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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
2章 『異世界』
4/50

数時間後に会った同級生が山賊に堕ちてました

4月9日修正完了です(´・ω・`)

 目が醒めると、狭い牢屋に閉じ込められていた。

 周りを確認すると、大きい牢屋に沢山の女性が詰められている。

 その反対側で盗賊の頭が台座に腰をかけており、足元に商人らしき人達が跪いている。

「今回はご苦労だったな。次もうまくやれよ」

 一礼をして数名は後ろに下がり、残された商人はガタガタと震えていた。


「さて、お前らに選択肢をやる。こいつらみたいに俺の為に役立つか、そこの阿保みたいにここで死ぬか」

 私を捕まえた1人の足元に瀕死の商人がいる。

 その商人の妻子だろうか? 鎖に繋がれて必死に叫んでる。


 もちろん商人達に選択肢はなかった。


「なら、お前らもいい女がいたら捕まえてこい。ツテの商人いるなら巻き込め。報酬はキッチリ弾んでやる」

 下がった商人を見ると、あとで楽しむ為だろうか牢屋の女を吟味している。

「頭、こっちの牢屋の女は特別なんですかい? もし良ければ、私はこの子がいいんですが」

「お、起きたか。そいつは駄目だ。特別も特別、前の世界の知り合いだからな。そして⋯⋯まさかと思ったがお面を見たときはびっくりしたよ」

 椅子から立ち上がり、私の元に来る。


「久しぶり枝葉さん。俺の事覚えてる? クラス委員長してた我間 優作だよ」

 委員長がきて20年は立っているんだろう。

 過去の姿はなくおじ様に変貌してる。


「私にとっては久しぶりではないけど⋯⋯。委員長って騎士になったんじゃなかったの?」

「あぁーーなったよ」

「それにしては、山賊っぽい事になってるけどどうしちゃったの?」

「そんな事決まってるさ。自由に女とあそべなかったから辞めたんだよ!!」

 ガシっと牢屋に摑みかかる。

「騎士だぞ。国を守ってるんだ! 女にチヤホヤされてもいいだろ! そして最後は姫ともイチャラブして国王になれるはずだったんだ! それがなんだ、結局は姫にはキモがられ、遊んでる女達に嵌められ騎士の資格剥奪されたんだ!」

 女と遊べなかったら騎士やめちゃうんだ⋯⋯。

「それってただ単に欲望丸出しにしすぎたんじゃないの? 不必要にベタベタ触ったとか、ジッと見てるとか」

「あっちも気にしてこっち見てるんだから! 両思いなら別にいいだろ!」

「いや多分、それって視線が嫌だったからじゃない? 女の子はそういうの敏感だし。男の子はそういう勘違いしやすいから困ったものよね」

「まぁ⋯⋯もう、いいんだよ。盗賊になった事でいい女とやりまくれるんだし、金にも困らないしな。なにより! 姫なんかどうでもいい!! あの時1番欲しかったものが! いまこうして目の前にいるんだ!!」

 そう言って興奮気味に、牢屋に入って来る。

 お風呂とかないのだろうか? 獣じみた匂いがする。

 ビリっと服を裂かれ、肌を露わにする。

「あぁ⋯⋯やっぱりとても枝葉さんは綺麗だ」

 ガシッと手で押さえつける。

「枝葉さんを捕えたチームは最優先で褒美やろう。なにがほしい?」

 4人の内3人が女がいいと言う。

 最後の1人は違った。

「無理でなければ、その女が着けてたお面を希望さしていただきたいんですが⋯⋯前に、頭が酔った勢いで『俺の欲しかった女の目印は仮面だ! その仮面は絶対に壊れずかなりの価値がある』と聞いちまったもんで」

