番外編「2人の出会い」前編
少し暗い話です。
「例の女の子の動きはあったか?」
「まだありません。昼に食べ物と子犬を盗まれた後に、追いかけたのですがどうも撒かれたようで夕刻には気分を落として宿屋に入ったきりです」
「了解。引き続き監視を頼む」
「⋯⋯⋯わかりました。ですが必要性があるのでしょうか? みる限り普通の女の子ですよ」
「そうなのだが⋯私の弟が筋肉以外で興味を示したのが初めてでな。少し気になるのだ」
「分かりました。引き続き監視しておきます」
【監視されてるねぇ】
そうね。まぁ敵対心とかじゃなく興味のみだから大して害はないからよしとしましょう。
【着替えとかも覗かれるかもよ?】
減るもんじゃないし構わないわ。
【経験ない女子なんだし恥じらうのも必要じゃない?】
そういってもーー見るだけならきっちり見てるしやり方もいくらでも知ってるわよ?
【はんっ! コレだから処女は! 実際その立場になったらメルは絶対にオロオロして男を失望させるな。エッチ本を初めてもった野郎がちょっと大人になったと思うほどの勘違いぶりじゃよ!】
失礼な! 私は実戦に強いタイプなの!
【ほう⋯⋯なら、ちょっとそこのベットに寝て誘惑してみろ】
なんで私がそんな事をしなくちゃいけないのよ。
【あれぇ? できないんだ? できないから嫌なんだ? 天下のメル様も誘惑系のポーズには弱いときた!! とんだお笑い草じゃな】
本を開き制服に衣装チェンジする。
上着を脱ぎ、スカートを落とす。
ワイシャツ一枚と真っ白な下着だけになって、ベットに乗りかかり四つん這いのままベットまで軽くお尻を揺らしながら歩く。
枕元まで着くと、ゆっくりとこちらを向いて女の子座りの姿勢をとり、両手を膝の下に置いて胸を強調させる。
【ほほう。いいのぅいいのぅ!】
顔はすでに紅潮状態であり、そのままぷるんとした唇を開く。
「ず・ずっと前から好きだったの。だから優しくしてーー」
【アウトォォォォォォォ!】
なんでよ!!
【処女なのにお尻ふって誘惑するとか、優しくしてねとか矛盾だらけだ!! そこで優しくできる男なんて私は一切しらないね! 野獣よ! 野獣になってるはずじゃよ!】
お尻振ってないし! 歩くだけで普通そうなるわよ!
【今のまんまじゃ⋯⋯い・いたい・・もっと優しく・・おねがい・・・じゃないと私のな・・あぎゃぁぁぁぁ】
本からお仕置スイッチをオンにした。
それ以上はやめなさい。
【う・うぅ・・メルを心配してのことなのに】
っていうか、なんでそんなにエッチな方向に話がいくのよ。やる事が一杯あるのに。
【⋯⋯ごめんなさい。少し黙っておくので仕事頑張ってね】
あっさり引き下がったわね⋯なにか良からぬ事しようとしてない? まぁ別にいいけど⋯⋯
そういいながらも静かになる事はいい事なので、先程用意した簡易人形とスライム(フェリル擬態)の様子を伺う。
エコーは先程のメルディスの映像をしっかり録画していた。
更には内緒で本の中に擬似3D空間をバレないように創りそこで先程のデータから、いろんな18禁シチュエーションの実験を暇があれば繰り返していった。
このデーターがメルディスに統合されるお話はまだまだ先の事である。
奴隷問題はやっぱり身内の仕業か⋯ただ、簡易人形に入れたアクアという子の魂の怨みはあの場所に害をだしそう⋯⋯。
一応、応急処置はしたけど。
ビル君達の住処ってはっきりいえば遺体遺棄の場所なのよね。
そのなかでアクアという女性の怨みが強すぎたせいで他の魂を吸収して異形になりかけてたから簡易人形に入れた訳だけど、さてどうしようかな。
うーん。
外法の術はあんまり施したくないけど、しょうがないか。
「アクアさん聞こえる?」
「はい、きこえますメルディスさん」
「率直にいうけど、生き返りたい?」
「そんなことができるんですか?!」
「安易に出来るとはいえないけどできるよ。ただかなりひどく辛い事を受け入れることになるけど」
「それでもいいから生き返るチャンスがあれば生き返りたいです」
