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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
3章 世界と龍
33/50

森龍

すいません。

2章ではなく3章からにしました。

まだ考えがまとまりきれてないので、章分けもそのうちしっかりする予定ですorz

 ーー最果ての村ーー

 

「まさか⋯⋯いつのまにか、お姫様とも知り合いになってるなんてねぇ〜」

「えぇ、命を救っていただいたのもありますが、今ではもう家族のように一緒にいます」

「そうかい。まぁ、どんどん喋り方が柔らかくなっている事はとてもいい事だから嬉しいのだけどね」

「ビルにぃにとアクアねーちゃんと私達は家族だよー」

 クレアの隣にいるモロとミナが横から入る。

「で、にぃにとねーちゃんの好きな人がメルねーちゃんだよ〜」

「ね〜」

「ビルとアクアも2人もたしか首都の奴隷区の問題を片付けた時の知り合いだったはずだけどね」

「そうなのですね⋯⋯あの時は本当に大変でした⋯⋯」

「ま、今度落ち着いたらその話でも聞かしておくれ。とりあえず⋯⋯⋯⋯」

 宿屋の中は、平和ムードが漂っている。

「最果ての村が残っていればの話なんだろうけどねぇ⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯ミキさんとヒタリさんもフェリル君も手伝ってくれてるので⋯⋯大丈夫だと信じましょう」

 宿屋の外では、戦争の如く、村人達が駆け回っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ーー数時間前ーー


「クレアも最果ての村に来るんだ?」

「えぇ、ドリアードの方々に言われた事もありますが、私ももう少ししっかりと知るべきだと思いましたので」

「うん。いいんじゃないかな。大丈夫、命落とすような事はさせないだろうし」

「メル様と動くと、必ず命の危険があるのが恐ろしいんですけどね」

「それが冒険ってとこじゃないかな。なんだかんだいって死んでないでしょ?」

「いえ、ただの魔法1発が命の危険が及ぶなんて聞いた事は私はありませんが⋯⋯」

「説明ほしいって言ったのはクレアじゃない? まぁ、実際には私も説明欲しかったんだけどね」


 ドリアードの森を抜ける前にエコーからの説明が入る。

【黒の誓書が隔離されたことにより、少し内容に変化が生じたよ】

「ん? どんな?」

【ダメージ1は変わらないままだけど、魔法の使用はもう完全にやめた方がいいよ。メルの中から不純物が消えたことにより、魔力の元であるマナが、これまで以上にメルに関わってくるから】

「そう言われてみると使ってみたくなるじゃない。前に魔法使ってみたけど、衝撃の方が強いだけで魔法自体はショボかったんだし」

【あれはあれで、通常より強い威力だけど⋯⋯あの時は手加減してたし十分でしょ。ただ、ダメ1だから実感が湧かなかっただけだよ。けどまぁ、今回は本当にオススメしないけど⋯⋯やるなら⋯⋯手加減の更に手抜きをして撃ってみるといいよ】

「そこまでしないでも⋯⋯」

【いいや! だめ! あと火の下級魔法にして見るといいよ】

「もう! そこまで指定しなくても⋯⋯」


 森の出口でドリアードが見送りにくる。

「あ、ちょっと魔法を使って見ていいかな? 黒の誓書が変化が起こったと伝えてきたから」

「はい? 大丈夫ですが⋯⋯なんでいまさら魔法なのですか?」

「うーん。説明のしようがないかも。ただ、火の下級魔法を手抜きして手加減使ってみると分かりやすいって言われただけなのよ。とりあえず⋯⋯火の精霊、我が元に集い放てだったかな⋯⋯えぇっと『ファイア』」

 指先から小さな火の玉が出る。

「姉様⋯⋯それは手抜きしすぎでは⋯⋯」

 火の玉のショボさに流石のクレアも苦笑いをする。

【バッカヤロウ!! 普通飛ばす魔法は飛ばすだろ!! しれっと目の前に落とそうとしてんじゃねぇ!】

 黒いマフラーが慌ただしく猛ると同時に、誓書にコピーをしていたエアレンディルの能力を使い火の玉を遠くに吹き飛ばした。


 飛んだ火の玉は周囲のマナを取り込むーーいや、マナの方からメルの役に立ちたいが為に、小さな火の玉に自ら限界まで火に入り込む。


 カッと眩い光を放つと、小さな火はみるみる膨れ上がり、クレアとメルの目の前まで膨れ上がった。

 クレアは口をパクパクしている。

 ドリアード種もある程度までは予想していたが、それ以上の出来事に目を見開く。

【言っとくけど、熱さ感じないのはマナ達がメルの意向をとって周囲に影響出さしてないだけだからな!! メルはともかく、このメスと森と城の半分は焱獄のなかで跡形もなく焼失してるからな! ダメージ1だろうが空気もなく細胞も消されたら生きてはいられまいよ!】

