第65話 真剣勝負の行く末
食事からしばらくして‥
俺たちはまだ、これまでの事を話していた。
「それでさ、これが、フリードリヒとかいう魔人から手に入れた、統魔の指輪だよ。」
俺はタマキに指輪を見せる。
「ふむふむー。
これが、烈火公の一族の秘宝か‥
なるほど、なるほど‥
ん?
これはなかなか‥
あのな、この指輪の隠し機能にモンスターの進化があるで。
進化の秘宝って隠しスキルを使うと、雑魚モンスターがボスモンスターになるよん。」
「ええっ!
そしたら、雑魚が全部ボスにできるじゃん。
そうすると‥
ボス討伐ボーナスポイントが取り放題じゃん!
ちなみにボスは進化しないの?」
「ボスを進化させると、キングになるかもしれんなぁ‥
試して見ないとわからないけどなぁ。
まぁ普通に使える様にしたから、後で試してや。」
「ありがとう、後は‥」
一通り一部の武器、アイテムを解析してもらい、使い方のアドバイスを受ける。
まぁ、逆に手の内のほとんどがバレてるって事だけど、俺も知らなかった機能が沢山あり、戦略の幅が広がったのでお互い様と言ったところだろう。
「さあ、一通り終わったし、戦おか?」
「オッケー!」
まるで、友達と一緒に遊ぶようなノリで、俺たちは戦闘態勢に入る。
タマキは黒鉄扇を構え、俺は剣聖の聖剣と玄武の盾を構える。
玄武の盾は分裂してナインによる制御で宙に浮き、俺の周りを回っている。
これならば剣聖の聖剣で魔法が使えない状態でも、ナインが俺をサポートできる。
ちなみに、盾が飛ぶのは魔法ではなく念道力、つまりサイコキネシスなので魔法無効が干渉しないらしい。
もちろん、見た目の違いはわからないんだけど‥
まぁ、便利だから良しとする。
ちなみに、さっき知った追加機能を簡単に使いこなすナインも、中々凄いんだよな‥
タマキの黒鉄扇の構えは凛として隙がなく、対する俺は剣道を真似た程度の不恰好な構えで迎え討つ。
タマキはしなやかな動きで、流れる様に、まるで舞踏のような動きで襲いかかってくる。
もちろん、リーチの差を考えれば剣の俺の方が有利なはずなのだが、それを覆す変幻自在の動きで攻撃してくるため、俺も防戦一方となる。
ナインの防御サポートがないと、マジでヤバイ!
しかも、黒鉄扇の攻撃だけでなく、体術まで組み合わせてきており、黒鉄扇を受け止めても、足払いや上段からの回し蹴り等が飛んでくるため、反撃の余地がない。
数合打ち合うと、タマキが一旦距離を取る。
「準備運動はこんなもんやね〜
次から本気で行くで?
覚悟しいや!」
「いや、さっきのでもヤバイし‥
ナイン、ヤバくなったら換装を頼む!」
「わかりましたわ!
まずは、お姉様の猛攻を防ぎますわよ。」
タマキによる黒鉄扇の舞は先程の倍以上に早く、俺は盾と剣での完全防御、ほとんど穴熊状態になる。
だが、ある程度受けたところで、ナインに頼み、魔剣 二律背反に換装する。
この魔剣のスキルは大いなる自己矛盾で、攻撃すると、相手に与えるはずのダメージを全て自分に与えると言う使えない魔剣だ。
一方、物理防御に使うと相手の攻撃を全反射する反則剣になる。
つまり、一見武器だが、実は防御に使う方がいいというヒネクレ性能を持つ。
しばらく攻撃を受けることで、タマキにダメージが蓄積されている。
ただし、魔法は防げないんだけど‥
「チッ!
なら魔法で行くよ?
