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第9話 初めての強敵

レベルアップの後は更にゴブリンを探す。

しばらく進むと、弓、棍棒、シーフ型の3匹セットが見えた。

3匹か‥

魔法無し、無傷は難しいかも?

剣の勇者みたいにはなりたくないし。


例によって、後ろから近づいて矢を奪う。

至近距離で棍棒ゴブリンにMP1の火球をぶつけ、シーフ型に蹴りをかます。

棍棒は火達磨だし、シーフ型は腰を抜かしている。


弓ゴブリンの首根っこを掴み、引きずりながら走って距離を取る。

棍棒とシーフ型が追いつく前に弓ゴブリンをタコ殴りにして殺す。


チッ、シーフ型が追いついて切られた。

傷は浅い、行動に問題はない。

次の攻撃は短刀で弾き返し、隙ができたところに回し蹴りで脇腹を蹴る。

うずくまったところで、連続で踏みつける。


棍棒は‥火のダメージが残っているのかフラついている。

確実に!

短刀で突き刺し、死ぬまで攻撃する。

ザクザクザクザクザクザクザク‥


ふーっ、なんとか3匹倒せたな。

まぁメイジとかがいたらヤバかったかもだが、基本セットなら何度か戦ってパターンを覚えたからちょっと余裕がある。

とはいえ、シーフ型に一撃を喰らってしまった。

ステータスを見るとHPが1減っている。

MPは残り4だ。

これ以上の戦闘は難しいか?

いや、ゴブリン程度ならまだ行ける。

調子に乗ったせいか、はたまたナチュラルハイになっていたのか‥

俺はちょっと油断していた。


そして、更に進んだその先で、これまで以上の強敵に出会った。



静かな森の中を、足音を立てずに歩いて行くと、急にピンと張り詰めたような空気を感じる。

敵か?

しかし、今までのゴブリンにそんな雰囲気を出す奴はいなかった。

慎重に索敵すると、森の少し開けた場所に、1匹の大きめゴブリンがいた。


身長は160cmくらいだろうか?

普通のゴブリンよりガッチリして筋肉質だ。

心なしか、表情も精悍で貫禄を感じる。

まぁ、ぶっちゃけゴブリンの顔なんて区別はつかないから、雰囲気だけど‥


とにかく、そいつはいつものゴブリンとは違うと感じた。

ホブコブリン?

いや、ジェネラルとかキングか?

どちらにしても、鑑定能力はないのでわからないけどな。

多分、この辺りのボスであることは間違いないだろう。というか、アレがザコだとこの先つらいぞ‥


少し後ろに回り、近づいていく。

よく見ると、鉈を持っている!

アレはいい鉈だ、多分鉄製、ギリギリ短刀の範囲に入る大きさだし。

欲しい。

是非とも倒して奪いたい。


意を決して、俺はホブコブリンに近づいていく。

一瞬こちらを振り向いた⁈

勘が鋭いのかもしれない‥


慎重に後ろから近づき、MP2のファイヤーボールを喰らわす。

当たった!

クリーンヒットか?


いや違う、肩に当たったせいかすぐに振り払われてしまう。

ヤバい。


ホブコブリンはこちらを振り向き、咆哮をあげる。

Gyaoooooooooooooooooooooooooooooo

と獣の鳴き声が響きわたる。

瞬間に威圧され、一歩後ずさる。


ホブコブリンと目が合い対峙する。


一瞬の間の後、ホブコブリンは襲いかかってくる。

鋭い鉈攻撃が三連、ギリギリでかわし、切り返す。

浅い!

お互いほとんどダメージを与えられない。


すると、ホブコブリンは深く構え渾身の一撃を放ってきた。

受けるか?

なんだか嫌な予感がするので、スウェイバックで後退する。

しかし、かわしたはずなのに腕を斬られた!

傷が深い、ヤバい‥


とっさに魔法発動のフリをするとホブコブリンは防御する。

その隙に‥

背中を見せて一目散に逃げ出した。


幸い、ホブコブリンは追ってこなかったが、途中異常に弓ゴブリンがいて狙撃され何度かダメージを喰らってしまった。


命からがら逃げきる。

やっと休憩できる‥

ホブコブリンはかなり強かった。

今の俺では倒せないかもしれない。

でも‥鉈は欲しい!


それと、異常に発生した弓ゴブリン‥

アレは一体‥

そうか!

あの咆哮で呼び寄せたのかもしれない。

そうすると、あのまま戦っていたら周りから狙撃され大量の矢を浴び死んでいた。

かなりヤバい状況に冷や汗が出る。



落ち着いてきたところでステータスを見てみる。

危なかった。

HPが4しか残っていない。

どうしよう‥

薬草を使ってみよう。


傷口に当ててみる。

効果はない‥

噛んでみる。

ちょっと傷口が塞がってきた、そのまま飲み込むと体力が回復した。


さて、どうしよう‥

正直なところ、俺はさっき死にかけた。

いや、実際死んだも同然だった。

つまり、一回死んだわけだな?



ならば、二回死のうが三回死のうが変わりはない。


死ぬ気で戦って殺してやる!

待ってろよ俺の鉈!