「おお〜!」

 かつてない光景に眼が輝いてた。

【おい⋯⋯他の魔法つかうなよ? 本気で死人出るからな?】

「⋯⋯⋯⋯分かってるわよ。ただ、魔法をつかうなら、別の方法を考えるしかなくなるわね」

【間を空けんなや⋯⋯。ただ、龍言の章は魔法から派生するから気をつけろよ】

「あぁ、3分しか持たない龍化ね⋯⋯」

【簡単に言うけど、黒の誓書→白夜→闇夜→真夜→龍化(Dフォーム)になるんだけど、誓書が隔離された事により、ある程度のマナが揃うとDフォームに変化するから】

「ある程度というのは? ⋯⋯まさか」

【うん。当たり。あの火の中に入っていれば条件が満たされる⋯⋯ただDフォームになるには足りないものがある】

「それが根源ね」

【そ、少なくとも7本剣の意味はもう分かってたんでしょ?】

「一応ね。ただ、その先に一体なにがあるっていうの?」

【それはメルが考えて出す答えなんじゃない? チェルノにもそう言われたんでしょう?】

「っていっても⋯⋯ほんと興味ないと言いたいんだけど、完全に歯車に組み込まれてるよね」

【そりゃ、しょうがないでしょ。この世界は元々歯車が欠けてた世界だったんだし、そこに歯車がハマったら動き出すしかないでしょ】

「私が元いた世界は?」

【あれは無の繋がり(ミッシングリンク)だよ。元々無い世界だったはずのイレギュラー。そこにどこかの誰かさんが力をつけてしまったせいで歪みが生じた訳。そのせいでこっちの世界のリフィに繋がって終わった感じ】

「え? 私のせいで前の世界って終わったの?」

【今更かい!!】



 ほんの少し前の事を懐かしく思うクレアがいた。

「なんか前置きから長い気がしましたが⋯⋯改めてミキさんとヒタリさん、どうかよろしくお願いしますね」

「クレア様、こちらこそよろしくお願い致します」

 メルディスが考えをまとめる時間も欲しい事から、道中は馬車で移動しゆっくりと時間をかけ最果ての村へと向かっていった。



 最果ての村に着くと、白い狼であるフェリル君が迎えに来てくれた。

「フェリル君、アレから進展はあった?」

(あの時のドワーフは、たまに森の中で姿を見かけるが、目立った動きはないが⋯⋯追いかけてこいと誘っているようにも見えた)

「ふむ」

(現れるなら、そろそろでて来る頃合いだと思う)

「どこら辺で見かけるの」

(入口から少し出た森の中⋯⋯いや、今日は違うらしい。我が主を求めたか」

「え?」

 そう言われ後ろを振り向くと、ドワーフが森から出たところでこちらを見ていた。

「お! やっと来おったかい。なるほどのぅ」

 ニヤニヤとしながらこっちを見る。

「【かわいい敗者】だったかのぅ」

「『あ』」

 その場にいた全員がスローモーションのようにメルディスを見る。

 が、時すでに遅し⋯⋯一連の流れはすでに終わっており破壊力重視である長銃ミラを掲げてニッコリと笑っていた。

「お話しましょうか♪」

 村の入口の門が吹っ飛び、そこから森に新たな一本の道ができた。

「ちっ素早い! ごめん、ちょっと捕獲(半殺し)してくるから、後片付けよろしく」

 長銃を消し、双銃に持ち替え森にはいっていく。

「とりあえずクレアさまは宿屋に避難を、フェンリルは村の戦えるもの達と防衛を、私とヒタリは防衛と門の改修をいたします」


 メルのドワーフ狩り⋯⋯捕獲のついでに森に追われたモンスターを狩り備蓄を増やしつつ村の防衛に当たっていた事がこれまでの経緯であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さてはて、かわいい敗者は儂を捕まえる事が出来るかのぅ? ふぉっふぉ」

