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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
3章 世界と龍
44/50

オマケ話 (ミキとヒタリ)

とりあえず、話に入れたいことは入れれたたと思います。


 街の離れに街を一望できる山が立っていた。

 元は私有地で大きな屋敷が建っていたのだが、数年前にそこに住んでいた仲のいい夫婦の1人娘が死んだことにより夫婦は去ってしまい、屋敷は廃墟と化し、現在はオバケの家と呼ばれるようになった。


 それから数年後、変わり果てた夫婦は1人の女の子を連れて屋敷に戻ってきたのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 少女は夢を見る。


 夢なのか⋯現実なのかは判断がつかない程、鮮明に明確に夜な夜な同じ夢を見る事によってうなされており、その傍らには2人の人形が近寄る事もなくその光景を朝まで眺めていた。


 そこは夜の街なのだろうか? 太陽が照らすことはなくオレンジ色の光で常に街全体が明るく照らされており、その中には獣人や人間やドワーフなどが普通に暮らしている。


 その街の一角に教会らしき建物があり、その中には大きなクリスタルーーそのクリスタルの中には夢を見る少女をそのまま成長させた様なソックリな白い女性が両手を広げたまま止まっていた。


 その教会には毎日飽きる事もなく、黒い服に包まれた男が通っていた。

 黒い男はクリスタルに手を当て何かを呟いた後、その場から動かず、ただひたすら白い女性と同じ時間を過ごしていた。


 それから何日、何十日経過しているのかは分からないが場面がふと切り替わり、教会の扉を手加減もせず力任せに開けた黒い男の手は紅く染まり、お腹を抑えていたもう一つの手からも鮮血が溢れていた。


 男は苦しそうな顔をしながらもクリスタルに手を添えるといつも通り何かを呟くのだが今回はハッキリと聞き取れる。


【お前がいない世界、俺にはかなり荷が重い。俺がお前を守るはずだったのに⋯お前が俺を守ってたんだな。やっと気づけた。この世の(ことわり)を】


 手が滑ったのか、体力の限界なのかそのままクリスタルを紅く染めながらも背もたれにして座り込む。


 虚ろな目のまま男は再び彼女とも思い出などを呟きながら楽しかったんだなぁとだけ最後に言って、自分の胸に手を刺し入れ心臓を引き抜いたあとに捧げるように潰す。


 黒い男は色素が抜けるように、白くなっていき、それと同時ににクリスタルにヒビが入りはじめ割れた中から眼を覚ました白い女性が男に駆け寄る。


 泣きながら何かを訴える女性に、男は少女の頬に手を添えて言う。


「泣くな。出会った時から⋯⋯は決定事項だった。ここまでの⋯⋯は誰も⋯⋯⋯つかなかっただろう。ここでお前のいる世界を終わ⋯⋯」


 男は最後に「さよならだ。リフィ」そう言って途切れ、女性は「じゃあね。クロ君」と崩れさろうとしている男に口づけをして立ち上がると、純白だった姿はすっかりと黒く染まっており、そのまま姿を消した。


 少女は朝起きると、うなされていたのが嘘のようにスッキリと目がさめる。

 少女にはその夢の記憶は一切ない。

 少しどころか夢の欠片すらも残ってはいなかった。


 だからこそ、少女は夜な夜なうなされているのであったのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 世間からは、その屋敷の仲のいい夫婦は1人娘を溺愛していた。

 あくまで『世間からは』であり、その夫婦は1人娘ではなく、双子の姉妹がいたのである。


 姉は活発で元気がよく、仲のいい夫婦を偽造できたのも姉のお陰である。

 妹は屋敷から出ることはなく閉じ込められていた事により奥手になり、いつもビクビクしていた。


 姉妹はとても仲が良かったが、親からは家ではウザがられていた。

 妹を守る為、姉は世間では親の言われた通りにしていた。


 そして何も知らされず、その後2人は親に生贄にされ世界から拒絶される。

 夫婦は姉妹の命よりも、やはり姉の陽の光を増幅を優先にして、妹の負の光が薄れて失敗したと結論をし次の事を計画し考えていた。


「父様と母様見えてないのかな?」

「おねぇちゃん、私達どうなったの?」

「どうなったんだろうね。でもいいよ! 見えてないならこれで私達ゆっくりと遊べるもん!」

「遊んでいいの? 怒られないの?」

「うん! お姉ちゃんにまかしなさい!」


 すぐに夫婦は姿を消し、屋敷には2人だけが残った。

 お腹が減る事もなく、睡眠も形だけ抱き合って寝ていた姉妹が遊び尽くして数年が経った。

 

