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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
2章 『異世界』
5/50

1日の終わり

色々省略もできるはずなんだけど、どうしても考えてる事を文字化すると説明文ながくなってしまいます。



4月10日 修正完了


『最果ての村』

 村に着いたのはいいけど、最果ての村でした。

 この村より奥の森は、昔は光すら通さない程の暗闇の森で先が見えない、先がないと言われてたから最果てと言われていた。

 現在は光が差すようになり、探索が可能になったのだが⋯⋯広大な森は何層かに分かれており奥に行くに連れて光が薄くなり敵が強くなるということからギルドから一種の特殊遺跡ダンジョンと認定され、冒険者達がそれなりに挑戦している為、村自体は活気づいていた。


「にしても、災難だったねぇ」

 宿屋の女将さんが料理をもってきて話してくれる。

「いえ、森の中では絶対に迷ってましたし、山賊に捕まったのはビックリしましたが、結果的に村にも来れましたしよかったです」


 温かい料理と飲み物を頂きながら会話をする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーー数時間前ーー


 村に着いたらとりあえず警備所に連れていかれ詳しく聞かれる。

 身元など、どこから来たかなど追求されていくが現状情報がない為、答えようもなく素直に答える。

 異世界転移は、初代の勇者がそうだった事によりある程度寛容されてたが、最近では山賊に堕ちるなど転移者の中でも迷惑行為が発生している事から、今では優遇という優遇はなくなっている。 

 対応処置として冒険者登録をする事になっており、登録の際の費用は無料で初心者用の武器と回復薬も支給される。


「申し訳ありませんが、最果ての村は中継地点なので冒険者登録はできないのです。その為、明日にでも町の方にいって登録をしてもらいますが、道中護衛など必要でしたら町に戻るPTなどに声をかけますがいかがいたしますか?」

「大丈夫です。なんとかやっていきますのでお気遣いありがとうございます」

「分かりました。では、これで以上になります」

 椅子から立ち上がり警備所から出た所で、おばちゃんがいた。

 ででーんと、仁王立ちで立っていた。


 んん?

 コッチにズンズンと来て鷲掴みにされる。

「あんたの事だね。今日、転移して山賊に遭遇して無傷で帰ってきた子は」

「えぇっと、そうですけど貴女は?」

「あぁ、この村で宿屋を経営してる女将さ。行くあてもないんだろ? 今夜はウチに泊まんな!」

 やだ⋯このおばちゃん男らしくてカッコいい!

「それはありがたいけど、私お金とかもってないですよ?」

「なんだいそんな事分かってるさ! ただちっとばかし夜の夕飯時に手伝ってもらえたらいいさ」

「なるほど。そういう事でしたらお願いします」


 夕飯時の宿屋の一階は酒場みたいに盛り上がっていた。

 できた料理をどんどん運ぶ。

 酔ったお客などが触れようとするが軽くかわし捌いていく。

「やっぱ華があると酒がうまくなるな」

「だよな〜。なんなら嬢ちゃんここでずっと働いてくれ」

「ウチの息子とか貰ってくれないか?」

「あんたら吹っ飛ばされたいのかい? あんたらに華はもったいないよ」

 などと言われつつも賑やか楽しんでいる。


 そして今に至る。


「一応泊まる事になるから名前だけでも書いてもらってもいいかい?」

 名前か⋯⋯。

 宵宮枝葉(よいみしよ)が私の名前だけど、これでいくべきか迷う。

 同級生から見れば私の事は判断できるけど、この世界の人達からはそうは呼ばれないはず。

 幸い黒の誓書にはメルディス ロウ グラムと名前がある。


【この名前は彼女がつけた名前だとおもうよ。意図は多分メルが思ってる事で正解だとおもうよん】

 そういえばエコーは私をメルって呼んでるし馴染んでいる事に違和感もない。

「メルディス ロウ グラムね。元の世界はなにか貴族かなにかだったのかい? あぁ、喋りたくなければ喋らなくていいよ。おばちゃんの好奇心とおもっておくれ」

「貴族ではないですけど、親はお金持ちでしたね⋯⋯特殊でしたが」


 少し考えた後、名前と私をジロジロと見る。

「ご飯食べておくれ。ちょっと探し物してくるから」

 バタバタっと後ろに引っ込んでいく。

「えぇっと⋯⋯。いただきます」

 異世界初めての食事は、調味料はシンプルなのだが優しい薄味でとても美味しかった。

 ドタドタっと戻ってくると、メタリックな感じの変わった箱を手に持っていた。


「これは?」

「魔法石で作られた箱だよ。私の勘でやってることだから違ったらわるいんだけど、解除が特殊らしくてね。ずっと開けられなかったんだよ。だから少しみてもらっていいかい?」


