星の王子様遊び
星の王子様とは、コックリさんとよく似た遊びである。催眠状態におちいる可能性のある非常に危険な遊びである。しかし、危険だからこそ、不思議な魅力がある。
星の王子様が来てくれたら、何番星の王子様か聞く。
4番星以外の王子様の時は特に問題ない。「笑って下さい」と言えば、「は」の周りをグルグルまわってくれたりする。
最悪なのは4番目の王子様が帰ってくれないとき。
私が中学生の時、こんなことがあった。
放課後、2人の女子が遊んでいる所を何人かのクラスメートが見物しており、私もその1人だった。2人の女子の綽名は「ヤマゲ」と「ハマちゃん」。
ヤマゲが何番目の王子様か聞いたところ、4の周りをまわった。「お帰り下さい」とお願いしたが、「いいえ」の周りをグルグル回るばかり。
2人がどうすれば良いか困っていると、鉛筆は突如として動き出し、紙はおろか机の上も外れ、ヤマゲのスカートの上まで行って動き出した。
気の強いヤマゲの顔が蒼白。わざとやっている様子など微塵も無い。
気の弱いハマちゃんはオロオロするばかり。
良く見ると、鉛筆は何か文字を書き続けているようだ。
鉛筆の動きから読み取れた文字は
「し・・ね」
これを何度も何度もスカートの上に書いている。
その時、ヤマゲが言った。
「私が手を離すから、ハマちゃんは鉛筆を持ってな」
そして、ヤマゲは手を離した。呪われるかもしれないというのに。
翌日以降、ヤマゲが呪われた様子はなかったが、もう誰もこの遊びをしようと言い出す者はいなかった。