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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
3章 世界と龍
40/50

寄生体細胞

「さて、私を見くびったお前だけは当然殺したいのだがパパとママに渡したら喜んでくれる為、殺さない。とても残念だがその眼だけは殺そうと思う」


「あのちょっとすいませんが聞いてもいいですか?」

 ビルが何かに疑問を持ちつつ喋りかける。


「なんだ? 雑種。一応冥土だ発言を許す」


「エルバの生まれ変わりか?」


「えるば? なんだソレは食い物の名か? それにしては何かその名前はムズムズするな」


「違うのか? それにしては顔をみるとぶち殴りたい衝動にかられるんだけど⋯」

 自分で自分の顔を殴る。


「なら自分の顔でも殴っておけ雑種」


「けど、間違ってないかも。結構時間経ってるとおもったけど産まれて1〜2年じゃない?」


「どこまでもお喋りが好きな連中だな。だったらなんだという」


「う〜ん。言ってもいい事なのかなぁ⋯まぁ結果は一緒だしいいかな⋯。君のその成長過程から言わせてもらえれば元となる細胞があるのよ。その本体を弄って細胞を手に入れた人物がパパとママで、その細胞核をつかって産み出したってわけ」


「だったらなんだという。必要だから産み出されたのなら問題はないだろう」


「適合率も適当で産み出したサンプルに愛情? 必要なのはその生き様というデータだけよ」


「ふざけるな。愛がないと子は産まれないと私は知っている。言葉で私を惑わそうと試みてるつもりだろうが無駄だ。そんな回りくどく下らん説明するならもっと簡潔に言え」


「短命ね」


「あ?」


「短命っていったの。何十年何百年生きる生命体作るわけないでしょ。せいぜい数ヶ月程度だったのが意外に生きていると向こうは喜んでいるだろうね」


「この雑種が!!」


「案外分かってるんじゃない? 実を食べるだけで100%感染する高性能なわりにこの村の範囲から広げたくても広がらない効果の狭さ。だから実を食べても離れたら束縛はできない。そして自分の成長が感じないという実感。成長してるんじゃない成長はもう終わってるの。ようするに細胞核は生きてるかは知らないけど成長が終わったならあとは終息に向かうだけだよ」


「姉ちゃん!!」

 主人を置いた夕日がそのまま突撃してきたのを大地が風打ちを使いタックルする。


 その瞬間に、銃を大地に向けて撃つと粘糸を絡めながら夕日と包まっていく。


「なぜ動けるのだ!」

 夕日の様子を見て一瞬目を逸らす。


「意識があるならこの程度の束縛ならさー問題なく風打ちで動かせるのよ!」

 その瞬間を見逃さず銃を数発撃つが、蔦などがバリア代わりになり弾が届くことはなかった。


「ふははは、甘い! その程度のフェイント読めないと思ってたのか! 私にはこの周り全ての植物の眼がある。攻撃を当てたければ零距離でくるしかないぞ? まぁ、その機会はもうないんだがな」


