第35話 二人の修行in 西の洞窟
朝から意味が全然わからなかったが、とにかくおねーさんも無茶な修行で強くなったらしい。
「無茶なんてしてへんよ?
むしろすぐ終わり過ぎてビックリやわ。」
とにかくおねーさんは凄かったらしい。
今もタマキにあげたはずの鞭を使って小石を持ち上げながら朝ごはんを食べている。
「いや、でも師匠みたいにはできないんだよね〜
うねうねと自在には動かないし。
気をぬくとすぐに落ちちゃうの。
いやーん落ちちゃう、みたいな?」
「師匠ってわっち?
って言うか調査対象に師匠って言われたのは初めてやわ。
まぁ、わっちの修行でまとも?な精神を保った人間もほとんどおらへんのやけど‥
あっ確か1人いたわ、修行自体は失敗だったけど逃げのびてたなぁ。
でも、弟子か、悪くないかもねぇ。」
俺も師匠と呼んだ方が良いのか?
そんな感じで、朝ごはんを食べ終わる。
「んじゃ、修行の成果を試しに洞窟行こか!」
タマキに言われついて行く。
途中、やっぱり敵の姿はない。
そして、森の奥にその洞窟はあった。
「ここは偶然じゃなきゃ見つからないかも?
他の2つは草原にあったし‥
それとも、スペシャルダンジョンとか?」
俺はタマキに聞いた。
「んにゃ、わっちの寝床が森だからね〜
あと、犬系は若干苦手だし。
と、言う事でこの辺は全部森だよ。
ちなみに、北の洞窟ははデカイ山の山頂だよ、だから行くのはちょっと大変よん?」
「洞窟は守護獣が管理してるのか?
もしくは入る勇者のレベルに合わせてる?」
「守護獣管理で勇者に合わせて調整って感じかな?」
ということは、あの狂信者のいる洞窟も変化しているかもしれない。
めんどくさいな‥
「まぁ今回はわっちがあんさんらに合わせて調整したから、安心し〜」
いや、タマキの調整は多分ギリギリだから安心できない。
中に入ると‥
いきなり広いステージにオークジェネラルが5匹いる。
「これって‥全部ボス?」
「いや?こいつら外ならボスだけど、この洞窟では雑魚扱いだよ?」
いきなりボスではないが、ハードルは高いようだ。
「まずはあんさんから行ってみよか?
魔法で5匹を焼き払ってみてちょ」
ファイアーストームで同時に倒せってことか‥
おそらく一発では焼き切れないから、継続して燃やす必要がある。
つまり、一発撃って同時に5匹を燃やし、炎が消える前、約10秒以内に魔力素子を2個作って魔法を撃つ、これを相手が丸焼きになるまで繰り返すということか‥
今のところ、タマキがいるためオークジェネラルは戸惑っている。
しかし、俺が一歩先に出ると目つきが変わる。
相手が動く前にファイアーストームでまとめて焼き払う。
全部入った!
だが、気は抜けない、すぐに魔力素子を作る。
落ち着け、何かあればおねーさんがサポートしてくれるはず。
そう思うと、かなり冷静になれた。
ここまで約5秒、炎の渦は消えたがオークジェネラル達は燃えている。
必死に転がり、火が消えた時には2個目の魔力素子ができる。
転がっているオークジェネラル達にファイアーストーム2回目を放つ!
「丸焼きになりやがれ、この豚野郎ども!」
俺は叫んだ。
後はマチェットの方がいいだろう。
実際、丸焼けのオークジェネラル達は炎が消えても全く動かない。
死んでる?
「単発のファイアーボールと違って、ファイアーストームは風と炎によるダブルの連続的ダメージと火傷、擦り傷による継続ダメージがあるからね〜
多分最初の一撃で瀕死だったと思うよ?
所謂、オーバーキルってやつやね〜」
「少年君凄い!
強い!
素敵!
人でなしの人外魔境!」
おねーさん、最後の褒めてない‥
しかし、威力は十分人外魔境かもしれない。
とりあえず、オークジェネラルの中身を見てみると、表面は黒焦げで鎧の中は蒸し焼き状態だった。
息はしていない、間違いなく死骸だ。
ただ、肉は豚の丸焼きみたいに食べれそうなので回収する。
オークって豚みたいに寄生虫や細菌がいるのだろうか?
まぁナマ食するのは抵抗があるしなぁ‥
「ほいたら、次は弟子やな〜
次行くで。」
そう言うタマキに連れられ、次の広間へ。
次の広間にいたのは‥
デカイ人?
いや、身体は緑色だし、牙が出ている。
鎧はなく、筋肉質で手には棍棒を持っている。
「少年君、あの人真っ裸なんだけど?
ピーが見えたら私戦えないかも?」
「おねーさん、一応腰巻きはしてるし、これまでのモンスターに性器はついて無かったでしょ?
あれは多分、オーガ、もしくは鬼だから。
色的にオーガだと思うけど、どう?」
俺はタマキに聞いた。
「正解〜
ツノがないから鬼じゃないね。
あと、金棒でもないし。
本来は第3段階で出るやつだけど先行体験みたいな?
