柔軟剤、いい匂いでした。
いざ嗅ごうとした時であった。
ガラッ────後ろの横引きのドアが空いた。
「え、?」
「…」
確実に死んだ────。
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さんざん言葉を発した結果少しウトウトしていた。
浴槽で目を覚まし、浴室から出たところに、自分の脱いだ服に鼻をつけている一人の少年を目にした。
「え、?」
「…」
あ、やべ…死んだ────。
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「えっと、その、あの、これは…えーと、そ、そう!汗かいてたっぽいし洗濯しようかと思って…べ、別にヘンなコトはしてないよ、!」
そんな事はどうでもよかった。ついさっきまで女装をして話していた自分の全裸が見られている。
オワタ…
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「えっと、その、あの、これは…えーと、そ、そう!汗かいてたっぽいし洗濯しようかと思って…べ、別にヘンなコトはしてないよ、!」
とにかく死にたい。いや、出来ることならこのことを認めてもらってそうゆうアレをしたい…────って、え?
ナニカツイテル…、 、
先ほどの小柄な少女には、ナニがついていた。
アナが一つにナニが一つ。自分と同じセット…男の子。
恐ろしい現実を前にしているこの状況で体は動かず、未だ服を握りしめたままだった。
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おそらく見られた。私ではなく俺であることに気づかれた。いや、でも、よくよく考えると、なぜ俺の服を持っている?さっきからの言動、全く動揺を隠せていない。
────あぁ、なるほど。
認めたくない現実とは裏腹にそれを認めればすべての説明がついた。
────────背筋が凍った。
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握りしめた服を差し出し、彼はそこを立ち去った。
────「いや待てぇぇぇぇ、この状況って、《実は男でしたー!テヘッ》みたいなことだよね?いや、でも俺の知ってる男でした系って、服の匂いを嗅ごうとしてバレるってことは無かったよ?前代未聞だよ…」
「よし!話せばわかる…」
彼は罪悪感に負けじと話し合うことを心に誓った。
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さっきの服持ってたのって匂い嗅ごうとしてた
よな…いやでも…ハッ!──匂い…平気だったよね?
彼女───彼は自分の服を嗅いだ。
「まずは話さねば」
彼は罪悪感とカツラを持って脱衣場から出た。
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脱衣場の外にて────。
「まさか、このままどこかに行くんじゃないよな?まずは話し合おうか?」
「もちろんそのつもりだ。」
彼らは先程の部屋へと入っていった────。