第41話 流星
食事は和気藹々としたものだった。
特におねーさんと玉藻前はメイクの話で盛り上がっている。
俺は若干仲間ハズレだ。
これが噂の女子会というやつか‥
俺は黙々と肉を食べ続ける。
その間、玉藻前の攻略法を考えてみる。
まず、あの鬼火は喰らうとマズイ気がする。
タマキの鬼火も継続ダメージだったし、おねーさんはHPが低いから喰らわないようにする必要がある。
それと他の魔法も使えるのだろう。
例えば、テンプテーションをやられると、俺は大丈夫だが、おねーさんはマズイ。
おねーさんを操られたら完全に詰む。
他にも毒のブレスとかも出せるんじゃないだろうか?
多分今の俺たちでは厳しい気もするし‥
交渉しかないかな。
「玉藻前さん、とりあえずお互いの実力もわかったし、タマキが来るまで一旦休戦しない?」
俺は休戦協定を提示する。
「な、なんで私だけさんづけなの?
悲しいですわ、姉様は呼び捨てなのに‥」
なんか関係ないトコに食いついてきた。
「そうだよ、タマモッチが可哀想だよ!」
なんか某育成ゲームみたいなあだ名だな‥
しかもこのやり取り、どっかであったよな?
「ゴメン、ゴメン、俺は昔から女の子て話すの苦手でさ、可愛い女の子を気軽に名前で呼べないんだよ。」
「可愛いってそんな、照れますわ。」
「少年君、私にはそんなこと言わないよね?」
「おねーさんは特別だし、それにおねーさんはいつもさんづけだけど?」
「たまには名前で呼んで欲しいの!」
「ゆ、柚子‥
照れるよな。」
そして二人の世界に入る。
すると‥
「リア充爆発しろ!死ね!」
玉藻前が急に叫び出す。
どうやら怒らせてしまったらしい。
怒気をはらんだ玉藻前を目前にし、俺たちも戦闘態勢をとる。
玉藻前は爪を長く伸ばし、襲いかかってくる。
怒涛の爪撃におねーさんは防戦一方になる。
「あははー、貴方達なんてすり身にしてちくわぶにして差し上げますわ!」
「ちくわぶは小麦で作るからすり身はいらないし!
どっちかと言うとはんぺんの方が食べたいの!」
おねーさん、突っ込むのそこですか?
しかし、防戦一方、実力は向こうの方が上だ。
このままではヤバい。
「おねーさん!
一旦下がって。」
俺の声に反応し、おねーさんが下がる。
やはりこの技しかないか‥
「喰らえ、次元斬!」
俺はマチェットを取り出し、魔技を放つ。
魔力のおかげで前よりは制御できているが‥
相変わらずHPを持っていかれる。
玉藻前は‥
大量の魔力で受け止めているが‥
あと少し!
しかし、寸前で玉藻前が叫ぶ。
「陰陽五行を持って我は成す、陽の気よ、かの者の陰の気を相克せよ!」
玉藻前の放つ気に、俺の次元斬が喰われて行く。
この技まで
だが、玉藻前の消費も激しいようだ。
呼吸が荒く、今まであった威圧感もなくなっている。
「ぜー、ぜー、なんで貴様、ぜー、ぜー、あの豚の、ぜー、ぜー、隠し武器まで、ぜー、ぜー、持って、いるんだ?」
「オークキングにもらったんだけどな、それよりここまでにしないか?
お互い限界だろ?」
「ぜー、ふぅ。
嫌ですわ。
リア充への怨みはアビスゲートよりも深いのですわ!」
交渉にならない‥
もう一度次元斬か?
いや、今度は警戒して出させないだろう。
不意打ちじゃないと厳しい。
何か決め手になるものは‥
その時、タマキが戻ってきた。
「あんさんら待たせたな。
ほら、これで戦ってみ。」
そう言って、俺にダガーを、おねーさんに棒?いや先端に小さなハンマーが付いているから槌か?を投げる。
「気力を纏う流星槌と、魔力を纏うスターダガーや、流星槌はメテオクラッシュが、スターダガーは流星斬が使えるで〜」
「タマキ姉様!
今その武器はズルいですわ!」
玉藻前が叫ぶ。
そして、おねーさんは流星槌に気を纏い、玉藻前に向けて躍りかかる。
「気を纏い、地表すらも粉砕する。
奥義メテオクラッシュ!」
超強力な一撃が降り注ぐ、玉藻前は魔力障壁で防ぐも、地面にはクレーターができ、地響きがする。
この洞窟、崩落しないよね‥?
ただ、俺も見てるだけというわけにもいかないな。
スターダガーに魔力を纏ってみる。
魔力の入れ方で長さが変えられるようだ。
ただ、物理的な斬れ味よりも、魔法を切るのに特化しているみたいだ。
「魔力を纏い、星々の軌跡をたどり全ての理を断つ、流星斬!」
俺は玉藻前の魔力障壁を切り裂く。
魔力障壁が無くなり、おねーさんの一撃がモロに玉藻前を直撃する!
ズドーンと大きな音がして、クレーターが更に大きくなる。
「そこまで!
まぁそれ以上はやめといたって、わっちも眷属を目の前で殺されたら流石に目覚めが悪いしな。」
玉藻前は、かなり瀕死の状態だけど、生きているようだ。
「この武器凄いね〜」
「わっちの渾身作やからな〜
まぁ大切に使ってな?」
「タマキありがとう、流石にこの武器がなかったらヤバかったよ。」
俺も礼を言う。
「ちなみに玉藻前はこのまま放置で大丈夫なのか?
薬草って人間以外にも効くのか?」
「大丈夫やで、そんなことせんでももうすぐ立ち上がるし。」
玉藻前を見ると、玉藻前が立ち上がってきた。
あれだけのダメージでも立てるとか、完全に化け物級だな‥
「この怨み、晴らさずにおくべきか、呪ってやる、子々孫々まで呪い尽くしてやる、ですわ!
リア充爆発しろ、リア充爆発しろ、リア充爆発しろ‥」
うん、なんかまだヤバそうだ。
「やめんかいこの阿呆!」
タマキが玉藻前に一撃を喰らわす。
玉藻前が地面に頭からめり込み、ピクリとも動かない‥
「これはちょっとまずいんじゃ?
玉藻前さん動かなくなってるけど?」
「大丈夫、大丈夫やで、多分100年位したら生き返るから、まぁ大丈夫やって、多分やけど‥」
良いのかそれで‥
まぁいいか、呪われても嫌だしな。
しかし、未だタマキの実力の上限が見えてこない。
まともに戦っても、絶対に勝てないことだけはわかるけど。
それと、玉藻前以上に強い敵が来てもちょっとキツイしな。
多分修行はこれで終わるだろう。
俺はそう思った。
出会いと別れ、寂寞の想いが胸を過ぎる。
「一緒に食べたお肉の味は多分忘れないよ?」
次回 第42話 Sayonara