幻雷火!」
ナインよりも威力が高く、そして精度の高い幻雷火が俺に襲いかかる。
「ナイン、換装!」
咄嗟に剣聖の聖剣に換装してもらうことで、なんとかタマキの魔法を相殺する。
と、思ったが左手を火傷‥
やはり、甘くはないらしい。
その後は、タマキの激しい連続攻撃を受けるだけに徹する。
その様子は黒鉄の嵐のようで、絶え間ない攻撃が玄武の盾と剣聖の聖剣を打ち付ける!
そして‥
ついに、俺の防御は破られ、俺の胸部に黒鉄扇が突き刺さる!
幸い、心臓からは位置が外れているが‥
肋骨ごと抉り取られ、肺に穴が開いているため‥痛いし、息苦しい。
ただ、片肺だけなので呼吸困難にはならず、声も出る。
もちろん、かなり痛いのだが。
「ゼー、ゼー、ナイン、あのさ‥肺を埋めれる?」
「呪いの肉芽腫で一時的に塞ぎますが‥
痛みは消えないし、あまり強度はありませんわよ?」
「それでも頼む!
呼吸が浅いと、動きが激しい時に酸欠になるのは防ぎたい。」
「わかりましたわ、むむむむーん」
抉り取られた部分に、ガン細胞の様な真っ黒の肉芽腫が盛り上がる様に出てきて、俺の肺を埋めて行く。
「出来ましたわ。
それより、今のでHPを消費して‥
残りは、1になりましたわよ?」
「わかった。
なら‥あれを試すか。」
そう言って、俺はタマキを見る。
タマキは‥
俺と少し距離をとり、何故が黒鉄扇を左手に持ち替える。
??
タマキの右腕が紫色に変色している?
更に、力が入っていないようで、ダランと垂れ下がっている。
「タマキ、右腕はどうしたんだ?」
「これな〜
実はな、わっちの身体は分体として長く使い過ぎててな〜
正直なとこ、もう限界なんよね。
だから、本気を出したらこの通り、筋繊維はぶちぶちだし、骨も砕けて、血管も破裂中だよ。
もげないだけ良かったんだけどね〜
まぁ元々数日しか保たない予定だったしなぁ‥
あんさんは、あんまりわっちの身体の事を気にしんでえーよ〜。
ちなみに、両利きだから左手でもまだやれるで?
まぁ次が最期の攻撃になるやろうけど‥
それに、あんさんが死んでもわっちが一緒に逝ったるから、安心していいよ。
さあ、ラストバトルを楽しもうや!」
やっとタマキの覚悟の意味がわかった。
ならば、俺も命を賭して答えるべきだろう。
俺は、聖剣と盾をしまい、一振りの刀を取り出す。
妖刀光宗
数多の剣豪を屠し刀
スキルは至高の刀技他
俺は、右手で刀を水平に構え、切っ先に左手を添える。
そして、腰を深く下ろし、ただ一撃のみに集中する。
新撰組の斉藤さんの必殺技、牙突のパクリだ。
と言っても漫画で見たのを真似ていて、史実の斉藤一の技かはわからない。
しかも、漫画の牙突は刀が左手だしな‥
「なんや、変わった構えやな〜
一撃特化で勝負ちゅうことか。
ええよ、わっちも最速の一撃で迎えうとか。」
「行くぞ!」
俺は、そう言って刀を構えたまま最大スピードで突撃し、最速の一撃を放つ!
タマキも左からの最速攻撃を繰り出す!
そして‥
互いの武器の切っ先が交わる瞬間、その刹那の一瞬に俺の一撃が音速並みに急加速し、タマキの脳天を貫く。
妖刀のスキル、死地の極みが発動したのだろう。
それに、悪運のスキルも影響していると思う。
そして、ピンポイントで黄金に輝く魔石を抉り出し‥タマキは、死んだ。
タマキの身体が限界と言うのは本当らしく、魔石を失うと灰となり風に散って逝った。
「タマキーーーーーーーーー!」
俺は、天に向かって叫ぶしかなかった。
タマキの犠牲を乗り越え、サイトウ達は先へ進む。
もう、どんな障害があっても全力で排除する、そんな決意と共に‥
次回 第66話 最期の言葉




