第36話 魔人
ハイオーガを倒した戦利品を回収しようとすると、タマキに止められる。
「あかんよ、それ呪いの仮面やから‥
触ると狂って死ぬまで暴れ回るで?」
危なすぎるだろ‥
どうやら3段階目のボスから武器にトラップがあるケースもあるらしい。
よく見ると黒い靄が出ているのは呪いの装備という事だ。
っていうか、大鉈も呪われており、ハイオーガの身体が炭化して灰になっていった。
どうも呪いの副作用らしい。
ただ、呪いの装備は異常に強いから、呪いを解くアイテムがあればいいとのことだった。
「この銀の短剣はダメかな?
アンデット特効だけど呪いは関係ない?」
「いや、短剣が壊れるけどできなくはないで?
ただ、この仮面と大鉈いるの?」
正直なところ、仮面は大きすぎるし、大鉈も重くて持てそうにない。
確かにいらんな‥
「ちなみに、アンデットは何段階目ででるの?
今の所は見てないけど‥」
「4段階目で吸血鬼が使役するよ。
まぁ吸血鬼は若干レアやし、今の所4段階目までいったケースは4、5回しかないからなぁ‥
まぁでも、対アンデット武器がないと倒せんし、持ってて損はないかもね〜」
とりあえず、俺は銀の短剣をしまう。
「さて、次はどうする?」
「私も楽しみ〜」
おねーさんは楽しんでいるらしい‥
「本当のところ、ハイオーガでもうちょいギリギリかと思ってたから、まだ次が準備できてないんよね〜
っちゅうことで、次は休憩タイムや、じっくり休んでや?」
と、いう事で次の部屋に向かうと‥
何故か、回転ベッドが置いてある。
そして、どこからかか昭和の香りが漂う、レトロミュージックが流れている。
なんていうか、言葉が出ない。
「若い2人やさかい、のんびり楽しんでや〜
ちなみに、薬草とエーテルがあるから回復もしといてな?」
そう言って、タマキはどこかに消えていく。
「さて、おねーさんどうする?
俺としては、なんか監視されてるみたいで嫌なんだけど‥」
「んーでも最近チャンスがなかったしね。
それにこの先だってわからないし‥
やれる時にやった方が後悔がないって言うか‥
見られてる方が興奮するかも的な?」
おねーさんの顔がいつもより上気している。
毒を食らわば皿までか‥
「少年君かまーん。」
おねーさんが誘ってくる。
そして、俺たちは激しくキスをかわした‥
愛するのは男の定め〜♩
受け止めるのは女の願い〜♩
謎の昭和風ミュージックが流れるなか、俺たちは重なり合い、お互いを確かめ合う。
何故か自動的に回り出すベッド
意味がわからないまま欲望と愛情の狭間にゆれる。
まぁ実際回ってるし、振動もしてるけど‥
若さをほとばしらせた後、おねーさんの腕枕で眠る。
12日目終了
残り勇者8名
泥の様に眠り、起きて薬草とエーテルで回復すると、タマキがやってくる。
っていうか、エーテル初めて飲んだけど、不味いな‥
「おはよう、タマキ、準備はできた?」
俺は誤魔化す様に言う。
「バッチリやでー、すぐ行くかい?」
「んー私は朝ごはん食べたい!」
おねーさんは腹減りの様だ。
いつも通り、たっぷり朝ごはんを食べ、準備をする。
「師匠、次はどんな相手?」
おねーさんが直球で聞く。
「次はな〜
第四段階の魔人にしてみたよ?
体力はオーガくらいだけど、魔法を使ってくるよん。
そろそろ、対魔法使いもやっておいた方がいいでしょ。」
魔人‥
人型の魔法使い。
「神の方の魔神じゃないよな?
イフリートとか出てきたら流石に泣くぞ。」
「ちゃうちゃう、第四段階でいきなりそんなん出さんって、と言っても魔人も中々の強いからあんまり油断してると死ぬよ?」
確かに‥
久しぶりの死闘になりそうな予感がする。
気を引き締めないと。
そして、次の広間に行くと、軍服風のヤバそうなおっさんがいた。
「来たか糞虫どもであります!
タマキ様に気に入られているからと調子に乗っている便所コオロギとは貴様らかであります!
このワタクシ直々に捻り潰してやるであります!
