第13話 下層へ そして慢心を知る
朝だ、今日も頑張るぞ〜
気合い入れて行っちゃうよ〜
未踏領域の下層だよ〜
今日の気分はハイテンション
なんか昨日の解体の影響だろうか?
じっくり寝たせいか?
まぁ朝だしな‥
最近朝がオカシイ気がする。
いや、朝だけでもないか‥
なんか屍体とかモンスターとか変態とかフラッシュバックとか色々あって精神は病んでいると思う。
まともな状態こそが異常
でも戦いは冷静になる
多分自分の死も冷静に受け止められるくらいに
何がまともで、何が異常かもわからなくなってくる。
いかん、朝から鬱展開とかアッパーとかそろそろやばいのかも。
とは言え、洞窟内は有用なアイテムが隠されていそうだし、行かないわけにはいかないだろう‥
さて、朝の変なテンションは終わりにして‥
これがダンジョンなら、下層の敵はゴブリンよりも強いかもしれない。
この鉈レベルはなかなかないかもだが、使える武器は多い方がいい。
虎穴に入らずんば虎子を得ずってとこだな。
まずは下に降りる。
相変わらず周囲に敵はいない。
入り口から三分岐までも特に敵は出てこない。
左の部屋は‥
相変わらずゴブリンの頭だらけだ‥
宝箱と切り株もそのままで、新しいゴブリンの首は出てこない。
それじゃ、行きますか。
RPGとかだと階段は敵が出ないが、実際階段で襲われると不利だよな‥
段差の不安定さや狭さ、逃げ場の無さ、奇襲向きだ。
俺が魔王なら絶対階段にモンスターを配置するだろう。
いや、今出てきて欲しいわけじゃないから、出てくるなよ‥
後はトラップも注意が必要だ、ぶっちゃけ作為的なこの洞窟を天然モノと考えるのは無理があるし。
そんな事を考えつつ、慎重に降っていく。
実際この階段にはトラップも敵もいなかった。
まぁでも今回は、と言うことに過ぎない。
今後も慎重に行こう。
階段の下には‥
なんかこの洞窟には不自然な扉がドーンと付いている。
パターン的にこの先にモンスターが待っている気がする。
もうボス戦か?
トラップ以外の雑魚戦すっ飛ばしていきなりボスは悪辣だよな‥
あと、扉を開けると敵を倒すまで出れないかもしれない‥
とりあえず、準備してから戦闘に行こう。
薬草、ナイフを懐に入れておく。
魔石は舞鶴響子の魔石(以下ボム魔石と略)を使ってみよう。
軽くストレッチして身体の緊張をほぐす。
扉は‥
片開きの扉でノブが付いている。
ノブをひねると開くタイプで、鍵はかかっていないようだ。
少しだけ扉を開けて中を隙間から覗く‥
中は広間になっているようだが、角度的に正面は見えないので壁しかわからない。
少しずつ開いていくと、正面にゴブリンが座っていた!
目が合ったので急いで扉を閉める。
更に階段まで後退するも、追ってくる気配は無かった。
ホブコブリンだったよな多分‥
前のと同じで定位置があるのかもしれない。
武器は見当たらなかった。
あと、咆哮で仲間を呼ぶ事も無さそうだ。
一方、俺は忍び足のスキルで不意打ちができない‥
つまりガチンコバトルをしなければならないと言うことだ。
逃げるか?
いや、武器や魔法からこちらの方が有利なはず‥
実力の確認の為にも戦うべきだろう。
作戦を考えよう。
まずホブコブリンの特徴は体力だ。
ただ、あのボスのような威圧感は無かったし、武器もない。
今のところ思いつくのは、遠距離をかましてその後で一気に勝負をかけるか、一定距離を保ち削り続けるか、ともかくガチの削り合い以外の方法を考える必要がある。
とりあえず、一気に勝負をかけてみるか‥
ダメなら逃げる!
まずは扉を開けて、宝箱を挟む。
これで閉まるのは防止できるはず。
扉を蹴飛ばして開ける。
そして、ホブコブリンに向かって走る。
一瞬びっくりした表情をするが、ホブコブリンはすぐに立ち上がり、構える。
それを見たら急制動し、比較的近い位置からボムの魔法を繰り出す!
狙いは足、ホブコブリンの膝が小さく爆裂する。
不意打ちに態勢を崩した隙に、鉈を握る。
ホブコブリンは片足と左手で地面を支えつつガード態勢になる。
ガードごと、叩っ斬る!