「構わん。仮面の価値なんざ枝葉さんと比べるとゴミみたいなもんだ。椅子のとこにあるから持っていけ。あとおまえらも盛り上がれ、女も酒も今回は好きなだけ楽しめ」

 部下達が洞窟が震えるぐらい一斉に吼えた。


 酒池肉林にアジトが騒めく。

 山賊頭は隅々まで裸体を触り堪能する。

「枝葉さん⋯⋯やっぱり初めてだったんだ。最高だ! 初めての男になれるなんて」

 狂気に顔を歪めた男が、この時だけは童心にもどったように歓喜する。

 本能の赴くままに腰を打ちつける。

 嫌がる顔も痛みに耐える顔も声を出さないように堪える顔も、全て興奮材料になるのだろう。

 男がすぐに果てる。

「やべぇ、気持ちよすぎる! 興奮がおさまんねぇよ! 枝葉さんも気持ちいいか?」

 そのまま久々にあった同級生に腰を打ちつけるの。


 酒池肉林の中、お面を持った男が辺りを見る。

 モルモットを見るように、ただ、辺りをジックリと観察する。

「はぁ、なんていうか、こうなると盛りきった動物ね」

「声出しても気づいてくれなさそうだし、しょうがない」

 頭が座っていた高級な椅子を大きな音と共に破壊した。


 その音に静寂する。


 後背位に繋がったままの山賊頭が激怒する。

「てめぇ! なにしてんだ! 調子こいたらぶっ殺すぞ!」


 男は何も言わず仮面を顔につけると、煙が巻き上げ姿が変わっていた。

【幻惑、催眠効果を解除しました】

「私は数時間ぶりなんだけど、我間優作君お久しぶりね」

 宵宮枝葉が微笑みながらそこに立っていた。


「あ⋯⋯ゥぇ?」

 自分の腰の先を見ると、お面を欲しがっていた男が、気絶してお尻を突き出していた。


「うわ⋯⋯」

 慌てて腰を抜くと、接合部分は裂傷し血が出ていた。

「ねぇ? 観察さしてもらったけど、男の子って入れるだけでいいんなら別に女の子じゃなくてもいいんじゃない?」


 山賊頭が周りを見る。

 酒池肉林の様子は全て幻だった。

 山賊同士で犯っていただけだった。


「い⋯⋯いつからだ。いつからこうなってたんだ」

 いますぐにでも吐きそうなぐらい、真っ青な顔の我間優作が問う。

「ん〜? 最初からだよ。冒険者だったらよかったんだけど、山賊だったからね予定変更したのよ。お面を最初に確認のために持ってこさしたのは、催眠と幻術効果を漂わすためよ。あとはここに案内してもらっている時に捕まってる商人がいたから助けて、ついでに応援を呼んできてもらってる感じかな」

「この世界にきたばっかりなのに、そこまでできるわけがないだろ!」

「できるわけがないと思ってるなら出来ないんだろうね。幻惑と催眠はそこの山賊が私にかけてきたから覚えただけよ。余談だけどこう見えても前の世界でも世界征服しようとする馬鹿な人いたから戦闘もしてたよ?」