何というかハイテンションに身をまかせる。


気分は若干高揚しているが、慎重にさっきの場所に戻っていく。

そうだ、まずは邪魔な弓ゴブリンを排除しよう。

ホブコブリンの周囲を範囲を広げて探索していく。

相変わらず単体では雑魚な弓ゴブリンを見つけては、1匹ずつ殺していった。

幸い少し時間が経ったせいか、ホブコブリンの周囲からばらけているのでやりやすい。

極力ホブコブリンに気づかれないよう、離れた弓ゴブリンから順に矢を奪って殴り殺すを繰り返していく。

1匹、2匹、3匹、4匹、5匹、6匹、7匹殺したところでレベルが上がる。


名前 齊藤縁司

種族 人間

LV4

HP 13/14 up

MP 2/7

Str 7

Vit 7 up

Dex 10

Agi 12 up

Int 8


結局その後、弓ゴブリン5匹、計12匹を殺したところで周りのゴブリンはいなくなった。


一応、ホブコブリンには気づかれていないと思う。

流石に少し疲れたので10分程度の休憩を入れる。


さあ、ここからが本番だ‥


レベルアップしたとはいえ、今の俺ではまともに戦っても必ず負けるだろう。

なので、ヒットアンドアウェイか別の方法しかないと思う。

問題はヒットアンドアウェイ作戦はホブコブリンが回復すると難しいことだろう。

どちらにするかは状況次第だろう。



ホブコブリンのいた場所へと向かう‥

いた!

何故かホブコブリンは森の開けた場所の真ん中にいつもいる。

ここから動かないのか?

範囲としては直径15m程度の円状で、周りから狙撃しやすい状態だ。


多分、あの咆哮と弓ゴブリンの組み合わせ戦術を使うには丁度いい場所だ。

複数の勇者相手には非常に有効な作戦だと思う。

体力のあるホブコブリンが敵を引きつけて、周りから弓ゴブリンで狙撃する。

HP重視のバトルでは手数がモノを言う。

だからこその戦術なんだろう。


ただ、逆に言えば自分も狙撃で削られる可能性がある‥

そのための対策があの真空波なんだろうか?

いずれにしろ、ゲロムズ仕様の初心者殺しだな、容赦がない。


まずは‥

武器を一旦しまい、広場の際の木に登る。

木の高さは10mくらいだろうか?

Dexが高めのせいか木には器用に登れた。

もちろん、登る途中で見つかったら死ぬ。

スゲードキドキした。


6mくらいの高さの足場のしっかりした枝に乗り、ホブコブリンを観察する。

こちらには気づいていないようだが、先程の不意打ちを警戒しているのか周りをチェックしている。


まずは‥

後ろを向いている隙にナイフを投げる。

短刀特性の影響か正確に投げれる。

ホブコブリンの肩口に刺さる。

惜しい、もう少しで喉だったのに!


ホブコブリンがこちらに気づく。

すかさず弓を出し、矢をつがえ弓を引く。

弓なんて使ったことないし、特性は無いから当たらない。

しかし、ホブコブリンは怒ってこちらに向かってくる。

どうせ矢なんて大量に奪ってあるから命中率なんて気にせず矢を射る。

ちなみに、上から下に撃った方が水平に飛ぶので狙いやすいと言うのは本当のようだ。

10発撃って2発くらいは当たったと思う。

更に近づいてきたところで例の咆哮を出してきたので、遠慮なく撃ち込む。


ホブコブリンが木に近づくと更に狙いやすくなる。

ホブコブリンは怒っているためこちらに攻撃しようとするが届かない。

何発か喰らうと気づいたのか、鉈で矢を払いのけ始めた。


すぐに、アイテムボックスから土の塊をとりだしてばら撒く。

目に入ったようで目を抑えている。

更に石を出して振りかぶる。

頭にヒットした。


休む間も無く矢を射て撃ち込む。

浅いが傷を与え続ける。

でもまだまだみたいだ、硬いな‥


怒ったホブコブリンは例の真空波で攻撃してきたが、枝や葉っぱを切るだけで当たらない。

すると、ホブコブリンは木に向かって真空波で斬りつける。

狂ったか?


いや、木を切り倒す気か?

すぐに隣の木に移る。

実は最初から別の木に乗り移る事を想定して選んでいた。

戦闘は始まる前の戦術で決まる。

今回はホブコブリンよりも俺の戦術が勝っていたと言うことだ。


倒れた木はホブコブリンの方に倒れたようだ。

必死に木を押さえている。

今ならアレが試せるか?

青い魔石を取り出す。

左手に握り込み、右手を添える。

ホブコブリンの頭に座標を合わせるイメージで集中する。

研ぎ澄まされた精神の中で、ジャストなタイミングで魔法を解き放つ。

アイスボール!

全MPを込めて放った魔法は、ホブコブリンの頭を包み込む。


どうだ⁈

流石に脳ごと凍らせられれば何も考えられないだろう。

座標合わせが難しいが、ヒットすればかなり強力かもしれない。


ホブコブリンはそのまま木に胴体を押しつぶされ、倒れる。

すかさず下に下り、鉈を奪おうとするが、決して離さない。

銅の短刀を取り出して手の甲に突き刺す。

やっと鉈を手放す。


そして、奪った鉈で‥


ホブコブリンの首を一閃で斬り落とした。


勝ったぞー!


広場には、俺の声が響き渡った。




新たな武器を手に入れた。

さあ斬殺の始まりだ!


次回 第10話 新たなる武器と新たなる死者


不自然な部分が多いかもしれませんが、御了承下さい。

次はまたフラッシュバック回の予定です。


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