「わかったわ。絶対に心だけは折れないように。憎しみ怨みなどの心も絶やさずに乗り切りなさい」
外法の術というのは前の世界での私の親が得意にしていた死霊術であるのだが⋯完璧な死霊術はとにかく条件を揃えるのが難しいのである。
親はその条件をそこまで重視してない為にリビングデット(歩く死体)が戦力と思っていたのである。
親の方が実用的なのは認めるけど、私は使う気もなかったので覚えるつもりもなかったのだが、前世界であらかた書物を読破して暇だったので新しい知識として取り入れただけであった。
「今から簡易人形に死霊術の外法の印を刻むから、それ以降はどうなろうとアクアには拒否権はないので全て肯定すること」
「全てですか?」
「そうだよ。契約完了までの期間ずっと災いしか降りかからないわ。因みにドジっ子みたいな災いではないからね。いわゆる死んだ時の再現だよ」
「⋯⋯え?」
「あ、やっと理解できたのね。どうする? やめておく? あの弄ばされ身体がボロボロになる事を一週間かもしれないし数年かもしれない。その間ずっと耐えなくてはいけないの。そして絶対に逃げてはいけない」
「それを耐えればいきかえるんです⋯⋯か?」
「それが最低限のラインだよ。誘惑にも負けてはいけないし、諦めて苦しみを味わうだけで耐えるだけでもいけない。憎しみと怨みの焱も常に滾らせて維持もしくはそれ以上にしておかないといけないの。あとは悪魔次第ね。条件が全てクリアーしたなら生き返れるかもしれないわね」
「どちらにせよ、このまま消えたくはありません。このまま消える方が幸せなのかもしれませんが⋯⋯」
今は憎しみと怨みの焔は絶えていないのだから。
メルディスさんが言った通り、その数日後には3人の命と引き替えにエルバの元にいた。
私自身の価値はとてつもなく高かったらしく、エルバも満足そうだった。
私を購入した相手と初めてあった瞬間、あの記憶が鮮明に蘇る。私を飽きるまで犯し身体中を壊し使い捨ての道具みたいに扱った張本人だった。
身体が震えるのを抑え、初対面の様にやり過ごす。
シェラザードから馬車で移動する。
その間、ずっと私の身体を弄り続け、
「じっくりと堪能さしていただきますからね」
身体を舐め回すような言い方で何度も私に囁いてきた。
町に着く。
すぐに屋敷の地下に連れて行かれると、鉄の匂いが鼻についた。
そう、私はここで死ぬ寸前までオモチャにされ続けた事を思い出す。
ゆっくりと考える暇もなく服を破かれる。
ずっと弄られいたせいで、身体の準備は万全だったのもあるがすぐに挿れられた。
男にとっては痛みの声は甘美でありすぐに果てたが、鎮まることもなくそのまま行為を夜中になるまでずっと続ける。
最後には気絶している私の首をしめて中の具合をよくしていった。
ーー2日目ーー
朝起きると身体の異変に気づく。
身体⋯⋯が、新品にもどされていた。
処女のままになっていたのだ。
絶望が頭によぎる。
男は現れ、行為に及ぶ。準備もないまま挿れてくる。苦しみと痛みが身体中に訴えかける。
男もおかしいと気づいたようだ。その日は前が終わると後ろも使ってきた。
ーー3日目ーー
再び身体は新品にもどる。男は歓喜した。
その日は歯を全て抜かれる。
痛い⋯⋯苦しい⋯⋯
ーー4日目ーー
ここからはもう再現だった。身体中を破壊されていく。最後には私の頭は許容量を越えて笑い狂っていた。男はとても喜んでいる。
絶望より恐怖が勝る。もう楽になりたい。
ーー5日目ーー
どうしても外せない用事があるためユーミルの町に向かった。道中も身体を弄ることは一切やめない。私の見た目は綺麗なのだ。それだけで男の顔がたつ為、外では弄るだけで留めていたのだ。
商談の話があるという事で、好きな物を食べて来なさいといわれお金を渡された。
食事を済ませ外にでると、男の子にぶつかる。
「ごめん、姉ちゃん。大丈夫か?」
思わず涙がでていた。3人の内の1番上のお兄ちゃんだったビルであった。
「わ! ごめん。そんなに痛かったかい!」
手を取りたたせる。
「あ、ううん。大丈夫。君を見てたらちょっと懐かしくなっちゃって」