 盗賊の1人が火の魔法唱え撃ってくる。

 魔法は彼女に近づくに連れ、火の勢いは比例して弱くなりパッと手にをかざし受け止める。

 手の上に小さい火の玉が浮いている。

「私には魔素を使った魔法の効果は薄いらしいわ。中級か上級も撃てるなら撃ってみてもらえないかな?」

 フワッと透明になって火が消える。

「望み通りにしてやらぁ!」

 中級魔法を詠唱し、発動しようとするが不発に終わり、そのまま気絶する。

「なるほど、先程の初級の魔法で普段の数倍(・・)魔力を使用したのね」

【正解。特性効果だよ。周囲の魔素は全てメルの為に働きかける。簡単にデバフ効果で言えば、消費MP数倍と魔法威力激減が常に発動してる感じだね】


「さてっと、応援が来るまでどうする? 話でもする? 逃走する?」

「いや、そんな訳ないでしょ。3つ目の選択をとるに決まってる。お前を犯した後、殺して逃げれば済む。アジトなんてこの森にいくらでもあるしな」

 山賊達が剣を一斉に抜く。

「あぁーーけど、やっぱりもったいないな手足切って便所になってもらうか。お前等、わかってんな。手足は切っていいけど殺すな」

 翻弄され激怒している盗賊が牙を向く。

「⋯⋯本当に漫画みたいな台詞になって返ってくるんだね。びっくりだよ」

 クスクスと笑う。

 いわゆるお約束をいう人達が滑稽で面白い。

「その舐めきった余裕、すぐになくしてやるからな! お前等! やれ!!」

 剣振り落としてくるのをかわし、右足で左顔を思っ切り蹴る。

 パァンっといい音がする。

 山賊の頭が右に向き倒れるかと思っていたのだが、顔を真正面に向き直すと疑問を浮かべた。

「いてぇ⋯⋯なぁ⋯⋯あれ? 痛くない? いや⋯⋯いたいのか」

 口からモゴモゴとすると歯が折れていた。

「こいつ勢いの割にダメージないぞ。いまので1しかダメージ入っていない」

 後方の山賊がステータスを見ていう。


「成る程ね。どれだけ本気でやっても私の攻撃が1しか与えれないのはこういう事ね」

【だよん。ただ歯が折れた痛みあるように、衝撃や勢いはそのままだから裂傷や毒などのダメージは入るし、スタミナなどはドンドン削れていくよ】

 山賊達は力が弱いと知ったのか、全員が強気になってかかってくる。


 時間にして10分程度だろうか。

 少女の前に立っているものはいなかった。

 山賊頭以外は、全員スタミナ切れで伸びてる者もいれば気絶してる者もいた。

「さて⋯⋯我間君、様子見でかかって来なかったけど、どうする? お話でもする?」

 先程と変わらない様子で言った。

「は⋯⋯はは、こいつら、ほんっと役立たねぇな」

 そう言って腰の剣を抜く。

「元騎士の俺が、本気で相手してやるよ」

「こんだけ相手した後の敵に向って、マジっていう言葉使うのも嫌らしいけど、元騎士の名前はもういいんじゃない? 過去の事なんでしょ?」


 一気に距離を詰めて、剣を振り落としてくるが、避けると同時に切りはらってくる。

 ッと、後方に跳んで距離をとるがすぐに詰めてくる。

 早いね。ある程度強かったらこれぐらいの速さになるんだろうか? その剣技を回避しながらジックリ観察する様にした。

 時折反撃もしていた事もあり、相手が息切れした所で話かけてみる。

「我間君、LVだけでそう早くなるの? それとも何か使ってる?」

「はぁ⋯はぁ⋯、おかしいだろ。なんで当たんねんだよ! はぁはぁ⋯⋯英雄の技と一緒の風打ちすらも使える様にしたってのに」


 風打ちつかってたんだ。みんな使えたりするんだろうか?

「英雄技? 風打ちってみんな使えるの?」

「本当にしらねぇんだな。英雄いや勇者が過去使ってたと言われる技だよ。取得難易度が高すぎるうえに魔力の素質も必要だから、いつの間にか英雄技と呼ばれるようになっただけだ」

