第69話 RED DRAGON
不毛な復讐劇は終わり、俺たちは休憩を取る。
「いや〜、俺っちまで肉を頂いて、悪いっスね。
うまっ!
何これ?
パネーッすね、何の肉っスか?」
いや、未だヴリ太も居たりする。
「ビッグボアの肉だけと、塩焼きするとうまいだろ?
さっきの礼だから沢山食べてくれ。
爬虫類ならタコも食えるか?
食べていいぞ。」
「この肉もウマー!
なんなんすタコって。
え?
あの海にいるウネウネ?
見た目はNGっスけど、味は最高っスね。」
「それより、ナイン、次は何処に行くんだ?」
「それは‥
貴方が最初に現れた場所ですわ。
それこそが特異点、ですわよ。
そこで、守護獣を召喚し、次元の穴を無理矢理開けて、レッドドラゴンの所に行きますわよ!」
「サイトウさんって特異点っスか!
凄いっスね。
だからあんなに強いんすね。」
「いや、数日前ならヴリ太の方が強かったくらいだから‥
って言うか、特異点って何なんだ?」
「今更ですが‥
勇者の召喚の際、イレギュラーな力が発生する事があるんですわ。
その力を召喚時に取り込んだ者が特異点になるんですわ。
なので、普通ですと強靭なステータスや、絶対無敵なスキルが入るはずだったんですが‥
貴方は特に何もなかった、むしろあんまり強くはなかったですわよね?
代わりに、変な運や改造に耐えられる精神力とか、そんな感じなんじゃないかと思いますわよ。」
「なんだ、最初から最強の力とかズルできたのに‥
逆に弱かったから成長できた、そう考えるしかないな。
最初から恵まれていると、幸運の奴や、フリードリヒみたいになるかもだしな。」
そんな会話をし、島の中心を目指す事にしたのだが‥
何故がヴリ太がついて来る。
「もう案内はいらんし、別に一緒に来なくても良いよ?」
「いやっス!
俺っちはサイトウさんに一生ついて行くっス。
見捨てないで欲しいっス!」
「一生は無理だろう。
まぁついて来れるところ迄なら、好きにして良いけど‥
死んでも知らんぞ?
って言うか、九尾とヴリトラとオークキング、三体のキングクラスに出会って二体が一緒にいるとか、どんな状況なんだ?
多分、オークキングも声をかけたらついてきそうだしな‥」
「はっきり言って異常事態みたいなものですわね。
ただ、守護獣全部を仲間にして、レッドドラゴンの所に行く事に比べれば、瑣末な事ですけどね。」
「俺っちは楽しいっスよ〜
北の洞窟は退屈なんすよ。
刺激的な毎日を求めていたっスよ〜」
「んじゃ、まぁさっくり行って、おねーさんを生き返らせよう。
ヴリ太はちゃんとついて来いよ?」
俺は、一旦セーフティゾーンで眠りについた後、特異点に向けサクサクと進んで行く。
途中、鬼とかヴァンパイアとかが出たが、適当にサクッと倒し、1日くらいで特異点、つまり俺の出現ポイントに辿り着く。
「特に特別な力は感じないけどな‥」
「まぁ、そんなものじゃないですかね。
さあ、守護獣様たちを召喚しましょう!」
「待った、その前に一つ確認なんだが、何故守護獣達は俺をレッドドラゴンの下に行かせる事が出来るんだ?
それに、ナインやタマキの目的もなんかあるんだろ?
そろそろ、それを教えてくれないか?」
「それは‥」
「それはっスね。
元々守護獣様達は別の世界で神として祀られていた存在なんすよね。
それを邪神に騙されて、こんなところに来ちゃったワケなんすけど、レッドドラゴンが出て来たら守護獣様達も焼き死んでしまいますからね〜
まぁレッドドラゴンが出るまで勝ち残る勇者なんていないし、ほとんどその可能性は無いんすけど、レッドドラゴンが死んで勇者が来なくなれば、この世界の覇権は、守護獣様達に移りますからね。
多分色々美味しいんすよ!
だからサイトウさんには頑張って欲しいんすよ。」
「ちょ!
余計なことまで話さないでください!」
「まぁ、別に俺が居なくなった後なんてどうでもいいし、守護獣の役に立つならいいよ。
あと、レッドドラゴンの所に行ける理由はなんかあるの?」
「それは、理由は不明なんですが、四体の守護獣が集まると、ゲートが開くシステムになっているみたいですわ。
多分、レッドドラゴンを倒すチャンスも残してあるんだと思いますが‥
普通に考えて無理ゲーですわ!