 ギシっと身体が締め付けられる。束縛の力が更にきつくなったのである。


「村人の束縛を解放してお前達のを強化した。さて他になにか出来ることはあるのか? なければお前以外の雑種の拷問をはじめよう」


「⋯⋯う⋯⋯クッ」

 完全に動けない程、束縛は強くなっている。

「うーん負けたぁ。打つ手なし。参りましたぁ」

 観念したのかメルディスは大人しくなる。


「なんだつまらん。もう余興はないのか? パパとママが来るからもう少し遊んでもよかったんだがな」

 警戒は解かないが、動くことはできないと確信している。


「え? メル姉それ本気でいってる?」

「うん。本気だよ。ここまで束縛できるなんて予想出来なかったし」

「うっわーマジかぁ。ならアレはしておいていいの?」

「あぁ、アレやってもいいよ」


「アレとはなんだ? まだ何かできると思ってるのか? まぁ出来るもんならやってみろ」


「よし、じゃあアクアまたな!」

 メルディスのように束縛されていないビルは風打ちで抵抗を底上げしアクアに触れるとアクアは黒い影に呑み込まれ姿を消した。


「な⋯なにをした!! いますぐさっきのやつを戻せ!」

 周りの樹木が蔦を鞭の様に使いビルを叩きまくる。

 風打ちで衝撃を吸収しようとも永遠に出来るわけがなく一撃喰らうと残り全て打撃を受け服が破れ血が滲みボロボロになっていく。


「⋯戻すわけないだろバーカ」


「そうか⋯」

 鞭の様に使っていた蔦を次に突き刺す様に使い腕を貫通させる。

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

「ふむ。雑種にしてはいい声だ。なら次は⋯⋯」


 パァンっとその場に似合わない乾いた音が鳴り響き、ビルの身体はそのまま力無く崩れる。


 メルディスの手には銃が握られており、銃口から煙が揺れている。


 今からいたぶろうとした相手が突如崩れ落ち、その理由が一切分からず、一瞬思考が止まりながらもメルディスの方をみると自分の側頭部に銃を突きつけていて更に思考が止まる。


「き⋯きさま!! 一体何を⋯」


「ゲームオーバーだから自決? 逆転のしようがないもの。じゃぁ、そういうことで」

 さよならの挨拶をするかのような気軽さで、銃の引き金を引き、メルディスの側頭部から血などが飛び散り力無く倒れた。


「うわぁぁぁぁぁ!!」

 大地が声をあげながら倒れた2人の元へ駆け寄る。


「はぁはぁはぁはぁ⋯! なんなんだこいつらは普通は命乞いをするものではないのか! 答えろ貴様!」

 激しく動揺しながらも苛立ちを言葉に乗せる。


「なんてことを⋯僕だって知るわけないだろ!!」

 反抗的な態度をとるが、なにもされることはなくビルの後にメルディスの方も揺さぶると指が微かに動いた。


「はぁ⋯本当にあと数秒おそければ手遅れだった」

 先程の動揺も落ち着きを取り戻すと口角を吊り上げ笑う。

「こんな小娘1人に、操る奴らを全て破棄しないとならなかったなんてな」


 頭から血をながしながらメルディスの力が抜けている身体はゆっくり起き上がる。


「⋯く⋯そぅ? ワタシ⋯ころし⋯て?」

 眼だけは大地の方に向きそう言ったのである。

「あ⋯⋯あぁ⋯っ」

 その光景に顔が引きつり、そのあと蔦に叩かれ吹っ飛ばされる。


「ここまできてさせる訳ないだろうが! くそっ! 操る動きが遅い!! さっさと来いゴミ!」


 力無くだらんとなった身体をゆっくりと引きずるように主人の元に歩いていく。


「くそっ! クソっ! クソッ! 大丈夫⋯まだ意識が残るほど脳は残っている。ママもパパもこれぐらいなら許してくれるはず!」

 親指の爪がストレスを発散するようにかじる。

「そうだ! 勇者の珠もあるんだから大丈夫! うん。絶対に大丈夫!」

 ご褒美をもらいたいが故の逃げ道。

 認められたいからこその意識逃れ。


「つ〜〜か〜ま〜え〜た」

 突如そんな言葉を投げかけられ、後ろを向くと側頭部が弾けてるメルディスがしっかりと立っていた。


「な⋯んだ⋯と? お前は⋯」

 そういって掴もうとした手はそこにはなく、手だけではなく身体が全てなくなっている事に気づくのに思考が追いついていかなかった。


「にしても、何でも喰べれるのはいいけど情報解析しながら消化のせいかな。すぐお腹一杯になっちゃうんだね。それが可愛いからいいけど」

 身体が合った地面には黒い小さな龍がお腹を膨らまして座っている。


「⋯にしても今回は疲れた〜」

 そう言って内側から弾けていた側頭部に手櫛で流すとプチプチとその部分が取れていく。

「うーん、顔はさっさと洗いたいけど我慢するしかないかぁ」


「なぜだ、なぜ操れない!」

 メルディスにしか操作の力が無いため動かそうと何度も試みたのだが反応がない。


「寄生体? もういないよ? さっき銃で飛ばしたじゃない」

 手櫛をして取れたものは、ウネウネと動き集合してスライムになる。


「ありえん。解除する方法なんてない! 同化してるはずなんだ!」


「同化っていっても後付けだからね。私のスライムはちょっと特殊でね構造極性によりどんな寄生体よりも遥かに小さく浸透でき動物性、植物性にも対応可能。因みに君が頭だけで生きているのもその理由だよ」


