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書籍化したら、開業届と青色申告の届け出だけは、絶対! 忘れずにしておきましょー!

作者: 灯乃

 えーと、ですね。

 ここ数年の『小説家になろう』さまからの出版ラッシュに驚き、喜ばしく思うのと同時に、みなさま大丈夫かなー? とちょっぴり気になってしまったもので、大変僭越ながら申し述べさせていただきます。


 作品を書籍化されたみなさま、または書籍化を目指しているみなさま。

 ハイ、まずはタイトルコール!


「書籍化したら、開業届と青色申告の届け出だけは、絶対! 忘れずにしておきましょー!」


 それから、特に学生作家の方に申し上げます。


「いただく印税の額が38万円をオーバーしたら、親御さんの扶養から外れますからねー! ナイショにしていたら、あとで面倒なことになっちゃうから気をつけましょうねー!」


 ええ、これはかなりマジで。

 でないと、いずれ税務署から親御さんに、追徴課税の通知が行っちゃいますから(汗)。

 もしカミングアウッ! が間に合わなかったら、確定申告期間内に親御さんに確定申告をしていただきましょう。

 それで、追徴課税は回避できます。


 みなさまの中には、そもそも『青色申告』ってなんやねん、とお思いの方もいらっしゃると思います。

『青色申告』というのは、まぁ……ざっくりと大雑把に言うなら「きちんと帳簿をつけて、正しい数字で所得計算をしているよ!」と税務署に宣言し、確定申告の際に青色申告特別控除をゲットできるもの……か、な?


 ホラ、よく「年間103万円までは、税金かからないから大丈夫♪」なーんて言うじゃないですか。

 残念ながら、それは『給与所得』、つまりアルバイト等で得た賃金ならばその通りなのですが、印税はお給料ではないので、65万円の給与所得控除の対象にはなりません。

 よって、青色申告の届け出をしていないと『雑所得』となりますので、38万円をオーバーした時点で税金がかかります。

 ちょろっと税務署に行って書類を提出するだけで、青色申告特別控除を

ゲットできるのですから、これは絶対にしておいたほうがいいと思うのです。


 ここでみなさまがイヤンな気分になるのは、やっぱり「きちんと帳簿をつけましょー!」という点でしょうか。

 ですが、最近の会計ソフトは大変使いやすくなっております。

 先日、某社が無料でインストールサービスをしているソフトを試してみたのですが、まったく問題なく決算処理までできる仕様でした。

 データさえ間違えずに入力すれば、必要な帳簿はプリントアウトするだけですべて完璧に作れますので、ご安心あれ(キリッ)。


 ……会計ソフトのない世界って、どうやって税金の管理をしているんだろう。

 異世界転生の内政チートものって……うん、とってもすごいと思います。

 一体、どんな帳簿を……いや、手書きな時点で見たくないですわー。

 手書きの帳簿をちらっと見て「あ、ここ間違ってますよ?」と指摘できるのは、脳内にあらゆる業種に対応できる会計ソフトインストール済みのスーパーコンピュータを搭載している系チートキャラだって信じてる。


 とりあえず、クリックひとつで、ありとあらゆる損益計算から帳簿作成までしてくれる会計ソフトは、現代人の事業開始には必須アイテムだと思います。

 作品を書籍化された際には、ぜひゲットしておきましょう。


 ……話が少々ズレましたが、次からはそれぞれの具体的なやり方を語らせていただきますー。



① 開業届と青色申告の届け出


 みなさまが書籍化された場合、まず真っ先にしておくべきなのがこちらです。

 なぜなら、基本的に開業届は『事業の開始から一か月以内』、青色申告は『事業の開始から二か月以内』にしなくちゃダメですよ、というタイムリミットがあるのです。

 個人の所得計算は暦年ですので、法人のように好きな日付を決算日とするわけには参りません。

 できるだけ早めに届け出をしたほうが、より多くの経費を損金算入できて、お得です。


 で、なぜ開業届と青色申告の届け出をセットで語っているかと申しますと、これらは同時にできるからです。


 場所:所轄の税務署(国税庁のHPで確認できます)

 必要なもの:ハンコ


 税務署に行って、受付で『個人事業の開業・廃業等届出書』と『所得税の青色申告承認申請書』を提出したい旨を伝えましょう。

 それらを扱っている部署を教えていただけると思いますので、そちらへ向かいます。

 担当部署で用紙(提出用と控え用)をいただけますので、そちらに必要事項を記入しましょう。


 それぞれの職業欄には『文筆業』、屋号には『ペンネーム』を記載するのが一般的みたいです。

 開業届のほうは、さほど悩む点はないと思います。

 青色申告は、ちょっと細かいです。

 でも、税務署の職員さんに尋ねればきちんと教えていただけますので、困ったなーと思ったらどんどん質問して聞いちゃいましょう。

 それが、一番間違いないです。

 書き終えたら職員さんに提出して、収受印をぺったんと捺してもらった控えを受け取り、大切に保管しましょう。


 以上で、開業届と青色申告の届け出は終了です。



② 会計ソフトで帳簿をつけよう


 えーと、スミマセン。

 手書きの帳簿は、わたし面倒くさくてつけられません。

 みなさまも、たぶん面倒くさくてできないと思います。

 なので、お好みの会計ソフトをお手持ちのパソコンにインストールするところからはじめてください。

 ぶっちゃけ、機能はどれも大して変わりません。


 ……というと身もフタもないので、有名どころをいくつか挙げてみたいと思います。


 まずは、会計ソフトシェアナンバーワンの『弥生会計』。

 多くの税理士事務所でこちらを使っておりますので、もし今後税理士の先生に税務申告をお願いする予定がおありなら、こちらを使われるとデータのやり取りがスムーズにいくでしょう。

 強いて気になる点を挙げるなら、少々画面上の文字が小さめかな、というくらいです。


 次に、『勘定奉行』。

 こちらは法人向けのソフトをメインに扱っておりますので、あまり個人事業主向けではないかな……?