「ふーん、そうなんだ? 俺みたいな弟でもいたのかい?」
「そうね。狭い空間で貧しく4人で楽しく幸せに暮らしてたわ」
「そうなのか、なんか俺たち似てるね。俺も少し前まで狭い空間で過ごしてたんだ⋯⋯あれ? なんで俺も涙が出てるんだ?」
自分の涙を拭う。
あっちの記憶はもうないらしい。もともと幻術と幻覚でメルディスさんが土台を作っただけといってたから当然といえば当然なんだ。
「じゃあ、私はそろそろいくね」
去ろうとするとビルが呼び止める。
「あ・あのさ、姉ちゃん奴隷なんだよね。たぶん俺の知り合いでなんとかしてくれる人いるんだけどどうかな? もし、その人が駄目でも一緒に逃げてもいいし、その苦しみから解放さしてあげたいんだ」
相変わらずいい子のままである。
正直にビル達と逃げるのもいいかもしれない。
ただーー逃げてからの一時的な幸せはもういい。
一時的な幸せは⋯⋯もう持っている。あの4人で過ごした数日間の記憶だけでいい。
この身体はたくさんの怨念が渦巻いているから、一緒にいってもいい事にはならない。
もしかしたら、ビル達にも影響がでて残酷な運命に辿るかもしれない。
そんなことはさせない。あの時に言った言葉を思い出す。
ー私はどうなってもいいから3人で幸せになってねー
「ありがとうね。ただ今のご主人様は優しいから大丈夫です。なので、ビル君もしっかり頑張っていってくださいね」
そういって、何かを言われる前に去っていった。
ビルはそのまま立ちつくし
「なんで姉ちゃん、俺の名前しってるんだろ?」
ポツリとそういった。
ーー6日目ーー
死ぬ寸前まで責められる。
死なないというだけの死体状態まで弄り倒す。
どこまでやれば死なないという事を熟知している男は本当にギリギリまで私の身体を堪能する。
「お前の身体は昔、壊し殺した人魚をおもいだす。アレは本当に最高だった。まずはお前を助ける為に、母親を犯し壊し、最後まで締めつけてくれたなぁ。その様子を見る父親の顔はとてもよかった。そうして2人を壊した後はメインディッシュだったのさ」
男は異常に興奮する。
「成長すれば、お前ぐらいの歳になっていただろう。だから余計に愛おしいんだよ。あの最高だった日の記憶が鮮明に蘇ってくるのでな!」
あぁーーそうなんだ。
私は捨てられ拾われていた訳ではなかったのか、親子諸共捕まり壊されたんだ。
この瞬間から、私の心から恐怖はなくなった。
あるのは復讐心、憎しみ、怨みである。
壊される痛みも頭が狂う感覚も全て怨みに変換されていくように身体中が満たされていく。
ーー7日目ーー
その日も散々過去の話を自慢げに話ながら私を壊していく。
日が変わるくらいの深夜に変化が始まる。
男が私の中に挿れてる最中に突然離れた。
「ガあぁぁぁぁぁぁぁ!! いてぇ!」
そういった男の部分は根元からなくなって血を吹き出していた。
その場をのたれまわる男、私の身体が黒く変色していき体中に模様が光る。
「な・なんだ!! おまえは! 毎日元に戻るからおかしいとおもったんだ! クソ!!」
冷汗をかきながら痛みに耐えながら男は叫ぶ。
拘束具が軽く外れ、自由になり変色した私は引かれるように男に近づいていく。
逃げようとした男は動けず、下半身が黒く変色している事に気がつくとそのまま女と合わさった。
「や・やめてぐえぇ⋯⋯」
合わさった部分から徐々に歪に変化する
女はウフフと合わさる快感があるのかとても喜び、男は生きたまま体を歪に変化させられていく感覚に恐怖する。
女は最後に男の口にキスをして全て混ざり、歪な球体になった。
球体から突き破るように手が生える。
ヒビ割れるように球体は土塊になりボトボトと地面に落ちていく。
中から現れたのは、歪な悪魔であった。
「受肉完了。あぁーーなんて美しい絶望と怨みのハーモニーだった事か。クフフ⋯⋯溢れんばかりの力だ。この力があれば混沌に沢山引きずり込んで遊べそうですねぇ」
上の階から扉が開く音がすると誰かが降りてくる。
「おや⋯⋯早速遊び相手がきたようですねぇ」
