居たよ、神様
目を覚ますと、俺は何もない空間にいた。
どうなったんだっけ?
便器に顔面から突っ込んで、それから...
「お亡くなりになりました。」
そうそう、お亡くなり...って誰?
「貴方たちが神と呼んでいる存在ですね。」
姿が見えないのですが?
(ぷっ、神様(笑)だって!)
「私は貴方たちより高位の存在なので認識することが出来ないのです。」
そうなんですね、すごーい(棒)。
(やばい人来たよ!自分で高位とか言っちゃってるよ。)
「ちなみに貴方が私を頭のおか「すいませんでした!調子乗ってました!」しい...そ、そうですか、分かって頂けて良かったです。」
そ、それで、その神様がなぜここにいらっしゃるのでしょうか?
「私は魂を導く役割を担っています。そこで、貴方の処遇を伝えるために私はここに来ました。」
そうなんですか。
「やけに反応が薄いですね。」
死に方が死に方だったもので...
「あれは気の毒でしたね。天界でも「あんな面白い死に方するやつ初めて見た。」とウケてましたよ?」
いらない情報ありがとうございます!死にたい...
「もう死んでますよ?これが死人ジョークというやつですか?沢山のレパートリーを持っているのですね。」
これ以上傷口に塩を塗り込むのはやめてください...
「とにかく貴方は天界の方々に気に入られたのです。」
何かあるんですか?
「はい、選択肢は二つです。一つはお笑い芸人として天界に住むこと。」
もう一つの方でお願いします。
「えっ、いいんですか?お笑い芸人とはいえ、神の一柱となることが出来るのですよ?」
これ以上恥を搔きたくないのです。だったら素直に成仏した方がいいです。
「まだ貴方は成仏できませんよ?」
へっ?どういうことですか?
「貴方は生前に転生したいと言っていたではないですか。天界の方々は貴方が笑わせてくれたお礼としてその選択肢を提示して下さったのです。」
ま、マジですか?
「マジです、こんな事例は今までありませんでした。転生するのは何か偉業を成し遂げた人しかいません。貴方は幸運の持ち主なのですよ?」
ありがとうございます、神様。
「特別な能力などを差し上げることは出来ませんが、希望はありますか?」
努力したら努力しただけ報われるような世界がいいです。
「生前言っていたことを為したいのですか?」
はい、人生をやり直したいのです。自重はしません。
「ふふ、正直な方ですね。分かりました、貴方の記憶に《剣と魔法の世界》というのがありましたので、それに近い世界へと転生させましょう。」
一つだけいいですか?
「何でしょうか?」
貴方の名前は教えてもらえるのですか?
「本当に面白い方ですね。私はメルティアと言います。貴方が転生する世界でも信仰されている神の一柱ですね。」
ありがとうございます、機会があれば祈りたいと思います。
「無理しなくていいですよ?無理やりの信仰は信仰ではありません。」
大丈夫です、時々感謝するくらいですから。
「分かりました。では貴方をこれから転生させます、準備はいいですか?」
はい、よろしくお願いします。
「次の貴方の人生は幸多きことを祈っています。」
メルティア様のその言葉を聞いた俺はゆっくりと微睡む様に意識が遠くなっていった。
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