声優で決めるのもありだと思う
扉を開けると、そこには4人の男女がいた。
お高そうな椅子に座る男と、胸板が厚く、ベストを着た男が向かい合ってこちらを見る。
色気のある長身の「わがままぼでー」の女、低身長の外人のようなが男の子こちらを見る。
「お、帰って来た」
と椅子に座る男が一言。
その言葉以降は彼に触れることなく、海藤へと視線をずらす。
「そこの少年は?」
次はベストを着た男が。
「えっとぉ、道端に倒れた僕を助けてくれた命の恩人です!」
「それだけで連れてきたわけじゃないでしょ?」
と次は女が。
「いやー、それがですね、介護する際に僕の手に触れちゃったっぽいんですよね…」
一同は揃って「はぁ──…」と長いため息をつく。
「それだけは気をつけてって言ってたわよね!?」
「しょうがないじゃないですか!僕自身気を失ってたんですから!触れた理由なら彼に聞いてくださいよ!」
必死に言い返す上谷を横にこの状況をうまく飲み込めない海藤は沈黙を保ち続ける。
「まずだ、どうしたら外でぶっ倒れるんだ?」
「うっ…そ、それはですね…」
ベストの男の鋭いというのか、当たり前の質問に、全く答えられないのは上谷。
まあ、助けた海藤自身も気になってはいたことである。
「話すと長くなるんですよね────…」
そう言って上谷は話し出す。
────要約するとこうだ。
ちょっと外に出て買い物をしていたのはいいのだが、買い過ぎたせいで帰りの電車代がなくなり、歩いて帰ろうと思っている途中で力尽きたのだと…
全員がまたか…、とため息をつく。
どうやら、彼は常習犯のようだ。
しかし、この場の雰囲気をうまく掴むことができない海藤は未だ言葉を発することは出来ず、心の中で叫ぶのであった。「誰か助けて、へるぷみー」と。
「そういえば、そこの彼は?」
椅子に座った男がまた喋り出す。
「嫌だからさっき言ったでしょう…歳なんですか?」
「あぁ、そうだったな。忘れてた。」
歳なのを忘れていたのか何なのか知らないが彼の視線はこちらに向いた。
「えーと、彼を助けてくれてありがとう。大変お見苦しいところをお見せしたね。」
「は、はぁ…」
若干引き気味に答える海藤へと、椅子の男は戸惑うこと無く喋りかける。
「まあ、なんやかんやでようこそ。こいつから何か聞いたかい?」
ようこその意味もわからないまま、何も聞かされていない海藤は首を横に振る。
「そうか。じゃあ説明するよ。」
唐突な説明宣告に戸惑いながらも要約のそれに期待と不安を抱え、耳を澄ませる。そしてそれを心して聞いた。