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ソウル オブ ナイト  作者: 古狐さん
2章 『異世界』
10/50

首都シェラザード3

うん。意外に長くなっちゃった。


4月12日修正完了

 朝、いつも通り起きてモロとミナとアクア姉さんと一緒にご飯を食べて行動に移す。

 城下町の路地まではそれなりに距離もあるので金目の物を探しつつ向かう。

「ん〜、今日は収穫はなさそうかな⋯⋯」

 子供が大人の物を盗る事は隙を伺うしかないのだ。相手が大人の女性であっても強引に盗ろうとしてもそう上手くいかないものである。

 だから、不自然(・・・)な程前回は、とても珍しくいったのだ。よく言われる神がかってるといっても過言ではない程に、綺麗にそしてスマートに上手くいきすぎたのだ。

 時間はまだ昼過ぎだし、もう少しこの場所で粘ってみようかなと人々が通り過ぎる中、考えていると、

「きゃぁーひったくりよ!!」

 声がしたほうを向くと、男が少し小太りのお金を持っていそうな女性の鞄をひったくり逃げようとしてる途中だったが、周りに人が多い事もある直ぐに取り押さえられる。

 男は鞄を離そうとせず必死に抵抗した結果、鞄は宙を舞い中身を辺りに散乱した。


「いて!」

 頭になにかが落ちてきたのでそれを拾う。

 手に取ると、散乱した物を拾ってあげたりする人達をみて、もう一度手に収まった大きなダイヤがついた指輪を見る。

 そのまま立ち去ろうとしたが、アクア姉さんの言葉が頭によぎりその場で立ちつくしていると、荷物を拾い終わった後、女性はバックの中を確かめると箱を取り出して中身を確認すると否や、辺りを見渡した。