 立派だった屋敷はボロボロになり蔦に巻きつかれ、古びた廃墟になっていたが、姉妹はいつも通り遊んでいる。

 生贄のせいなのか、原因は不明なのだが、姉妹の魂は確かに成長していた。

 肉体という器が無くなっただけで、生きているという言葉が使える不可思議な現象⋯そういう意味では夫婦の実験は成功していたのかもしれないが誰も知ることは無かった。


「お姉ちゃん! あれってもしかして!」

「うん。父様と母様だね」

「女の子もいるね」

「そうだね、なんか絵本だけ持っているね」


 廃墟と化した屋敷に夫婦が戻ってきた。

 小さな女の子を連れて。


 それから屋敷の中に入り、何かを唱えたあと持ってきたマネキンが二体動き始めて、家を綺麗に片付けはじめる。

 地下の真っ暗な部屋に女の子を閉じ込め鍵をしめると、人形に何かをいい夫婦は振り向く事もなく屋敷を後にした。


 姉妹はその光景をずっと見ていた。

「また、私達のようになるのかな?」

「うん。たぶんね」

「かわいそう⋯」

「そうだけど⋯私達が出来る事なんて⋯」


 そういうと鍵が人形によって壊される。

 女の子は扉から出ると笑顔で大暴れしながら駆け巡り、森の方まで走りまくり人形に捕まり屋敷に戻される。


「⋯⋯心配してたけど、なんか元気だね⋯この子」

「⋯⋯うん」

 