「寄生体に寄生だと⋯⋯な、なんなんだ一体⋯なんだというのだ⋯」


「さてっと操る神経部分と脳波などの情報も得た事だし⋯」


「ふん、面白いモノを送ってきたから久々に顔をみにきたのだが⋯」

 森の茂みからローブを羽織った男が蒼い珠を手に持っている。


「パパ! ママ!」


「あぁ、⋯⋯お前がコレを送ってくれたのかい?」


「うん! それが勇者の力だよ。喜んでくれると思って頑張ったんだ!」


「よく頑張ったな。偉い子だ」


「はぁ⋯相変わらずね。それにしても魔力回路復活できたんだ?」

 会いたくなかった人物にあったという分かりやすい顔をする。


「あぁ、お陰様でな。お陰で人間ではできなかった事ができるようになって非常に満足だよ」

 ローブを取ると、顔がない生々しい肌色の肉人形が姿をあらわす。


「で、今回はいいデーターとれたのかしら?」


「おぉ、そうだった。名前はまぁどうでもいいか⋯とりあえずご褒美をあげようか」


「うん!!」

 満面の笑みで返事をした瞬間に、女型の顔のない肉人形に後ろから頭を一口で喰べられた。

「う〜ん。育ってるかと思ったらイマイチ薄味だったわぁ〜♪」

 そのまま軽快な足取りで男型のほうにくっつくと同化する。


「唯一の成功例だったが、所詮は植物かーーまぁ、珠の褒美とし情報の漏洩を許し安楽死で満足するだろう」

「そんな事より、懐かしい娘がいるわねぇ〜♪ 元気にしてた枝葉ちゃん♪ 折角だし大人しく実験の材料にならない〜?」


 肉人形のお腹から刃が出てくる。


「あらあらあら〜? お腹から剣が出てきちゃったわぁ〜♪ お腹をかき混ぜる感覚はとても感じちゃう♪」

 そういって剣を引き抜きそのまま落とすと自分のお腹の中に手を入れて掻き回す。

「ふん、確かに斬新だな」

「でしょ〜?」


 剣はスライムに戻りそのまま土に溶けていく。


「大人しくあのまま消えてくれてたらよかったのに。変態性に拍車がかかってるじゃない」


「ひどい言われようねぇ〜。まぁ、今はそんな事どうでもいっか〜。面白い物が入ったんだしコレも活用しましょうよ♪」

「あぁ、そうだな」


「そのまま突撃してくるかと思ったんだけど、あの失敗以来、成長したのかしら? それともただ単に自分の命と実験が大事になっただけなのかしら?」


「あの時は〜、2人もいたから失敗しただけよ。あの2人さえいなければ⋯⋯まぁ、今はいないだろうし〜? やってほしいならそれでも⋯⋯」

「つまらん挑発にのるな。結果、我らは魔力回路を刻まれ終わり、この身体に転生したそれだけだ」

「はぁ〜い。今回の(コレ)も弄りたいし〜アレが完成したらあいさつに向かわせるわ〜」


『我ら(私達)の新しい子供をね』

 2人はそう言って風と共に消えていく。


「さてっと、こんな感じだよ。あなたがパパとママっていった人物は」

 土に溶けたスライムの黒い後から頭が横たわったまま出てくる。


「うぅ⋯うぅぅっ!」

 涙は出てはいないが、自分の立場を理解し葛藤する。


「気持ちはわかるけどね。拾ってもらっただけだけど、戸籍上は私の両親でもあった訳だし、実の娘すらも手をかける程のサイコパスだからね」


 目に生気をなくし、徐々に枯れ果てていく中、周りの蔦や樹木が目に止まる。


「⋯⋯⋯⋯」

 ボソボソと何かを呟いたあと、メルディスが頷くと影に呑み込まれいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「で、なんで今回こんな回りくどい事したのさ! 俺なんて殴られ刺され、挙句に銃で撃たれて死ぬ寸前までされたんだよ!!」

