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期待が重い

 眩しい。

 目が灼けるような錯覚に陥る。

 何とかしようともがく。



「おぎゃあ。」



 自分の口から出たのはその一言だった。



「産まれましたよ、元気な男の子です。」


「顔を見せてちょうだい。」



 優し気な声が辛うじて聞こえるが、目が上手く開かないため見えない。

 どなたでしょうか?



「可愛いわ、とても可愛い。赤ん坊ってこんなに可愛いものだったかしら?」


「自分のお腹を痛めて産む子供は可愛いものですよ。」


「そういうものなのね。この子が私とハンスの子、可愛いわ。」



 優し気な声はママンでした。

 包み込むように優しく抱かれているのが見えなくても分かった。



「それにしても大人しいですね。普通はもっと泣くはずなのですが...」



 不味い、俺は自重しないと誓った身、俺の本気を見せてやる!



「おっぎゃあぁぁぁぁぁぁ、おっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 はぁ、はぁ。

 どうだこれが俺の今の本気だ。



「どうしよう、この子、私が抱いてから泣き出したわ。私のこと嫌いになったのかしら!?」


「尋常ではない泣き方でしたね。念のため隔離しておきましょう。」


「そんな!?生まれてすぐに母親から隔離することがあるの?」


「念のためです。何か奥様に原因があり、お子様に何かあってもいいのですか?」


「ううっ...ダメなお母さんを許してね。」



 あ、あれ?

 想像以上に大事になったぞ?

 産まれてすぐに反抗期とかどんな親不孝者だよ。

 母親を悲しませるような人間に育った覚えはないぞ、俺。

 見せてやる、俺の本気。



「...ミャミャ。」



 噛んだー!

 ママと言おうと思ったのに盛大に噛んだ。

 ごめんなさい、こんな不出来な息子をどうか許してください...



「えっ、き、聞いた?今確かにママって...」


「え、ええ確かに言いましたね。」



 この二人は難聴なのかな?若いのに大変だね。

 それとも言語変換機能が狂ってるのかな?

 さっきのは百歩譲っても猫の物真似にしか聞こえませんよ...



「この子は天才よ、将来有望だわ!」


「産まれて数分で言葉を話すなんて聞いたことがありません。きっと偉業を為す方に違いません。」



 この二人面白いんですけど。

 期待が重い、赤ん坊に背負わせる重さじゃないぞ。

 

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