 途端に眼が輝く。

 まさかのお宝=見たことのない箱に好奇心が発動しウズウズする。

「触ってみていいんですか?」

「あぁ好きなだけ見てもらっていいよ」

 触るとカチャッと音がなる。

「あれ? 開いた⋯⋯」

 女将さんがニッコリと笑う。

「やっぱりあんたが宵宮枝葉ちゃんかい!」


 ガタっと立ち上がり、警戒する。

「やっぱりってどういう事ですか?」

「あぁ、ごめんよ。警戒はしないでおくれ。ちゃんと話してあげるから」


【敵対心はぜんぜんないよ】

 知ってるよ。悪い人でもないし。


「この世界で生まれた最初の勇者はわかるかい?」

「一応、山賊頭から聞きました。アレも前の世界の知り合いだったので」

「そうかい。ならやっぱり山賊壊滅さしたのもメルディスちゃんだったんだねぇ」

「えぇ⋯⋯っと? どうしてそうなるんですか?」

「昔ね、勇者様が最初に降りた所がここだったのよ。そして、宿屋に泊めたり冒険の世話したのがウチの先祖ってわけ。あの頃は、天上の世界と地下の世界と地上の世界のお互いの争いが激しかったのよ。そのせいで、この世界を構造していると言われてる6属性龍「火、水、地、雷、森、氷」が暴走しちゃってね。一時期この世界も終焉に向かっていったのよ」

「光と闇の龍はいなかったんですか?」

「それがね光は星の創造、闇は世界の抑止力といわれ、姿は見たものは殆どいないのよ。だから見たっといっても信憑性もなく誰も信用しない事からいない事になってるのさ」

「そして、その龍を鎮めていったのが勇者様って事になってるんだけど⋯⋯」

「だけど⋯⋯?」

「此処からは先祖の話が伝わっていっただけなんだけどね。『6属性龍の時は自分は1人の女性に憧れて強くなっていっただけなんだよ。本当は彼女が勇者になるべきだったのに』そんな話を、ずっとウチの先祖と話していたらしいわ。その後に世界が落ち着いたのも束の間、魔王が初めて君臨しそれを討伐したのが勇者とその仲間達だったってわけ」

「なら属性龍の時は勇者とは言われてなかったって事なんですか?」

「そうさね。誰かがいったのよ。属性龍の時も鎮めて下さったのが冒険者であった当時の桐龍院 大牙だったと。実際実力も凄かったらしいからね。そして、魔王を討伐して初めて勇者と呼ばれるようになったってわけだね」

「その勇者がいってた女性ってのはその後はどうしてたんですか?」

「それがね。龍との闘いが終わった後に忽然と姿を消したっていわれてるわ。ただ今は城下町の方で「龍の巫女」として祀られているね。ただ名前は公開されてないのよ。なんでも祀らるにはバツが悪いとか噂たってたけど」

「その女性の名前、もしかしたらリフィ・アンサラーと言われる名前じゃないですか?」

「あら、知ってたの? 誰にも知らされてないはずなんだけど」

「いえ、私がずっと持っていた絵本(・・)のお話にソックリだったので⋯⋯。今はもう手元にはありませんが」

「そうなのかい。是非ともみてみたかったんだけどねぇ。まぁないもんはしょうがない、話は戻すけど勇者となっても、たまに此処に遊びに来ててね。その時に懐かしい話と一緒にお願いしてきてね。『宵宮枝葉っていう女の子がきたらこの箱を渡してほしい。何百年か分からないけどできたら頼む』そういってお願いされたらしいわ。ただ名前だけ言われても困ると伝えたら 『たぶん見たら分かるおもう。それ以前になにか不可思議な出来事が起こっているとおもうから、あの人はそういう人だから見た目より直感で分かるはず』そう言っていた訳。だかたこの箱は枝葉さんのもんだよ」

「なるほど、そういう事だったんですね」

 大牙君⋯⋯不思議ちゃんキャラにしないでほしかったな。

 箱を開けると箱の大きさに比例しない大きめの卵と封筒が出てきた。


 封筒を開けると手紙とこの世界の金銭が入っている。手紙には 『枝葉さんお久しぶりです。コレを読んでいる時は僕がいるかは分からないけど、約束通り勇者となって世界に響かせましたよ。本当は会ってみたいですがたぶん不可能なので、ちょっとした贈り物と大金いれても受け取ってくれないだろうと判断したのでお小遣いだけいれておきました。受け取ってください』追伸、この世界での生活は幸せでしたよ。


 よかった。

 楽しんで幸せになってた事に安堵する。

 キッカケは与えてもダメなものはダメになるのが人生であり、自分を最後まで信じてやっていかないとやっぱり世界はまわらないのだから。


 もう一枚紙が入っておりそれを読む。

『この卵は神獣の卵と言われるものです。なにが産まれるかは親次第となるのでそれはお楽しみってことでお願いします。ちなみに魔王との決戦に役立つからと言われたんですが⋯⋯俺が使うと女性が産まれてきそうでやめておきました。い・いやヘタレとかじゃないですよ! そのなんていうか枝葉さんとかに似てたら⋯⋯いや、なんでもないですただのヘタレです。それはいいとして孵化の方法は血を卵につけて魔力流していただければ産まれます』