 そう言いつつも、草が茂り、樹木で混雑した道を流れるように走り去っていく。

「まだいうか! あとで絶対に後悔さしてやるからね!」

「ふぉふぉ、ならば、ゲームスタートじゃ」

 早送りのように更には消えるように森の中を走り去っていく。

(はや! ドワーフってそもそもスピードあったっけ? これは⋯⋯)

 風打ちで【跳】びながら、ギリギリ離されないようについていく。

 右に左にと流れるような動きは凄まじく、走っているというよりドワーフがジェットコースターにでも乗っているように流されているようにしか見えない。

 現にメルディスは、コーナーが膨らむこともあり銃の中には蜘蛛のカードを設置して木に放ちドリフトのように曲がっている。

(んー、これは厳しい。さて、とりあえず距離は縮めないと)

 相手の動きに集中し、相手が動こうとした瞬間に銃を撃つ。

「うぉ、敗者が反撃してきおったわい。だが、そんなもんじゃ当たってやれんのぅ」

(よし進路は妨害出来るっと)

 それから幾度もなく進路を妨害し差を縮めていく。

「なるほどのぅ。中々やるではないか! ならばこれならどうじゃ!」

 指をパチンと鳴らすと、樹木の根っこや草が動き出す。

(これか、何かまだ隠してると思ってたのは)

「魔力装填、ファイアブレッド」

 銃を構え放つと妨害した根っこのみ綺麗に焼失する。

 これが道中に考えていた、魔法の代用として使う案である。

「ふぉ!!」

 流石のドワーフも瞬時の的確な対応に焦りが出始める。

(うん。悪く無い。銃弾で保護してるから、マナも入り込めないみたいだし。最小でこの威力なら許容範囲だね)

「いまなら、まだ許せるかもよ? 大人しくお縄につかないかな?」

「ふぉっふぉ、トラップが無効なのはちとビックリしたが、まだまだこれからじゃよ! 次はこれじゃい!!」

 ドワーフがユラァと揺れると左右に分かれて走る。

 瞬時に双銃を風打ちを加えて左右に撃つ。

「甘いわ!!」

 最高速度の銃弾を弾きそのまま走り去り、メルディスは左を追う。

(そっちはハズレじゃい。運の方はまだまだヒヨッ子だったらしいのぅ。まぁ、念の為に当分走るかの)