が、足音がなくなり降りてくる気配すらなくなった。
「ねぇ、受肉してるって事は外法の術は成功したの? 失敗したの?」
真後ろから声がした。
飛び跳ねる事もできないぐらい背筋が凍る。
ゆっくりと振り返ると女の子がこちらを見ていた。
その顔は感情すらなく、目の前に悪魔がいても臆する事もなくただ質問に答えろとだけいってる顔だった。
「貴女がこの方に術を施した契約者ですか?」
「そうだけど? 成功してるの失敗してるの? どっち?」
かなりの力を得て受肉したのだが、本能的に心が服従している。力を得たからこそ彼女の奥底の力の片鱗を感じてしまったのだ。
彼女のジョブ『境界線を断ち切る者 (ラインブレイカー)』の効果が合わさり、最強だと思われた悪魔の力は見事に断ち切られていた。
「せ・成功しております。彼女の肉体はそこに⋯⋯」
土塊の中から、女の子を取り出すと差し出す。
「若返ったんだ?」
「はい、契約は彼女と憎しみから苦しみまでの全てなので連れ去られた状態まで遡りましたが、よろしかったでしょうか?」
「あ、ううん。成功したならいいのよ。元より本で読んだだけの知識だったからね。受肉だけで失敗なら貴方を消滅さして終わりだったし。まぁ丁度良かった、これなら最後までいけそうね」
服を着させると手紙を挟み、フェンリルの背に乗せると糸で固定する。
「じゃぁ、お願いね」
そういうとフェンリルはどこかに走り出した。
「いくつか質問をよろしいですか?」
「うん? なに? 答えれる範囲でいいならいいよ」
「私をどうするつもりでしょうか?」
「何もしない。好きにしていいよ。ただ次会った時に敵だった場合は遠慮しないから大人しくしておいてほしいかな?」
「貴女はどっち(・・・)側につくのでしょうか?」
「どっちっていうのは?」
「魔王軍側か人側かって事ですが?」
「どっちも興味ないかな。けど、その見解少しおかしくない? まるで人でも魔王側になれるって事よね?」
「正確にいえば、死に戻りとなるので人の業次第ですが。この娘もここまで怨みを抱えていたのですから失敗してたら消滅ではなく魔落ちとなり魔王軍の方に生まれ変わってたと思われます」
「あ〜じゃぁ、この間も魔王側に強いの生まれたんだ?」
「よくお分りになりましたね。この間も仲間が受肉して一体化しております。名前はたしかエルバと言ってたはずです」
「まぁ、その瞬間見てたからね⋯」
「なるほど。そこで相談なのですが、もし宜しければ貴女について行ってはいけませんか?」
「あら? 魔王側にいかないんだ?」
「はい。私たちは魔王側に行く理由は基本面白いからですよ。それよりも面白そうであればそちらに付きます」
「う〜ん。といっても暇だとおもうけどなぁ。あぁ、どうしてもというなら監視や偵察みたいな雑用になるけどいいの?」
「構いません。必要な時に使っていただければ、至極の喜びであります」
「じゃあ一回消滅してもらうけどいい? その姿嫌いだから変える」
「分りました。よろしくお願いします」
黒の誓書を開く。
「こ⋯これはなんなんですか? ご主人様」
異様な力を持った書に驚愕するが、その上に手を置いた瞬間に悪魔は消滅した。
【ネームレスを書に記されました】
「名前無かったのね⋯⋯」
【元々悪魔に名前はないよ。受肉した時の名前を使うか一体化した時にその名前でいくかは気まぐれだろうね。ただ今回はもしかしたらメルにつけて欲しかったのかもしれないね】
「そっか、じゃあ名前をつけようかな」
本から黒い猫が出てくる。
するりと黒く伸びてメルディスの腕に巻き付くように上に上がり、首の方までいくと再び猫の形になりスリスリと頬ズリをする。
「君の名前はいまから黒猫のファル君ね。これからよろしく」
(了解しました。マスター)
ニャァ〜っと鳴いて返事をして、メルディスの影の中に消えていった。
「さてっと、1つずつやる事終わらしていかないとね」
今からとる行動を頭にまとめながら、その場をさっていった。
後編できっちりお話は完了・・・できるはず(汗