 うん、やっぱ強くなっても根本的な物は変わってない事に微笑む。

 早速準備にかかろうと親指に歯をたて血を滲ませ、そのまま卵にペタっとつけて魔力を流し込むと卵が黒く変色しはじめる。

 黒の誓書が卵に反応する。


【黒の誓書が卵を侵食しはじめたけど、中断する? 今のまんまじゃ卵喰われて消えちゃうよ】

 ううん。このままでいいよ。

「はじめまして赤ちゃん。あなたは今この世界に産まれようとするキッカケを得ようとしています。だから人の手を借りずに自分の姿を自分で決めて必死になって産まれておいで」

 生命誕生のエネルギーは無限の可能性を秘めている。だからその可能性を見せてね。そう念じながら魔力を流す。


 卵が侵食に抗うように白く輝き、変色を止めて更に押し返した。

【黒の誓書の侵食は実行不可能になりました。エネルギー量が許容オーバーと判断。調整の為、誓書の鎖で卵を関連付けました】

 卵は真っ白に輝いた後にピシっとヒビが割れる。

 中から出てきたのは真っ白な小さな狼であり、生命が産まれた証として、キュゥンキュンと産声を上げた。

「初めまして赤ちゃん。よく頑張って産まれてきたね。これからしっかりとこの世界を楽しもう!」

 ゆっくりと優しく抱き抱えて私は言った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ベットに横たわる。

 横には新しく産まれた白い狼のフェリルが寝ている。 (名前は神獣の狼なのでフェンリルと名付けた)

 エコーは本をベット代わりに横になって、マフラーを布団代わりにしすぐに寝た。


 絵本(ソウルオブナイト)の事をおもいだす。

 もともと不可思議な本だったのは覚えている。

 気づいていた時にはずっと持っていた本。

 そして、私と共に『年々成長』していってた本だったのだから。

 読み直す毎に本のの終わりが変わっていく。

 正確には終わりの先が増えていくような日記のような感じだったからだ。


 リフィ・アンサラー「龍の巫女」と呼ばれる子の話。

 もともとは天上に住んでいた少女であり、あの特性:世界から愛される者により天上の巫女ともいわれていたけど黒龍と出会ったことにより一変する。

 リフィを快く思わなかった輩が黒龍討伐と一緒に庇い続けた彼女諸共滅ぼそうとする。

 黒龍は討伐されるが彼女の姿は見当たらなくその日から天上の巫女は消え去った。


 6属性龍もそもそもは争いが起こったから暴走した訳ではなく、黒龍によって瀕死まで追い詰められ侵食した事が原因である。

 その時の龍を鎮めたのがリフィ・アンサラーいわゆる大牙君が憧れたという女の子だった。


 龍の騒動が終わった後に彼女の失踪の理由は龍を鎮める為に使った彼女の力は黒龍のモノであり徐々に身体を侵食していったからだ。

 最終的には最後の元凶の元、黒龍の亡骸から生まれた不死龍を討伐する際に本人も限界に達しそのまま世界の柱になった。


 そういう絵本だった。

 アンサラーという『復讐者』に冠する名前も元々は黒龍が名乗っていた名前であり、リフィは黒龍の負担を半分にしたかったから名乗りはじめたのだ。

 1人で背負うより2人で背負う。

 世界に愛される予定だった女の子は、世界で1番恐れられている黒龍を助ける為に犠牲になり黒龍もまた女の子を助けるために犠牲になったお話。


 今、その絵本はなくなり黒の誓書となった。

 そして私の世界にきたあの白銀の女の(リフィ)は私の事を知っているといった。

 リフィ・アンサラーは実在しているという事は絵本の続きがあるってことだ。


 私は一体なんなんだろうか? ホムンクルスで作られた人格? 彼女のコピー?

 現状の情報ではいくら考えても分からないけれど、やっぱり不安にもなる。

 本の続きの真相は気になるし、やはりいつかは真相には近づいていかないといけない。

 例え、それで私という個体が消えていく事になろうとも⋯⋯。


 そうしてその日は、眠気に誘われるまま目を閉じて、深く眠りについた。



最後のフェリル君はフェンリルの愛称なので文字が抜けてるわけではありません。



余談なんですが、本当のソウルオブナイトの話はもともとリフィが主人公だった話なんですよね。

リフィが主人公の話は高校生の時つくった物で、約20年前だったんですが、序盤以外どこにも載せてないのでメモと当時にイラストのみで残された物です。

それを、適度に組み合したものが今のソウルオブナイトだったりします。

この話とは別に、リフィの話も載せてみようかと思いましたが、大牙君の奮闘記みたいなものでもいいかなっと悩み中です(´・ω・`)


宣伝もまだ積極的にしてないので、見てくれてる方、本当にありがとうございます♪

これからもまったりとお付き合いしていただければ幸いです₍•͈ᴗ•͈.₎

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