 イエ、あくまでもわたしの個人的な感覚ですが(汗)。


 最後に、今回わたしがこのエッセイを書くきっかけになった『JDL』。

 いやー……。

 ワタクシ別に、『JDL』の回し者ではないのですが。

 こちらが現在無償で提供している『JDL IBEX 出納帳 Major』。

 かなり、イイです。

 文字が大きくて見やすいですし、機能がとってもシンプル。

 はじめて会計ソフトに触れる方にとっては、『必要なものは全部あって、余計なものはほとんどない』ので、大変オススメな仕様となっております。

 何より、無償! タダ! 素敵ー!


 とはいえ、どの会計ソフトを使っても確定申告に必要な帳簿と貸借対照表、損益計算書はきちんと作れます。

 こればかりはみなさまのお好み次第ですので、それぞれお試し版を使ってみて、一番フィーリングの合ったものをお選びください。


 また、自治体にもよるかもしれませんが、税務署に開業届を提出しますと『会計ソフトを使用した記帳指導』を受けられます。

 わたしのときは『弥生会計』のソフトを使っていましたが、基本的な記帳方法を一から指導していただけますので、もし機会があればぜひ参加いたしましょう。


 具体的な経理処理については……うーん、どこまでツッコんでいいものでしょうか。

 とりあえず、出版社さまから印税を受け取る際には、源泉所得税が引かれております。

 そちらの数字をきちんと把握するために、


普通預金 ×××  売上 ×××


 という仕訳ではなく、


普通預金 ×××  売上 ×××

源泉所得税 ××


 という仕訳にしておいたほうが、後々ラクになるかと思います。


 また、源泉所得税は『事業主貸』という勘定で処理するのが一般的なので、こちらに補助勘定をつけて別途把握できるようにすれば、なおヨシです。


 最後に、決算処理で家賃や水道光熱費の家事按分(←生活にかかる分は、事業経費とは認められません)を忘れずに!



③ 確定申告


 で、なんやかんや帳簿をつけ続けて12月31日を迎えますと、その年の所得額が確定いたします。

 お勤めの方は、会社で年末調整をしていただいて源泉徴収票を受け取りますね。

 そちらも忘れずに合算して申告しないと、あとで修正申告する羽目になりますので気をつけましょう。


 確定申告は、国税庁のHPに用意されているフォームで申告書を作ることもできますし、税務署に直接行ってそちらで申告書を作ることもできます。

 不安な方は、二月半ばから三月十五日までの確定申告期間内に、所轄の税務署に行きましょう。

 必要なのは、


 ・ハンコ

 ・源泉徴収票

 ・地代家賃を経費処理している場合、支払い先の名称と住所がわかるもの

 ・月次の売上高がわかる損益計算書

 ・貸借対照表


 です。

 税務署の職員さんが、申告書の作り方を丁寧に教えてくださいますので、ご安心ください。

 ただ、この時期の税務署は、めちゃくちゃ混んでます。

 時間には、できるだけ余裕を見ていきましょう。


 無事に確定申告を済ませ、収受印の捺された控えを受け取りましたら、会計ソフトで作った『総勘定元帳』、『損益計算書』、『貸借対照表』とセットにして保管します。

 帳簿の保管義務期限が来るまでは、その年の領収書とともに絶対になくさないようにしましょう。

 万が一(←イエ、まず来ないとは思いますが)税務署の調査が入ったとき、必要になります。



 ……と、大雑把にツラツラ語って参りましたが、結局何を言いたいのかと申しますと。


「受け取る印税から引かれている源泉所得税を、できるだけ還付してもらおうゼー!」


 なのです。


 いえ、もちろんケースバイケースで還付していただけない方もいらっしゃるかとは思いますが、結構還付していただけるケースのほうが多いんじゃないかなーと。


 基本的に税務署は、納税額が足りないときは「ちゃんと払ってネ?」と言ってきますけど、払い過ぎのときは何も言ってくれませんので……ハイ。


 そういえば、今年の所得からは申告の際にマイナンバーが必要になるんでしたね。

 まだ個人番号カード、ゲットしてないです。

 ……通知カードと免許証で問題ないみたいだから、別にいいかな。

YES節税、NO脱税!


※ このエッセイは、作品を書籍化した場合における基本的な事務手続きを、かなり大雑把に語ったものです。

  すべてのみなさまに、一律に当てはまるわけではございません。

  税務に関する質問・相談は所轄の税務署、もしくはプロの税理士先生になさってください。

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