら人によったら教えてくれるかもしれない。まぁ、今はスマホは持っていないのだが、生憎家のパソコンならあるし連絡できないこともないだろう。これも追加で加えておこう。
大量に聞いている時間も無いだろうし、あと一個ぐらい考えてみよう。
よし、ベタだが、誕生日にしてみよう。誕生日なんて家族のしか知らないし、クラスの最初の自己紹介とかで言っている人もいたかもしれないがすっかり忘れたことは言うまでもないだろう。あのとき言われたことをはっきり覚えてる奴なんてほとんどいないのでは無かろうか。自分は忘れた。
なぜ誕生日かというと二つ理由がある。
それは今の今までクラスの人の誕生日を知らないことから言えるように誰の誕生日も祝ったことは無い。そしてそれも影響してか自分は家族以外から誕生日を祝ってもらったことが無い。誕生日パーティなんてものしてもらったことは無い。自分の誕生日を誰かに言った記憶もほとんど無いし、言ったとしても自分と同じように忘れ去られているのだろう。
それはともかくとして、虚しいことだが、自分は誰かに誕生日を祝ってもらう空想を数回したことがある。誰にしてもらったとしても家族と毎年当たり前のように祝ってもらうのとは少し違って嬉しかった、空想だが。
おそらく、よほど偏屈か誕生日という概念を嫌いでない限り、友達に誕生日を祝ってもらうことは素直に嬉しいことだと思う。今までそれを人生で怠ってきたが、これからの人生気にかけても遅くは無いだろう。
そして、クラスの人に誕生日を聞いたとしても卒業までに誕生日の人はほんの一部でそれ以外は卒業後に誕生日を迎える。即ち、祝うためにはそれまで友好関係を築いておく必要がある。中学という同じ共同体を失い、他の高校のクラスという組織に入った後でも友好関係を築くことは今の自分にとっては至難の業にしか見えないが、誕生日を聞くことによって目標を作ることができ、それは僅かでもメリット方向になる。これが二つ目の理由だ。
今のところは、入る高校とLINEのIDと誕生日、これら三つを聞くことにしよう。
読了ありがとうございます。