 溝などちょっとの隙間でも必死に探している様子はとても大切な物なのかもしれない。

 コレを売ればそれで奴隷生活が終わる。

 そればかり頭で考えてしまうが、どうしてもその場を立ち去れずにいた。


「あの⋯⋯コレ、落ちてたよ。おばさんの?」

 そういって指輪を差し出すと、安堵からかその場で手を握りしめ腰をぬかすようにヘタリこむ。

「ありがとう! 本当にありがとう この指輪は結婚する時にずっと受け継がれてきたものだったから本当に大事な物だったの。これで娘を送ることができるわ」

 そういって、お礼にと10万旧貨ほど渡そうとしてくれた。

「え? い・いや拾っただけだし⋯⋯こんなにいらないよ」

 そういったのだが、お金で気持ちを表すのは失礼だけど、今はこれしかないからと半ば強引に渡された。


 物を盗る事でしかお金は手に入れる事はなかった自分だが、なんだか心がむず痒い感覚に襲われながらも心はドクドクと脈を打っていた。

「ハハっ、お金を集めるなら人助けでもよかったんだ」

 少年の生きた人生で1つ成長した瞬間であった。


 ノルマも達成し、モロとミナと姉さんにお土産を買って住処に戻る。


 子供の泣き声がする。


 まさかと思い住処に戻ると、嫌な予感は当たっていた。

 数人の男が住処を荒らしていた。

 モロとミナは押さえられており、姉さんを捕まえている男達には見覚えがあった。

「エルバのとこの奴が何をしてるんだ!」

 飛びかかろうとすると、姉さんが叫ぶ。

「ダメよ! にげて!」

 男は腰から剣を抜き、そのまま斬りはらった。


「あぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!」

 足が熱い。

 血が溢れんばかりに出てくる。


「あ〜少し斬りこんじまったか。どんまい、ボウズ」

「お前、斬るの適当すぎw俺なら皮だけを綺麗に斬ってたね」

「うっせぇよ! どっちにしろ始末すんだし一緒だろ?」

 痛みを必死に堪える。

「なんだよ⋯⋯おまえらお金ならもう用意できたんだ⋯⋯。これからは俺たちも一般人になるんだから邪魔しないでくれ⋯」


 その言葉に男達が爆笑する。

「まじか! まじで信じてたのかよ! ある訳ないだろ? 正規の手続きもしてない奴隷(・・)でもない奴が一般人になるとか」

「いい事教えておいてやるよ。お前はもともと一般人だよ。拾われたからの扱いが奴隷みたいになってただけの一般人。分かるか? ただの思い込みの奴隷だったってわけさ!」


「う・うそだ⋯⋯!」

 血が足らないのか頭が回らないのか、頭がクラクラする。


「このチビの2人こそ本当の奴隷。世話はお前にまかす。で、お金貯まった頃に回収して奴隷は回収しお前は死ぬ。おっけ? 理解したか?」

「まぁ、こんな上玉も抱えておいてくれたのは誤算だったけどなww」

 胸を掴むと溢れんばかりの胸が手から出ようと形を変える。

 その手を払い、ビルの元に駆け寄る。

「お? 最後のお別れか? それとも、ここで少年と交尾か?」

「値が落ちるから交尾はさせれないけどな」

 そういってギャハハっとわらう。


「姉さん⋯⋯ごめん」

「謝らないでビル。貴方は何も間違ってはないわ」

 そういって斬られた足に手をかざすと傷が癒える。

 ヒュゥっと男達は驚く。


「まだ作業終わらないの? クズ共」


 その言葉に男達が一斉に動き、お金とチビ2人とアクアをエルバの元に運び、ビルはうつ伏せのまま押さえられる

「⋯⋯エルバ。こいつらが、いったことは本当の事なのか?」

「あらぁ? ビルゥ、まだ生きてたの?」

 そういってナイフを手に突き刺す。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

「さっさと死んどけば、今からの交渉材料になる事もなかったのにねぇ」

 もう1つの手も同じように突き刺す。

「あぁぁぁぁっぁ!!」

 足をバタつかせる。

「うっさいわね。あぁそうか、このナイフ痛覚倍増の薬塗ってたんだっけ?」

 頭が電気を受けたみたいにバチバチと弾いて言葉にならない。

「だからうるさいっていってるでしょ! このゴミ!」

 頭を踏みつける。

「お嬢様、痛覚倍増の効果で自分が叫んでる事自体、気づいてないとおもわれますよ」

「そうなの? まぁ踏んでれば多少マシだし、我慢してやるか」


 そのままアクアを見る。

「ねぇ、貴女? この子助けたかったら私のモノになりなさい。なに簡単よ、まずはあんたの処女を金持ちのブッサイクな豚共に売るの。あとは壊れるまでその身体で稼ぐだけよ。たまに私のストレス解消に使うかもしれないけどねぇ」

 ね? 簡単でしょ? とニッコリと笑う。


 その光景をみて選択肢は⋯⋯残念ながらないと知る。

 なら、みんなを守る為にやる事はは1つしかない事を知り決意を固める。


「わかりました。その代わり、ビルとモロとミナの皆を解放してください。そうすれば私は貴女の奴隷でも召使いでもモノにでもなります」

「あら? 判断早いわね。もう少し沈むかと思ったのに痛めつけれなくて残念♪いいわよ。どっちにしろ必要なくなるものだったし」


 そういってチビ2人の奴隷紋を解除する。

 2人を抱き抱えると、そのままビルの元にいってナイフを抜いて癒す。

「あぁぅ⋯⋯姉さん⋯⋯いっちゃだめだ⋯。2人を連れてにげて⋯⋯」

 首を横に振る。

「私の事はいいから、貴方を含め3人でしっかりと生きていくのよ」

 握ってた手をゆっくりとはずし、アクアはエルバの元に行った。

「お別れを⋯⋯さして頂き有難うございます」

「いいのよ、これぐらい。これでアクアは私のモノだからね。これからしっかり働いてくれればいいわよ。さて行きましょうか」

 そういい今まで住んでた住処を後にした。


 アクアは元いた住処を何度かとても寂しそうにみる。

 それに気づいたエルバが、

「3人のこれからがきになる? だったら ーー」

 旧貨の入った袋を1つとり、警護役の1人に投げる。

「これを渡してやりな」

 それにはアクアも驚く。

「よろしいのですか?」

「心配なんでしょ? それぐらいはしてあげるわよ。それだけ貴女には価値があるんだから」

「⋯ありがとうございます」

 彼女は3人の無事祈るように、街へと消えていった。


「意外な事するんだな。これ渡してきたらいいのか?」

 男共が笑う。

「なにいってんだよ新人の元騎士様。やりなっていうのは殺れってことだよ」

「ん? でこの金は?」

「ご褒美だよ。3人殺れば10万旧貨。いい仕事だろ? ま、帰りにでも女でも漁って帰ってきな」

「⋯⋯了解。いってくる」


 元の場所に戻るとビルはまだ立ち上がれずに倒れたままで2人は必死にビルに声をかけている。

 コツコツと一歩ずつ進み剣を抜く。

「悪いな。恨むんならこの世界ではなく、あの(エルバ)に拾われた事を恨め」


 どうしてこうなったんだ。

 おれが盗みをしたからか?

 それとも、この二人と姉さんを見捨てて、俺一人で生きていったらこうはならなかった?

 エルバの甘美な言葉に乗らず、普通に働いていたら直ぐに奴隷ではない事に気づき解放されていたのか?

 いや⋯⋯どちらにしてもありえない。

 少なくともあの地獄のような生活の中でも楽しかったんだし幸せだったのだから⋯⋯。


「頼みます。おれはどうなってもいいですから、どうか⋯⋯2人だけは殺さないでください」

 足掻くように懇願するしか、俺には残されてなかった。

「だめだ。2人ではなく3人といわれたからな」

 懇願も虚しくバッサリと切られた。


 ・・・


 ・・


 ・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ハッと目が醒めると、馬車に運ばれていた。


「お、起きたかい? 少年」

 馬を引いてる男性が声をかけてくる。

「おれ⋯⋯生きてるのか⋯?」

 自分の身体を触り生きてる事を実感する。

「そうだ! モロとミナは!?」

 辺りを見渡すと二人共抱き合って寝ていた。

「そういえば兄ちゃん、寝ている時にうわ言のようにアクア姉さん逃げてくれといってたが姉さんいたのかい?」

「ア⋯⋯クア? いえ、俺たちはずっと3人でした。奴隷から解放されるお金を貯めた時に領主の娘エルバに騙されて殺されかけました」

「それで、よく助かったな兄ちゃん」

「自分も、どうやって助かったのか分かりません。死んだと思った次にはここにいましたから」

「そうか⋯⋯まぁ、これで涙でも拭きな」

 そういわれて渡されたタオルではじめてきづく。

 自分は姉さんと言葉を聞いたときからずっと涙を流していた事を。

 助かった事からの安堵からではなく、何かが自分の中で抜けている感覚なのだ。

 アクア姉さん? なぜかその言葉だけが、ずっと心に響いて涙が止まらなかった。

ビルの最後の馬車からのお話は、首都編が終わったら番外編で詳しく書くつもりです。書いたやつはあるんですが・・・かなり長くなったのでもういっそ番外編にしようとorz

なので、多少言葉を省略しまくった番外編へのプロローグっぽいものとおもってください。


ほんとは死んだと思わせてもよかったけど、こういうやり方をありかなっと。

どうせ番外編で生きてましたってするんだし。

この首都編ではこの子達出番はないしね。

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