今回はあんさんの魔法の手出しは無しな?」
「少年君が出るまでもないし。」
そう言うとおねーさんは、三節棍で攻撃する。
変化をつけた一撃がオーガの頭を破砕する。
あまりにも早すぎて‥
よく見えなかった。
俺はタマキに聞く。
「おねーさん、かなり強くなってないか?
一体どんな修行したんだ?」
「あの子の修行は、あんさんより軽いよ。
生まれつきのセンスやね、多分‥
ほんのちょっと魔力を操作しやすくしただけなんやけど、まぁオーガの頭が無防備だから一撃で倒せたっちゅうのもあるかもしれんが‥」
つまり、単におねーさんが元々強く、ちょっと強化すると更に強くなってしまったということらしい。
「師匠、この程度?
ツマラナイんだけど?」
「んじゃ、次いこか?」
タマキに更に案内される。
「次は、ハイオーガだよ〜
これは2人で戦ってもいいよん」
ハイオーガはオーガより更に大きく、強そうだ。
しかも、斬馬刀に近い大鉈を持ち、鉄仮面を被っている。
大鉈は俺の鉈より4倍くらいある、さすがに短刀ではないだろう。
「少年君、まずは私からやってみていい?」
「いいよ、ただヤバそうなら手を出すからね?
おねーさんが強いのは知ってるけど、無理はしないでね?」
「少年君わかったよ、愛してる。行ってくるね〜」
「いや、おねーさんそれ死亡フラグだから‥」
「大丈夫、大丈夫、にゃははは〜」
おねーさんはそう言ってハイオーガに襲いかかる。
さっきと同じ神速の攻撃!
相手の頭に容赦なく撃ち込まれる。
しかし、先程の様に頭は破砕されない。
そして、ハイオーガは大鉈をゆっくり持ち上げ、振り下ろす!
おねーさんは軽々とかわしたが、風圧で一瞬態勢を崩す。
「おねーさん、下がって!」
俺が叫ぶとおねーさんは後退する。
そして、俺は見よう見まねのフレイムを出してみる。
出た!
練習では一回も成功しなかった炎の柱がハイオーガの全身を焼く。
ただし、それすら大鉈の一振りの風圧でかき消される。
「うーん、この武器では軽すぎて効かないっぽい感じ?」
「スピードと器用さと知能を捨てて攻撃と防御に特化した感じかな‥
それに、よく見ると青いから再生してる可能性もあるね。
火傷の跡もないし、おねーさんの攻撃よりも再生能力が高いなら、かなり厄介かも?
おねーさん、威力がたらないならオークジェネラルの大剣【※31話参照】を使ってみたら?
重力操作もできたから、重さは十分なはず。」
おねーさんは大剣を取り出し、振って見る。
「少年君、これなら隙があればいけるかも?」
「なら、俺が魔法でサポートするよ」
俺は、おねーさんから魔石を借り、重力魔法でハイオーガの動きを封じる。
ただ、ハイオーガは最大重力でもなんとか動け、俺に向かって大鉈を振り上げる。
その瞬間、俺は魔法を解いて逃げる!
急激に重さが変わったため、ハイオーガはバランスを崩し、大鉈を地面に振り下ろすも勢いあまって自身も倒れてしまう。
それを見たおねーさんがすかさず大剣を振りかざし、最大重力でハイオーガの首を落とす!
だがしかし、ハイオーガは死んでおらず、頭無しで立ち上がり、大鉈を無闇に振り回し始めた。
大鉈の風圧で、俺もおねーさんも近づけない。
幸い狙いは適当だ。
頭が下を向いているので、見えていないのだろう。
「おねーさん、試したいことがあるんだけど、やってもいい?」
「少年君が危なくないならいいよん。」
「んじゃ、念のため下がっていてね。」
そう言って、俺は集中力を高め、ハイオーガの頭に魔法を放つイメージを構築していく。
先程のフレイムよりも、もっと濃密でピンポイントに範囲を狭め、濃縮していく。
ボムやアイスボールを撃つ時のイメージが近いだろうか。
「喰らえ、フレイムコア!」
すると、ハイオーガの頭が白い球状の光に包まれる。
時間としては数秒か、最後に砂漠の風のような熱風が広がり、ハイオーガの身体は意志を失って倒れた。
後に残ったのは、鉄仮面と魔石のみ。
ハイオーガの頭は跡形もなく消え去った。
「炎を更に濃縮して数千度の高熱で焼き切るとはね〜
それを戦闘中にやりきるとか、あんさんも中々のセンスやね〜」
「流石私の少年君、凄いね、最高だね、アスモデウス級だね!」
多分褒められた‥だよな?
こうして俺たちは何とかハイオーガを倒す事ができたのだった。
強敵を倒したサイトウ達
しかし、タマキの準備した敵は予想を覆す強さだった‥
「ほんとはわっちハイオーガまでのつもりやったけどな〜
こっちの方が想定外やで?」
次回 第36話 魔人