 息を整える。

「最初の勇者の名前聞いたらウケるぞ。桐龍院 大牙だよ。あのチビで太ってた奴が勇者として名を響かせやがったんだよ」


 その言葉を聞いて笑顔になる。

「ふふっ♪大牙君ちゃんとやってくれたんだ」

 私が渡した卵は無駄にならず、立派に成長していました。

 それとも失敗したら何か言われることが怖かったから頑張ったのかも知れないけど。

「あいつにできて俺にできないわけがねぇ。騎士時代のときに、現勇者を探してヒントを得て会得したんだよ。最高の移動技だからな」

「風打ちって移動技だけしかないの?」

「あ? どう意味だそりゃぁ」

「いい情報教えてもらった事だし、少しレクチャーしてあげる。私の場合は、風打ちって戦闘スタイルの一環なのよね」

「まるで使える様な素振りだけど使えるわけないだろ?」

「まぁ、見てもらった方が早いかな」

 その時には綺麗にお腹に膝が入っていた。

「ガハッ」

「ちなみにこれは風打ち【跳】からの只の膝上げね。そしてコレが⋯⋯」

 体を捻り右足を軽く左顔に当てる直前で止める。

「風打ちの中で名前のない基本の型【打】よ」

 当たってはいないのに凄まじい衝撃が左顔に走り壁まで吹っ飛んだ。

「風打ちはそもそも、魔力の恩恵が大きい女性が自分の非力を補う為のものとして教えてもらった技なんだけどね。振りぬかなかったのは気絶するとおもったからだよ」

「がぁぁ! なんでだ! 俺の方が長く生きてるのに経験も俺の方が高いはずなのに! なぜ、ここまでコケにされる!」

 周りにある小瓶を手に取りニヤリとする。

「もういい⋯⋯本気で殺しにいってやる」

 小瓶を何本も開けると一気に飲む。


【相手のステータスかなり上がったよ。あそこの道具箱のほうに蹴飛ばしたのはその理由なん?】

 そうだよ。道具もどんなものがあるか見ておきたかったし。ステータス上げるのってスクロールなどかとおもったら薬でもあるのね。

【両方あるよ。薬はあんまり保存期間が長くない事と安いぐらいだねぇ。あと応援がもうすぐ来そうだよ。エコレーダー(仮)に反応した】


「じゃぁ、私も我間君が後悔ないように、遊んであげる」

 腰に手をかざし銃を取り出す。

「ハッ! いまさら銃とかばっかじゃないのか、そんなの当たるかよ!」

 先程より数段早く、避けきれず少しずつ斬られていく。

「おいおい、どうした! その銃で撃ってこないのか」

 挑発してくるが、それに応じる様子もなく相手を観察する。

 結果ものの数分で攻撃が当たらなくなり、クソ! クソ! と呟き、焦りが見えはじめる。


【ここにいる全員、黒の誓書に記されました】


 その言葉を合図に動き出す。

「風打ち【弾】」

 スタミナのせいで握力が無かったのか、自分の速さに対応できていなかったのか分からないが持っていた武器が一瞬で弾かれ壁にあたると同時に砕ける。


 ヒッと距離をとる。

 斬られた傷はもうない。

「化け物⋯⋯?」

「違うよ。斬られたのはプルちゃんだよ。紙一重で避けてたつもりだけど、早くなったから表面だけ斬られたのよね」

 ずるりと皮を剥がし落とすと丸くなりプルプルと震えてる。


 ここでやちょ勝てないと気づく。この化け物には勝てないと。学校の時、いじめに関しての抑止力という噂が本当だと実感する。

「わかった。俺の負けだ。もう山賊まがいもしないから許してくれ」


 その言葉を無視する様に話を続ける。

「風打ちの中で一文字は基本技とおもってるのよね。私の中で最高は今のところ3文字」

 冷や汗が身体中から出る。

「まて! まてまて! ほんとに悪かった。勘弁してくれ。元同級生として頼むから見逃してくれ」

「その3文字の中で、この銃を使わないとできないものがあるのよね」

 

 自分の頭がバンっと音が弾け吹っ飛ぶ。

 続け様にバンッバンと頭の中で鳴っていく。


「風打ち【無拍子】時間差で音もなく衝撃を伝える技なんだけど、あぁ⋯もう聞いてないかな」


 音が鳴るたびに片腕が弾け回転しそうになると別の方から衝撃が走る。

 一見からみると壊れた人形のように不自然に踊っている状態になっていた。

「とりあえず殺す気はないから安心して。どんなに物理与えてもダメージ1だしね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そのあと村の警備兵と冒険者が来たが、壊滅したアジトの広い牢屋に1人の女の子が捕まっているだけであった。

 女の子が言うには、黒いローブを着ていた人が助けてくれたとの証言で商人を助けてくれた人と一致する為、それ以上の追求は無かった。


 山賊たちは全員命に別状はなく、疲れ切って寝ているだけであるが、山賊頭だけは記憶の錯乱、混濁、手足は複雑骨折、腫れがひどくて顔の識別ができなかったことのみである。


 こうして最初の予定は狂ったが結果的に、近くの村に案内してもらったので結果オーライである。


 さすがにあの中で1人無事だった事と慌てる様子もなく冷静だった私に、若干引かれていたのは残念であるが⋯⋯最後、演技でもしたほうがよかったのかなぁと馬車の中で考えながら進んでいったのである。


そういえば全年齢にしたので、Hなシーンは適度に省きました。

暇あればどこかに載せるかもです。



風打ち【無拍子】のバンっという音は、やられた本人にしか聞こえていません。


風打ち【弾】自分の周囲の一点のみを極端に弾ける。

風打ち【纏】こきでは使われていないけど、周囲防御です。弾くというより、いなす感じです。

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