第29話 告白
洞窟の上でオルトロスの肉を焼いていると、おねーさんがセーフティーゾーンから出てきた。
「おはよ〜少年君、このベッド凄いね!ゆっくり寝れたよ〜しかも肌ツヤも筋肉も復活した感じ?」
相変わらず、起きてすぐハイテンションなおねーさんだった。
「おはよ、おねーさん、オルトロスの肉を焼いてるけど食べる?」
オルトロスの肉はオークの様な脂身はないが、ワーウルフよりも筋が少なく、臭みも少なそうだった。
「早速色々戦ってきたんだ〜、心配だからあんまり無理はしないでね。まぁ少年君の事だから、色々試してみたかったんだと思うけど、セーフティーゾーンに入ると出れないんだからね!
それはともかく、焼きたてを貰おうかね〜」
おねーさんに怒られてしまった。
そして肉も食うらしい。
食べながら、俺は今日の事を説明する。
魔獣のマントの効果が使える事、ロングソードの使い勝手、弓の効果、そしてマチェットの威力‥
オルトロスとケルベロスの能力と特徴、それと対策についてを話す。
おねーさんの場合、打撃が効けば問題はないが、多数相手だとダメージを喰らう可能性があるから‥と説明する。
「少年君は私のこと考えてくれてるんだね〜、嬉しいな〜」
「いや、自分のためでもあるし‥」
「ふふ、照れなくてもいいのに、そう言うときは自身持って愛してるぜハニーとか言ってもいいんだよ?うしし」
「友達すらいなかった俺にそんなの求めないでくれよ、それに‥ちゃんと好きだから、その、死んでほしくないといか」
続きはおねーさんが自主規制
「おねーさんに、この世界に来てからのことを話しておきたい」
「んー、言いたくない事は話さなくていいんだよ?」
「いや、おねーさんだから話したい、聞いてくれる?」
「しかたないな〜、おねーさんが悩める性少年君の悩ましい悩みを聞いてあげよう。」
そして、俺は語り出す。
「あまり説明は上手じゃないかもだけど聞いて欲しい。
最初は、おねーさんと一緒だと思うけど、ある日突然目の前にコンソールが現れて、異世界に連れてこられた。
本当はかなり軽い気持ちだったし、楽な魔王退治や称賛される自分を夢見ていた。
でも、殺し合いってわかって‥
自殺か人を殺すかで悩んだ。
結局、このまま死ねないって気持ちが強くて、誰かを殺しても、生き残りたいって思った。
そして、最初に倒したのはゴブリンだったけど、正直倒す時に足が少し震えていたと思う。
その後、だんだん殺すのに慣れてくるとあまり抵抗を感じなくなっていった。
そして、色々と調べ始めたんだ。
特にこの異世界で生き残るには、何よりも強さか情報が必要だから‥
そして知ったのは、この魔石。
おねーさんも知ってると思うけど、魔石は脳の中にあって、魔法やモンスターに関連している。
だから魔石を奪えば、モンスターは死ぬ。
実は俺たち勇者にも魔石が埋め込まれていて、この魔石を奪えば、相手の魔法を使える事になる。
ここまではオッケー?
ちなみに、俺たち勇者にも魔石が埋め込まれている。
だから俺は勇者の魔石を屍体から取り出した。
これがそのボムの魔石だよ。
それと、自主規制
おねーさんほどではないけど、かなり強いと思う、だから戦わなくていい様に交渉用の屍体も持っているし‥
後は、狂信者の人を、その‥殺してはいないけど、首を刎ねて宝箱に閉じ込めた。
だから多分、俺は狂ってきているんじゃないかと思う。
今は大丈夫だけど‥
もしも、完全に狂った時は、おねーさんの手で殺してくれないか?」
俺の告白に、おねーさんは斜め上の解答を答える。
「うーん、少年君は甘いな〜
甘さで言うと、大納言くらいかな?いや、中納言と大納言の間くらいかな?少なくとも少納言ではないよね。」
「いや、意味わからんし!」
「つまり、大海人皇子よりも甘いって意味かな?
と言うことは、2人で天武の専制みたいな?
つまり、少年君は私の皇子様って事で。
ロマンスだね!
皇子と言えば、カレーが食べたくなってきた‥」
「おねーさん、余計わからんし?」
「まぁ、端的に言うと、この状況でその程度は狂気とは言えないし、まぁ普通だって事だよ?