地獄の淵で己の無力さを嘆くがいいであります!」
‥色んな意味でヤバそうなやつだった。
今回も、おねーさんが前衛で俺が後衛だ。
おねーさんには念のため、マジックシールドの魔石を渡している。
魔人は「ヒャッハー」と叫びながら腰をカクカクさせた踊りを踊った後に、指をクイクイやって挑発してくる。
おねーさんが近づくと‥
「栗とリス!栗とリスを寄越すであります!メスはすべからく栗とリスを寄越すであります!
アフリカの部族も食べているであります!」
そう言って魔人は内股で痙攣し出す。
さしものおねーさんも手を出すべきか悩んでいる。
その隙に魔人は雷の魔法を放ってきた!
おねーさんは咄嗟に錫杖を地面に刺し、避雷針代わりにしてかわす。
無詠唱だった。
雷の魔法の次は氷の槍や火球を連発してくる。
魔人は自然な動きで流れる様に魔法を放つ。
おねーさんは三節棍ではたき落としながら辛うじてかわして行く。
流石おねーさん、火球でも難なく弾くことができる。
一方で魔人に隙はない。
ただ、ひたすらおねーさんは魔法をかわしていくのを続けていく。
俺も、合間に隙を狙って各種魔法や弓でライトニングアローを撃ち込むも、簡単に魔法を打ち消され、当たらない。
お互い、打つ手なしの膠着状態か。
魔人の魔力は相当量なのか、いつまでたっても魔法が切れることがない。
あの不思議な踊りで回復してるのか?
幸い、魔法自体のレベルは低く、火氷雷の3種類のみだった。
おねーさんの攻撃も、魔法で気が相殺されるのか一発かすっただけで当たっていない。
「そろそろワタクシの偉大さがわかったでありますか?
今なら地面に接吻して泣きながら謝れば楽に殺してあげるのであります!
死ね、死ね、死ね、死ね、死ねであります!
どうせ貴様らなんて生きていたって意味はないのであります!
魔界共産連盟のビラ配りを続けて300年のワタクシに殺されるなら栄誉であります!
民主主義の犬なんぞ殺してやるのであります!
最近魔界パンのコキュートス工場のチーズ班の班長になったであります!
正社員ではないけど契約社員なのであります!
アルバイトとは違うのであります!
彼女はいないのであります!
お金もないのであります!
自由なのであります!
自由のためなら鬼となり逆らうリア充は皆殺しなのであります!
それが若造の祈りなのであります!」
本当にムカつくなこいつ‥
「おねーさんどんな感じ?」
「うーん、全力攻撃なら倒せそうだけど‥
なんか、隙でも作れないかな?」
あいつの弱点‥
そういえば、アレがあったな。
俺は、オークキングの財宝の金貨※第26話参照 を一枚投げてみる。
「き、き、金貨でありますか!
本物でありますか!
これがあれば等身大愛ちゃん人形が買えるであります!
もっと欲しいであります!」
俺は次いで宝箱を取り出す。
「この箱の中にはもっと金貨が入っているぜ?」
「それをワタクシに寄越すであります!
沢山あれば共産連盟の幹部になれるであります!
さっさとこっちに持ってくるであります!」
こっちには近づいて来ないか‥
俺はおねーさんに耳打ちする。
「おねーさん、全力であいつの頭にぶつけて。」
「ぶ、ラジャー」
そして、おねーさんはブーストを加えた全力投球で宝箱を投げる。
パッカーんという音がして、魔人の頭に宝箱がクリーンヒットする。
そして‥
あのうっとうしい魔人は気絶した。
「タマキ、こいつって殺してもいいの?」
「大丈夫やで〜
1番要らない魔人を連れてきたしな」
さいですか‥
魔人はおねーさんがトドメを刺し、俺は魔石を回収した。
タマキ曰く、魔人の魔石は消費しないらしい。
ただ、癖が強く、扱いは難しいらしい。
下手に失敗すると自分に喰らうしな‥
「少年君は‥軍師だね〜
鬼畜で軍師な私の皇子様、きゃ〜」
おねーさんは一人で盛り上がっていた。
なんとか魔人を倒す事が出来たサイトウ達
しかし、次なる敵は更に想像を超える強さだった。
次回 第37話 上には上がいる




