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国文学者桐生の研究室

国文学者の桐生の研究室は、大量の書物が積み上げられていた。その中で、一人の男が背中を丸めて何やら書いている。

「先生、今よろしいですか?」

広瀬が声をかけると男は顔をあげた。髭を生やしていてどことなく威厳のある顔立ち。都のアカコの父雅忠と同じくらいの年齢だろうか。白髪まじりの七三分けだ。

「ああ、広瀬君か。どうしたんだい、今日は休みだろう」

桐生は広瀬の後ろに立っていたアカコの存在に気付く。

「そちらの御嬢さんは……?」

広瀬が慌てたように

「こちらは鈴木閼伽子さんで、その、僕の……」

と何を躊躇しているのか不明だがアカコをきちんと紹介しようとしない。

「初めまして、広瀬さんの下宿先の家の者です。鈴木閼伽子と申します。古典文学に興味がありまして、広瀬さんに見学に連れてきいただきました」

アカコは広瀬をおしのける勢いで自己紹介をすませる。さあ、早く本題に入らせて。なぜ、宮内省図書寮に私の作品があったのか。小泉殿は関与しているのか。桐生に聞きたいことがある。そして――、桐生が持っている「写本」を奪わなければ!


「ああ、広瀬君の下宿先の御嬢さんか。つまり、広瀬君の……」

桐生は急に表情をゆるませ、「君は幸せ者だね」「好い御嬢さんだ」と言いながら広瀬の二の腕のあたりをバシバシ叩いている。広瀬は広瀬で顔を赤くしてニヤニヤしている。

「閼伽子さん、広瀬君は将来有望な青年だよ。頼んだよ」

と桐生は笑顔でアカコに話しかけた。

よくわからないが、アカコの事を受け入れてくれたようだ。


心証を良くしてもらった方がこちらとしては好都合。

では、聞かせていただきましょう。

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