「うん。やっぱこっちハズレだね。ファル君それ動き止めて」

 そういうと、影が動きドワーフの手足に巻きつく。

「コレが本物だったらダメだろうし、偽物だけど何かに使えるかもしれないし村に送っておこう」

 ホームランを打つがごとく、動きを止めたドワーフに鬱憤を晴らすべく風打ちを【打】ち獲った。


 ーー最果ての村ーー


 その頃、村では一通り防衛が一段落が済んで少し休憩に入ってた。

「結構、溜まったな。これだけあれば今年の冬も余裕だな」

「みなさまお疲れ様でした。宿屋のヨーコさんから冷たい飲み物が用意してくれたのでどうぞ」

 クレア、モロ、ミナが村人に配っていく。

「ぷはぁ! うまい!」

「ミキさんとヒタリさんも飲んでください。冷たくて美味しいですよ」

「えぇ、私達はもう少ししたらいただきます。メル様が戻っていないとなるとまだ任務は完遂してはいませんので」

「いやぁ、流石にこれ以上は来ないと思うぜ」

「ここ以外にも獣道などはいっぱいあるからな」

「そうそう、空から何かがくるなら話は別だけどな」

「ちがいねぇ」

「ふむ、空からですか。なるほどそれは盲点でした。みなさん今すぐそこから4歩程下がってもらっていいですか?」

「??」

 言われるままに下がる。

「ミキさんどうしたんだ⋯⋯⋯⋯い」

 男の会話の途中にその下がった中心に、短い足が地面から生えていた。

「ひぃ! なんということを⋯⋯とうとうメル様が人殺しをしてしまいましたわ! ⋯⋯コレは止めれなかった私のせいですわ」

 その光景にクレアが混乱する。

「と、と、と、と、とりあえずこの方を引っこ抜いて埋める? 隠す? 食べる? どうしたらメル様をたすけれるのでしょうか?!」

「クレア様落ち着いてください。コレは⋯⋯人ではなさそうですね。まぁ、メル様が何かを考えてこちらに送ったのでそのまま放置しておきましょうか」

「え? このままですか?」

「はい、動かしてもいいですが、何かが起こった場合処分しなくてはいけませんので」

 平和なムードはこの地面から足が生えている事により、盛り上がりきれなくなり仕事ムードにと変化していった。

「⋯⋯とりあえず何か⋯⋯悲しいお姿ですし布でもかけておきましょうか⋯⋯」

 見るに耐えれないため、ソッと布をかけるクレアであった。


 ーー再び森の中ーー


「スジは悪くはないが、まだまだ経験の差かのぅ。今頃は儂の分身に気づいて悔しがっとるぐらいかのぅ」

 木の根っこに腰を下ろし休んでいた。

「やっぱりチェルノの言った通り、殺さないように、壊さないようにしておるせいかのぅ。あれがチェルノだったら間違いなく世界征服は済んでおろうな⋯⋯まぁ、それを含んでかわいい敗者の姿じゃろうが」

「なら、いっぺん死んでみる?」

 遠慮のない風打ちを、顔に【打】つ。

「ふぉ!!!」

 間一髪、身体を寝かせ回避する。

「ち、またハズレた」

「お主どうやって、偽物を追ってたんでは?!」

「追ってたよ。偽物をね。あの時の銃弾に影を仕込んでてね。いつでもどちらにも行けるようにしたのよ」

「分かってて偽物を⋯⋯なるほどのぅ。にしても、ここからはいい眺めじゃのぅ。お主の純白パンティが丸見えじゃわい」

「それは何よりで。⋯⋯で、最後の言葉はそれでいいのかな?」

「そこはキャァとかいって離れるのがセオリーじゃろ!! といっても、もう詰んでもうたか。儂の負けじゃい」

 ドワーフが消えると同時に、辺りの景色を湾曲する。


 歪みが元に戻ると、全く別の景色になっていた。

「ここって⋯⋯聖域というより別の空間に感じる」

「左様、この姿でははじめましてじゃのぅ。宵宮枝葉どの」

 空間が語りかけてくる。

「えぇ、初めましてエッチなドワーフどの。そして世界の柱である森龍でいいのかしら?」

「ふぉふぉ、世界の柱は今はもう過去の話じゃよ。今は世界の楔じゃのぅ。あのいたずらなドワーフは老いた儂の唯一の楽しみなアヤタラでのう気にしないでおくれ」

「森の悪い精霊(アヤタラ)ねぇ⋯⋯あまり出没しそうなら退治しなくちゃいけないんだけど」

「それは今日までじゃから、もう気にせんでもええよ」

「そうなんだ? じゃぁ、私を呼んだ本題に入りましょうか」

「せっかちじゃのぅ。まぁ、悪くはないか。さてまずは、ファントムマントの礼を言うのかの」

 大地を揺るがすと、目の前の巨大な山が動き出す。

「⋯⋯龍というより、亀に近い?」

「ふぉふぉ、木龍といえ時代が過ぎれば森となるんじゃよ」

「で、礼はなにかしら?」

「儂と全力で戦い、儂を殺す事じゃよ」

「また⋯⋯それ? チェルノ君といい、流行ってるの? 正直別の人に頼むか、自分でしてほしいんだけど?」

「ふぉふぉ、また無意味(・・・)な質問をなされる。歯車といったのはつい先刻の事。あの絵本(ソウルオブナイト)の軌跡を辿るならば、これは避けて通れぬよ。無論帰ってもええぞ。残り僅かな余生を楽しんで全てをバットエンドにするならな」

「ほっんと! タチが悪いよね。あなた達のグループていうべきなのかは分からないけど、特性のせいで万物全てを殺す事を拒む意思を無理矢理抑え込んででも殺す事を強要させるなんて」

「⋯⋯すまんのぅ。ただ我等には、お主の世界から愛される特性は適用はされはおらぬ」

「ならいっそ、もの凄く嫌っていてくれたら嬉しいんだけど?」

「それも無理な相談じゃな。我等とは立場が違えど、その身体のその輝かしい生き様に憧れ、羨ましくも妬ましくも愛おしいのじゃから」

「⋯⋯あなた達が全員で考えれば、どうにか出来るんじゃないの?」

「無理じゃったよ。そしてこれ以上無理をしてはこの星が終ってしまうのじゃ」

「推測だけど、星が終わっても貴方達は生きてるんだし、再び星もつくれるんでしょ?」

「そうじゃのぅ。柱では記憶には残らぬが出来るじゃろう。が、この度のこの星が成功したと感じ消滅はさせたくないのじゃよ」

 巨大な山は豆粒程のメルディスを見る。

「さて、これ以上はもうええじゃろ。では、はじめようか」

 何かをいいたそうなメルの口を遮るように、巨大な脚を前に出しメルを踏みつける。

 範囲は途轍もなく広いが見ての通り遅い為、躱すと、その脚から樹木の大量の根っこが何万とメルを捕らえようと向かっていった。

 鋭い根を焼き、太い幹に乗り、一直線に大量の根っこを処理しながら巨大な頭に走っていく。

 