まあ、今回それが実現してるので、無理ではなかった事が証明されてしまいましたが。
ちなみに、レッドドラゴンの血に蘇生能力がある事を伝えたのも邪神ですし、ドラグスレイバーをケツアルカトル様に渡したのも、邪神ですから、なんかの意図があるのかもしれません。
それでも、貴方は行きますか?」
ナインの言葉が俺に突き刺さる。
あの白い奴の手のひらで踊らされている、それでもいいのか?と問いかけている。
「それでも、おねーさんが大事だから。
俺は行くよ?」
そう答え、四体の守護獣を召喚する。
ガルムが現れる。
「小僧遅いぞ!
さっさと肉を出せ。」
ホウオウが現れる。
「我に炎を捧げても良いぞ?」
十尾が現れる。
「頼みましたよ、とのことですわ。」
ナインが代弁する。
ケツアルカトルが現れる。
「あーめんどくさい。」
そして、四体の守護獣に囲まれた俺たちは、突然開いたゲートに吸い込まれ‥
そこは、暗い洞窟だった。
火魔法で明るくすると、目の前には赤い大きな壁が見える。
触ってみると、表面はザラザラして、生暖かい。
「これがレッドドラゴンっスか、デカイっスね〜」
やはり、そうか‥
大きさは東京ドーム一個分くらい。
多分だけど。
俺たちは壁に沿って歩く。
最初が腹の辺り、東京タワーみたいな大きさの腕があって、ここが首。
頸動脈はこの辺りだろうか?
俺は、おねーさんの遺体を取り出し、ドラグスレイバーを構える。
そして、レッドドラゴンに向かって、思い切り突き刺す!
更に、斬り上げると、大量の紅い血が俺たちに降り注ぐ!
暫くすると血は止まり、血溜まりの中俺は立ち尽くしていた。
「っ、ペッペ。
俺まで血を飲んじゃったよ。
って言うか、おねーさんは?」
おねーさんは血溜まりの中、横たわっている。
そして‥
おねーさんの遺体が、レッドドラゴンの血を吸い上げて行く。
そして、突然目覚めた!
が、虹彩が縦長に、爬虫類の様に?
‥失敗か?
と思ったら、突然飛び起きて、
「少年君!」
と飛びついてきた。
あまりにもの勢いに相当吹っ飛ばされる。
うん、間違いなく本物だ。
ちなみに、どうやらレッドドラゴンの血を吸ったせいで、改造龍人になってしまったらしい。
と言うか、俺も改造龍魔人になってるし、そう言う仕様らしい。
「もー、少年君が中々迎えに来ないから鬼を倒し過ぎちゃってさ、閻魔大王とガチバトルしてたらカロンのじっちゃんに怒られるしさ〜
にしし、んで少年君も元気?」
「いや、こっちも大分大変だったんだから‥
おかえり、おねーさん。」
そして、お互い無言になり、キスを交わした。
それからは、今までの事を色々と話した。
二人組の勇者に復讐して、ナインが出てきて、フリードリヒを倒して、守護獣を仲間にして、タマキと戦って、ヴリ太がついてきて‥
「って言うか少年君、このデカイの倒せるの?」
「いや、無理だよね、普通」
「無理っすね」
「何か方法はありますわ!
探してみますわよ。」
仕方ない、探すか‥
ということになり、俺たちは探索を始めた。
暫くすると、おねーさんが何かを見つけた様だ。
「少年君!
なんか、変な木のハンマーが落ちてたよ〜
小さくなーれ、とか言って叩いたら小さくなったりして?」
「いや、打出の小槌じゃ無いんだし‥」
だが、おねーさんが冗談で小槌でレッドドラゴンを叩くと、レッドドラゴンが小さくなっていき、3メートルくらいになった。
「これは、メンテナンスアイテムみたいですわね。
とにかく、今ならレッドドラゴンを殺せるかもしれませんわ!」
ナインにそう言われ、俺はドラグスレイバーを構える。
そして、一刀両断!
レッドドラゴンの首を落とし、俺は最強の赤龍を目覚める前に倒したのだった。
ついに、奈良梨を生き返らせ、レッドドラゴンをも倒したサイトウ達
そこに現れたのは‥
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