 親がいない女の子は毎日屋敷を、森を、駆け巡り大暴れする。

 夜は暇つぶしに屋敷にあった書物に読みふけたと思うと夜の森に特攻して捕まっていた。


 それを眺めていた私達とたまに眼が合うが、すぐに何処かに走り去っていく。


 その頃にはもう、自分の胸がチクチクと嫌な感じに痛み出していた。

 いつからだろう⋯。

 私達の心に彼女が眩しく映り始めたのは。


 美味しいものを食べて、お風呂で暴れて、森を駆け巡り、笑わない人形相手に話しかけて笑っている彼女が羨ましくーーそして憎く思ってしまったのは⋯。


 私達はどうやって笑っていた? 感情はどうやって出していた? 私達はずっと遊んでいたけど果たして感情はでていたのだろうか⋯。


 ドス黒い感情が芽生えると同時に彼女に危害を加えようとしていた。


 地下の研究室の大きなガラス造りのフラスコがあり、その近くで彼女は書物を読んでいた。


 いつもは押せない物体だったはずが、その時は容易に動かせると確信をし、彼女に向けて押し倒した。


 振り向く彼女は気づくのがとても遅く、そのまま押し潰される状態であったが、人形の片方がそれを吹き飛ばす。


 ハッと我にかえった私達はその場から去ろうとするが、もう1人の人形に捕まった。


 この状態になり、触られた事よりも先に初めての恐怖を覚える。

 私はどうなってもいいから、妹だけは助けてほしいと切実に願った。


「やめてあげて」

 彼女がそういうと、人形は私達を放り投げるように彼女の前に投げる。


「先に住んでたのにごめんね。ずっと2人で楽しそうだったから、邪魔をしてはいけないと思って挨拶もしないで距離をとってたの」


 あぁ⋯そうか。

 彼女は、最初から私達を認識していたんだ。

 見えてないと壁を作っていたのは私達であり、勝手に羨ましいと思い、勝手に嫉妬して、勝手に憎んだのだ。


 彼女と眼があうと消えていた方は私達のほうであり、食べるはずのない人形が毎日3人分の食事を用意していたのも疑問に思わなかったのである。


 その日から、少しずつ彼女とぎこちなく遊ぶ事になる。

 勿論、彼女の方はそうでもなく、罪悪感のせいだろうか私達のほうがギクシャクしていた。


 ある日の夜、屋敷の頂上でお月様を見て時間を潰していると、外の木から人形がずっと彼女の部屋をのぞいてる事に気づく。


 なんだろうと思い、ただの気まぐれで彼女の部屋に入るともう片方の人形も部屋の片隅からうなされている彼女を見ている。


 いや⋯⋯この言い方は違う? あれほど過保護に彼女に接しているのに今だけ近寄らないのはおかしい。


 近寄ってあげたいけど近寄れないのだ。


 感情のない人形なのにも関わらず、無念の声が聞こえてくるかのようにずっと眺めていたのだ。


 うなされている彼女をみると、うわ言のように何かを呟いて手を伸ばしていた。


 私達は、なにも考えてないまま咄嗟に右手と左手にぎゅっと手を差し伸べると、彼女はほんのり和らいだのか落ち着いたように眠る。


 窓の外にいた人形はいつのまにか消えており、部屋にいた人形は私達の方を見るとお礼を言うようにお辞儀をして静かに出て行った。


「お姉ちゃん、この子私達みたいにはなってほしくはないね」

「うん。そうだね。だけどあの人達も大切に彼女を扱ってるから大丈夫な気もするけどね」

「どうしてそう思うの?」

「この子、貴女みたいに閉じ込めるつもりだったのに、すぐにあの人形が鍵を壊したからだよ」

「なら、夜だけは私達で安心させてあげよっか?」

「それもいいけど、夜も昼もこの子の為に何かをしていこうよ」

 こうして深夜まで話をしていると、姉と妹という名前ではいけない話になる。


 私達には名前がない。

 親が残した書類の中には姉と妹しか記されてはなく、あとは記号だけであった。


「なら、私はミキでいいよ。丁度この子の右手だしね」

「え〜⋯じゃぁ私はひだりてだから⋯えーと、えーと⋯」

 いい呼び名が思い浮かばず悩んでいる。

「ヒタリでいいじゃない。とても可愛いよ」

「うん! なら私はヒタリにするね。ミキお姉ちゃん」



 ガンガンっと何かを叩いてる音により、手で繋がった彼女達は目覚める。


「あれ? 私達⋯寝てたの?」

「何かものすごくスッキリしてるね!」


「ふあぁぁ、おはよ〜」

 少女が目を覚ますと両手を握られていた事に気づく。


「あぁ!! えぇっと! コレは⋯」

 あたふたしてる私達に、ただ一言「ありがとう」とだけ言われた。


 そのあと自己紹介をきちんと改めてして、そこからは名が体を表すように私達は一緒に行動する事になる。


 その日より、彼女ーーメルディスが夜うなされることはなくなり、私達は彼女が寝た後に人形達に出来る事の全てを教えてくれと頼むとすんなりと了承してくれた。


 メルディスが成長したある日の事、私達に器を用意したと言われる。

 反物質の話や私達の心臓部をリンクさせたりなど難しい話をしてくる為、信じてるから大丈夫と一言だけ言う。


 器を体に定着させてなじませる為、少しの間このカプセル内での休眠を余儀なくされ、私達は眠る。


【あれ? 私の声に反応しない生命体⋯んん? また変わった生命体だね】


(誰? メル様以外に干渉できる人はいないはずなんだけど)

(あれミキお姉ちゃんも起きてるの?)


【この空間でも適応するなんて余程洗練されてるんだね。本来はここで消滅させる予定だったんだけど、あの子の力に干渉してるのかぁ。なら触らない方がいいだろうし見逃してあげる】


(見逃す? あの子? メル様に何かをするならここで滅します!)

 眠っている身体を無理やり起こし上がらない筈の瞼をゆっくりと持ち上げるとそこには白銀のーー顔つきが彼女にソックリな女性がいた。


【ふふふ、すごいね。でも、この世界は間もなく終わるから君達もこっちにおいで。いつかあの子が迎えに行く時までゆっくりと眠っててごらん】

 そういうと彼女は開きかけてた目をゆっくりと閉じらせた。



(お姉ちゃんよかったの?)

(えぇ、悔しいけど⋯何もしてはいけないわね。むしろできないのかしら⋯。少なくともココで動いてもメル様の迷惑になるだけ)

(今の人って悪い人だったの? 私にはそうは思わなかったけど⋯)

(良いか悪いかで言えば、たぶん悪いんでしょうね。メル様の何かを知っていたし)

(そっかぁ、メル様に早く起こしに来てほしいね。実体になるってことは更に楽しくなりそう)

(そうだね。まぁその分苦労も増えそうだけどね。まぁ、起こされる間に何かメル様をびっくりさせる何かをしようよ)

(賛成〜! 何をする?)

(そうだねぇ。生半可な事じゃビックリしないだろうし)


 2人とも悩んだ挙句、姉が「む⋯」むずかしいと言おうとした後に、ハモるようにヒタリが「ずかしいねぇ〜」っと言った。


(ヒタリナイス! うん! 良いこと思いついちゃった!)

(ふぇぇ?)


(私達は2人で一つ。なら喋り方も一緒にしようよ!)

(んん〜どういうこと?)


(例えば「おはよう」を言う時は、私が「お」、はい、ヒタリもいって)


(は)とヒタリが言い。


(よ)とミキが言うと要領を理解する。


(う)と笑いながら言った。


(楽しそうだけど、大変そう⋯)


(大変だけど私達なら問題ないでしょ? これなら絶対にメル様ビックリするよ!)


(うん!)


 こうして2人は、メルディスが起こしにくるその日まで、言語特訓に励んだのである。

友人に、このメイド達なんで右と左からとったん?と責められたことがありました(´・ω・`)

正直名前は苦手なんです。メルやらエコーもといメインキャラは楽しいんですが、他はモブにしか見えてないんです。まぁわかる。ダメな事はわかるけど、話をとりあえず書いていくと人物名考えるの飽きてくる。


だが、ここで宣言をしよう。

適当?に考えた名前からでもこうやって良さげな話が生まれた事は良い事なのでは!!


まぁ最終的に言える事はこうして自惚れて名前が更に適当になっていくんだろうっと確信してますorz

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