 巨大な頭に辿り着くと、火の下級を首の根っこの部分に放ち、全力で離脱する。

 そう、弾ではなく魔法を使った事により、大量のマナがメルの役に立とうと火の玉を拡大、暴発していき、首の根っこの部分が半分まで焼失する。

 あとはその頭こ重さに首が耐えれなくなり、千切れて落ちていく。

「⋯⋯大きいとこんなものよね」

「ふぉふぉ、頭を一つ落としたぐらいでは何も痛くはないぞい」

 次の瞬間、巨大な山からは頭が7つ新しく生えてきて視界を全て塗り潰すような樹木が一斉にメルを包み込む。

 いかな速さをもっていようとも、逃げ場がなければ逃げる事すらできないのであり、それを対処する方法は一つしかなかった。

 メルを中心に巨大な火の玉が生まれ、その全てを焱獄を発生させ焼き尽くした。

 その中に1人、左眼が赤く染まったメルが7本の剣と共に姿を見せると、右手で白い剣を掴むと残りの6本が消える。

「さて、ここからが本番じゃな!」

 何も言わないメルだが、真紅の龍眼だけは、相手の全てを取り込むように凝視しはじめた。



 それから数刻たつ。

 白い煙と土埃が舞う中、沢山の樹木が倒れ積もっている山の上に、黒いマフラーだけがなびいていた。

「⋯⋯⋯⋯ほら、なによ。龍っていってもこんなに小さいんじゃない⋯⋯」

 タツノオトシゴみたいな小さな木龍は、自ら動く余力もなく横になっていた。

「⋯⋯ふぉふぉ⋯⋯、お見事でした。元々、私は死にかけていた所を新しい身体に入れたのですが、その新しい身体も間も無く死んでしまって成長がなくなったのじゃよ」

 だからこの姿なのだ。

 それから小さな樹木が集まり、徐々に成長していき、数百年間ずっと樹木が寄り添ってきてくれたのだという。

「儂が死ねば、大陸の境界線はいよいよ消えるじゃろう。この世界は再び元に戻る。戦争なども起きるかもしれんがそこらは上手い事やってくれると信じるわい」

「思ってた以上に投げやりね」

 少し困った顔をしている。

「そりゃぁのぅ、儂も疲れたんじゃよ。そして⋯⋯やはりお主は優しすぎるのがキズじゃがどうか心を痛めないでおくれ。主は正しい事をしているのじゃよ」

「それは⋯⋯難しいね」

 特性のせいかやはり、心が凄まじく拒絶しているのが分かる。

「さて、そろそろ儂を眠らしておくれ」

 その言葉に呼応するかのように、誓書から一本の(から)の剣が出てくる。

 その剣を手に取ると左眼がルベライトに染まる。

 左眼以外が剣を落とす事に拒絶するが、後押しするように左眼から赤い涙が零れ落ち、剣が自然に降りて小さな木龍に刺さる。

「これで⋯⋯やっと寝れるわい」

 (から)の剣が、その空間全てを呑み込む様に吸い込み取り込んでいく。


【再生の根源を入手しました】


 空間が消えると、辺りはすっかりと闇に包まれ、静寂な暗闇の中からは虫の音色だけが静かに鳴り響いてた。


 女の子は直ぐに村に戻る事はなく、飛び出している木の根っこに腰を掛けると誓書をおもむろに開き、森龍の事を時間を忘れ調べる。


 気づけば辺りは深い霧に包まれて、白い世界に変わっていた。

 そして、おもむろに誓書から木の欠片を手に取ると軽く握り締め、その根っこに置いて去っていく。


 女の子が振り返る事もなく去って間も無く、木の欠片は太い幹に吸収されていくと、草むらから木の枝からそこら中に、小さな悪戯が好きな精霊が姿を現し大きな木と共に新しい聖域にへと消えていった。


最後の書き方はまだ迷っていますが、まぁひとまずこれでいこうとおもってます。

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