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決心


 ママンとナナで密やかながら、俺の誕生会が開かれることになった。

 特にママンは張り切っており、「クルトの喜ぶものを用意しなくちゃ。」と色々準備をしている。

 そう言えば、俺の名前はクルトというらしい。

 なんでも、俺が生まれる前から父親が決めていたらしい。

 ていうか俺の父親はどこに居るんだよ。

 この一年で一度も見てないぞ。

 ママンは「ハンスが...」と父親の話題を積極的に出すが、ナナは話題に出すのを避けている節がある。

 複雑な事情でもあるのかね?やだやだ、大人って怖い。


 とにかく、俺が転生して一年が経った。

 魔力量増加させることぐらいしかやることがなかったが、充実した一年であったと思う。

 この世界がメルティア様がいう所の《剣と魔法の世界》であるならば、今やっていることはとても重要なことであると思っている。

 要は『力』がものを言う世界ということだろう?

 ということは前世とは比べものにならないくらいに命の価値が安いということに他ならない。

 『力』を身につけることは自分を守るために必須の条件であると思う。

 『力』無き者に選択肢は与えられないのだ。

 それが赤ん坊であっても老人であっても、冷酷なまでに平等に扱われる。

 そういう世界に俺は転生したのだ。


 俺はそれでも転生して良かったと思う。

 自由に生きるためには、『力』を身につければいいのだ。

 他者を圧倒できるような『力』を。

 単純な武力だけでなく金や権力、知識も『力』と言えるだろう。


 それらを手に入れるのは簡単なことではないかもしれない。

 努力ではどうにもならないのかもしれない。

 凡人の俺では出来ないことなのかもしれない。


 それでも後悔はしたくない。

 報われなくても構わない。

 とにかく納得できるような人生にしたいのだ。


 自分の人生に誇りを持てるような生き方をしたい。

 自由に選択肢を選べる人生を送りたい。

 未練の残らない人生にしたい。


 欲望だらけである。

 それでもいいじゃないか。

 目標は大きい方がいい。


 手始めに武力を手に入れよう。

 《剣と魔法の世界》というくらいなのだ。

 圧倒的な剣と魔法を身につける努力をしよう。


 他の『力』はそれらを手に入れてからでも遅くはないだろう。

 何せ俺はまだ一歳なのだ。

 時間はある。

 やる気もある。


 自重無しでやってやる。


 ママンの張り切って作った離乳食に吐き気を催しながら俺は決心した。







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