真空斬りで腕と顔を斬る。
浅いか?
ホブコブリンが海賊のような顔の傷になった。
腕が落ちたから反撃はできない、顔面に前蹴りをかまして倒す。
倒れたところで左手を斬りつける。
油断した、左手にダメージを与えることができたが、ホブコブリンは腹筋で起き上がり頭突きをかましてきた。
まともに額に頭突きを喰らった。
痛っつー!
ちょっと頭がクラクラする。
一歩引き下がり、相手を見る。
右手は切れ、左手も使えない、右足も膝で砕けている‥
それでも、必死にこちらを睨んでいる。
向こうも生きるのに必死か‥
こちらだって死にたくない。
だから相手の考えなんて関係なく殺すしかない。
なら、負けられない!
瀕死でも、容赦しない。
ナイフで顔を狙う。
三連撃!
左目は当たったが、右は目蓋をかすっただけだ。
三発目の喉狙いは、歯で受け止められる。
即座に死角に向かって走り、上から一閃!
頭だけだが真っ二つに割れた。
割れ目に手を突っ込み、魔石を奪う。
暴れ出す前に倒しきることができた。
なんか、有利なはずだったんだか‥
精神的にはギリギリだった。
多分、一度勝った相手に油断していたところがあったと思う。
でも正直前回はマグレだと思う。
それに、レベルアップや武器に魔石、大量のゴブリン殺害で俺様Thueeeeeeeeeeeeeなノリになっていた。
実際はどうだ?
手負いの相手にすら気圧されていた。
しかも武器も咆哮もない相手だ。
俺は所詮その程度だ‥
次油断したら死ぬ。
ちゃんと覚悟を持って戦おう。
ちなみに、頭突きでHPが2減り、真空斬りと合わせて4減っていた。
HPが残り12でMPは残り8だ。
ホブコブリンを倒した後に、次の扉と宝箱が出現する。
慎重に開けると腕輪が入っていた。
腕輪にはゴブリンの魔石くらいのくぼみが3つある。
魔石をはめて使うのか?
色付きの魔石は青の一個しかないので、大量にある、無色の魔石を嵌めて装備した。
緊急時の魔法ストックとして使えそうだ。
さて、次は‥
扉を開けるとホブコブリン‥
先程と同じようだ。
今度は油断しない‥
さっきと同じく、扉を蹴飛ばして開け、ダッシュで近づいて膝を爆裂させる。
ちなみに、頭はガードされていて狙うのは難しい。
一方で、膝は致命的ではないが、ガードがないので狙いやすく態勢を崩しやすい。
同じパターンが効くと言うことは、ホブコブリン同士のフラッシュバックはないのだろう。
ホブコブリンはこちらの隙を狙ってくる。
ならば、隙のない連続攻撃か遠距離攻撃で倒すしかない。
ただ、体力は向こうの方が上だから、遠距離はかなり時間がかかる‥
そうすると、フラッシュバックが来たら致命的になるか?
やはり一気に決めないと!
地面を支えている右手を狙いナイフを投げる。
ヨシ!
腕の付け根に刺さった。
流石にバランスが悪くなり、ガードが一瞬緩む。
鉈を両手でしっかりと持ち、上から渾身の一撃を喰らわす。
これまでよりも強く、本気の殺意で真空斬りを放つ!
頭からは僅かにズレたが、ホブコブリンの腕と胴を真っ二つにする。
まだだ、死んでない以上、油断はできない。
バックステップで距離を取る。
ホブコブリンは左腕だけの状態でも何とか起き上がり、こちらを睨む。
だが、素早い転回はできないだろう。
ダッシュで後ろに回り込み、何度も位置を変えながら斬りつける。
耳を落とし、頭を何度も斬り、目を潰し、鼻をえぐり、喉の奥まで切り裂く。
やっと動かなくなった。
それでも、頭蓋をかち割り、魔石を取り出す。
ハアハアハアハア、息が荒い。
途端に血のにおいでむせ返す。
これで、二匹目か‥
更に先がある状況に多少ゲンナリしたものの、次へ進むことにした。
ボスを倒せば討伐ボーナスが得られる。
生き残るには戦わなければならない。
運命を勘に委ね、サイトウは戦いの舞台へと赴く。
次回 第14話 二度目のボス戦




