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第31話 本気

少年君が私を庇った。

その瞬間、少年君が巨大な猿のボスの一撃をくらい、スローモーションで飛んで行くのを、何もできずに私は見ていた。

かなりの跳躍力で、後ろから近づく何かがいるのには気づいていたが‥

重力魔法は初めてだったため、解けるまでのタイミングがわかっていなかったのが敗因だ。

いや、そんな事はどうでもいい。

フラッシュバックはない。

まだ、死んではいないだろう。


そこにいるのは巨大な猿

どうでもいい。

こいつは私を怒らせた‥

だから、本気でブチのめす!


グラビティの魔法が解けた瞬間に、錫杖を構え、肺の中の空気を一気に吐き出す。

呼吸を整え、全身の血管の一本一本に新たな血液を流し込んで行くことをイメージする。


私の技、血風灰塵は五段階からなる技で、

強烈な振り回しの一死期

連続的な突き攻撃の二死期

一死期と二死期に気を込めた三死期

四死期以降は前より弱体化した今の私では使えない。

今のところ、三死期は威圧感が強すぎるため少年君の前では見せていない。

理由は単に怖がられたくないからだ。

いつでも可愛い、かどうかは自信がないけど、少年君には普段の私だけを見て欲しいからだ。

だが、今やその枷は無くなった。

ともすれば、怒りで全身が沸騰しそうな感情を制御し、目の前の敵を見つめる‥



巨大な猿のボスこと、モノス•グランデは戸惑っていた。

オークジェネラルの咆哮を聞き、獲物を横取りしにやってきただけだったのに‥

最初は筋肉質な女が無防備に後ろを向いていたので攻撃をしようとしたら、変なガキが邪魔をしてきたので軽く吹き飛ばしてやった。


そうしたら、女の雰囲気が変わった。


全身の筋肉が脈打ち、異様なオーラを放ち始める。

そして、まるで深淵を覗き込んだ後の様に、真っ黒で、なおかつ一切の感情を排除した様な空虚な瞳で見つめてくる。

威圧感で言えば、自分よりも遥か上位の存在‥

守護獣並みか?

いやあれは赤毛だし、遠目ですら危険を感じるから違うだろう。

ただ、それとは違う恐怖、畏怖、絶望、後悔‥

あらゆる負の感情が混じり合った様な感覚に苛まれる。

モンスターとして勇者を倒すために作られた、感情なんて簡単な喜怒哀楽くらいしか、しかも戦略を多少増やす程度の目的で植え付けられた、その程度のものだったはずだ。

生物としても中途半端なはずのモノス•グランデが、初めて味わう恐怖の感覚。

すでに、手足は震え、言うことを効かない。

この間僅か1分程度

自分が何のために戦っているのか、もはやわからない。

しかし、最期の役目とばかり、絶叫して仲間に伝える。

このモノス・グランデが死んだら、全員で一斉に襲いかかれと‥



少年君を傷つけた罪は重い。

いや、正直なことを言えば、この世界で人が傷つくのは当たり前だから不自然ではない。

だが、少年君が私を庇ってダメージを受けたことが許せない。

ほとんど八つ当たりみたいなものだ。

まぁでも何が悪い?

殺し合いの世界で八つ当たりも復讐も同じこと‥

違いなんてない。


大きな猿が叫ぶと同時に、闘気を込めた蓮撃を喰らわす。

今回は、少し調節して骨のみを粉砕する。

内部の骨だけが砕けて行く感触を味わうがいい。

全ての骨を砕かれると、身体はもちろん、内臓すら支えることができない。

神経の位置すら定まらないため、痛みは想像を絶すると言う。

しかも、すぐには痛まず後からくるらしい‥


大きな猿が倒れると、周りから殺気が放たれる。

かなりの数の様だ。

少年君を狙われるとまずいので駆け寄る。

間に合った!

そして、それからは‥

ただの虐殺だ。

無数に寄ってくるキラーエイプ達

久しぶりの本気で、全て薙ぎ払っていく。

ただ、敵も狂ったのか味方が一瞬でミンチになり消えていくのに構わず、突っ込んでくる。

まるで水溜りにリーダーがハマった軍隊蟻のように、際限なく死地に飛び込んでくる。

もう何匹殺しただろうか?

楽しくて仕方ない。

時間も忘れただひたすらに虐殺を楽しむ。

はっきり言って怒りも後悔も忘れるくらいに‥


ただし、少年君には一切血が飛んでいないから、冷静さを失った訳ではない。

多分私はそういう生き物なんだろう。


広間の辺り一面が血の池になった頃、キラーエイプの大群は全滅した。

時間的には1時間くらいか?

何匹倒したかは数えてもいない。


まぁいいか‥

そして、私は少年君を膝枕で介抱するのだった。

しばらく少年君を膝に乗せていると目が覚めた。


ここは何処だろ?

いや、そう言えば吹っ飛んだんだっけ?

何故かおねーさんの膝枕で寝ていた。

「おはよう、少年君」

おねーさんは上機嫌だ。


「状況を説明してくれないかな?未だに事態が飲み込めないんだけど?」


「んー、ズバーンとやって、バビューンみたいな?

まぁ、敵は倒したよ?

もう大丈夫だよ〜」


「ま、いっか、んじゃ立ち上がるね」


立ち上がると‥

そこは真っ赤な血の海だった。

本当に何があったのやら‥

大量の肉塊と、魔石が落ちている。


戦利品は、魔石378個、オークジェネラルの大剣、鎧と兜、それと‥大きな猿の死骸からは出てきたのは、三節棍だった。


おねーさんにあげると、器用に振り回す。

追加効果は無限に伸びる事みたいだ。

如意棍といったところか?

あと、先端に刃が入っており、斬撃効果もあるらしい。


それと、大剣もおねーさんに渡す。

重くて俺じゃ使えないし。

やはり、重力操作が付いていた。


名前 奈良梨柚子

種族 人間

LV11

HP 8/8

MP 11/15 up

Str 26 up

Vit 5

Dex 13 up

Agi 21 up

Int 13 up


ボス討伐数2


名前 齊藤縁司

種族 人間

LV11

HP 14/19 up

MP 6/11

Str 11

Vit 12 up

Dex 13 up

Agi 15 up

Int 11 up


ボス討伐数4


おねーさんにレベルで並ばれた。


そんな感じで検証していると‥


「なんや、楽しそうなことをしてはるな〜」

突然現れて声をかけられた‥


突然現れたのは‥

とても謎な相手だった。

そして、俺たちの選択は‥


次回 第32話 未知との遭遇?

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