私は海なんとか商事時代に某半島の北の国に潜入ミッションに行かされた事があったんだけど、そこでは寒村で普通に屍肉を食べたりとか、パン一個で殺し合いしたりとか、人身売買とか普通だったし、軍内でも普通に人殺しが趣味の軍曹とかがいたしね〜
あと、極め付けがトップの豚王子で、毎日3人くらい殺して、その家族を屍体の前でピーしてたからね〜
あと、某宗教国家では、普通に敵対国家の人を攫って、死なないように処置してから皮を剥いだりするとか‥
後は、紛争地域の一村惨殺とかも凄かったよ?
戦場の屍体漁りとか普通だしね〜。
つまるところ、少年君の悩みなんて、元の世界の裏を知れば大した事はないんだよ。
それに、死んじゃったら只の肉って誰かが言ってたし、この世界じゃ一万円札が只の紙って言うのと同じじゃない?」
いや、なんか違う気がするが‥
「普通なら気にするんじゃないの?」
と聞くと‥
「私が普通に見えるのかい?少年君の目は節穴かい?ふふふ」
確かにそうだ。
おねーさんなら大したことじゃないのかもしれない。
「あー、なんか緊張して損した!
まぁでも聞いてくれてありがとう。
あとさ、確かにおねーさんや馬田名井とか、ガルム、あの赤い魔物の狼版なんだけど、色々な人やモンスターと会話して、楽しめてるから前よりは落ち着いた気もするし」
俺がお礼を言うとおねーさんは笑顔で
「もう疲れただろうから、また明日にしようね〜」
と言ってくれた。
確かに、安心したら眠くなってきた‥
おねーさんが離れていった後、俺はセーフティーゾーンを呼び出し、眠りについた。
10日目終了
残り勇者8名
閑話 おねーさんの独り言
正直なところ、私はこの世界にも退屈していた。
倒しても、湧いてくるのは雑魚ばかり。
しかも、一撃の強さよりHPが優先される、不公平なシステム
しかも、私がこのイヌッコロを倒している間に、勝手に死んで逝く弱い勇者ばかり‥
退屈過ぎて死んじゃいそうだったので、実際に死のうと適当に攻撃を喰らっていた。
そう、その時だ、またもや私の死を阻止する人が現れた。
少年君だ。
私が死なないように手出ししてくれた?
どうも私の胸キュンポイントは自殺を止められる事らしい。
自分の事ながらヤバい性格だよね‥
とにかく胸の鼓動が高鳴る。
だから思い切って、でも冷静を装って話しかけた。
おじさまとの恋に破れたあの日、自分が男でない事を、女である事を呪った。
筋肉など鍛えても何にも意味がなかった。
だけど、私を受け入れてくれる人がいた。
初めての相手、私の皇子様
カレーはない。
今は、あの日の私に教えてあげたい。
それに、その後も楽しかった。
洞窟の探険、初めてのボス、オーちゃんとの手合わせ。
新しい敵や出会い。
自分だけではできなかった。
少年君が世界が広げてくれた。
今は幸福感で一杯だ。
それと、少年君の告白は大した話ではなかった。
ただ、殺してないって人は女だな。
なんか目が泳いでたし、武道家に誤魔化しは効かないからね?
まぁ、少年君が大量殺人鬼でも構わないんだけどね。
殺人鬼と言えば、某自由の国で会ったうおる太さんは若干やばかった。
21の秘蹟とかなんかの18番目とか言われたが、執拗すぎで流石にヤバいと思い逃げたことがあった。
目つきが逝ってたし。
結局自殺したらしいけど、屍体が消えたとかでニュースになって居たような?
まぁ何はともあれ、最初に少年君に言ったように、恋のパワーはすごいんだよ!
私は少年君が生きてくれるなら、私はなんでもするだろう。
ただ、少年君は危うい。
突然消えてしまいそうな危うやさがある。
特に、赤い魔物との話を聞いた時は背筋が凍った。
あれは人類が対峙するべき存在ではない。
それでも生き残った上に、会話が成立するとか、普通では考えられない事もやってしまう。
そんな危うい存在は保護する必要があるだろう。
今すぐ保護法案を提案しなければ!
それと多分、今すぐではないが、いつか私が死ぬ必要があるだろう。
私の死をもって、少年君は生き残れる、そんな予感を感じつつ、私は敵を屠り続ける‥
そう、私は愛の狂戦士
サイトウ達は新たな魔石を求め、西へ向かう。
そこで待って居た敵は?
次回 第30話 西へ