 目が覚めたビルは、想いをメルディスにぶつける。


「だってさ〜不確定要素が多くて後手後手に回るしかなかったんだもの」


「それはそうかもしれないけど! やり方はもうちょっとあったんじゃないの?!」


「それは難しいねぇ。だって時間なかったんだもの。あの実を食べないと村に歓迎されない程の執着心はもう全員操られてると思ってたし、操る度合いも調べる時間なかったし、初日に実を食べさせられたし、本体倒したらその寄生体が暴れる可能性も捨てれなかったし。村中に眼があったから最初に黒の誓書は白紙に見せて使えなくしたように見せかけていかにも使えませんよ的に装備も制限したり、犠牲を最小限にする為にはこうするしかなかったんだもの」

 口を蕾めて言う。


「そこまで考えてはなかったけど、あのスライムを身体に仕込んで通信手段にしたんなら、全部教えて欲しかったんだけど⋯⋯」


「それも調べられる可能性あったからねぇ」


「それは姉様の嘘ですね」

 アクアがキランと目を光らす。


「え? そうなのか?」


「だって、それならあの遺跡のスレイプニルの時に相手が知っててもおかしくなかったですし、夕日さんも終始変なパーティと言ってましたから。もし意識まで読み取られるなら、数日はまだ時間はあったと思いますよ」


「⋯⋯バレたか」

 眼をそらす。


「要するに情報を与えないようにどう動くのかを訓練させるといえば聞こえはいいけど、あのスライムを使って見たかったが正解な気がします。っていうよりもスレイプニルを喰べさしてますよね」


「うんうん。アクアはよく見てるね。いい司令塔になりそう。とりあえず実には寄生能力はもうないから食べても大丈夫だし、村の人達も大丈夫。それでいいじゃない♪ それだけでいいじゃない♪ ちなみに言わしてもらえれば今回はあの子の対応処理が遅いが弱点だったからね。速さをもって処理能力をオーバーさして隙を突いただけかな」


「メル姉⋯強引にまとめすぎ⋯⋯。けど、あのままもしも捕まっていたら、どうなっていたのかな」


「あのまま村に連れていかれて、意識あるまま村の人達に四肢を刻まれてゆっくりと食べられていたよ。その後、あのローブの化け物に渡され実験に使われて終了かな」

 パラパラと黒の誓書をめくる。


「興味あるなら体験してみる? たぶん性格はガラリと変わるよ。ビル君の目の前でアクアがアレされてコレされて更には◯◯◯してXXXその憎しみ恨みを最大限にしたあとに⋯⋯」

 誓書から小さいドリアードが姿を表し、触手をウネウネしながら「やっちゃう? やっちゃう?」とジェスチャーしている。


「聞いただけでもういいよ⋯⋯」

 所々の単語の意味は理解してはいないが、想像する必要もなく胸糞が悪くなる。


「まぁ、もうこの実は美味しいだけなんだし、しっかり食べて明日から頑張ろうよ」


「え? まだ何かやるの?」


「遺跡の時に引かれた臭いの事、まだ根に持ってるんだけど♪」


「まじデスカ⋯⋯」


書きたいことをまとめきれませんでしたorz


とりあえずまずは書いていきますが、そのうち修正⋯⋯を⋯orz


うんちく(個人の見解)

構造極性:いわゆるアメーバみたいなもの。切っても切っても元に戻る性質をs極N極の磁石のようなものと解釈。

メルディスはコレの性質をスライムに適応させ、ドクタースライム(Dスライム)としている。身体に巻きついているのもこれであり多少の傷など問題ないのがその理由である。


ちなみに銃で自分の頭をうったあとは、不純分子を吹き飛ばし余った部分を側頭部から生やし演出を用いただけである。

ビル君に撃った場合も同じで、違うことは麻酔を打ち意識を刈りとっただけである。


そのうち自分の顔に撃ち顔変えれるようにすると面白いかなっとw

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