担任が厨二病になったのでツッコミました。
現代社会において学校の教師というのは大変であることは、これでもTVのコメンテーターが意見するまでもなく分かっているつもりであった。
やはりそれは経験の浅い学生の見識にしか過ぎないということが実感する。
担当教師が心を病んでしまい、先生が登校拒否になってしまうよく聞くどこにでもある話のように、ネットの海にいったん潜れば何件かはヒットするぐらいだ、それほどまでに最近の事情というのは先生の心に負担になっているのだろう。
目の前にいる若手の教師は心を病んでしまったせいなのか、厨二病をわずらっていた。
「ふふふ、ははは今日は貴様らにわが力の片鱗を見せてやろう」
「先生授業してください」
見ててあまりにも痛々しい姿の先生に、とりあえずそう進言してみるが、聞いていないというよりは、聞こえない振りをしているのかわざわざつけてきた眼帯をはずす。
「今宵貴様らに見せるのは究極の邪気眼の一種だ、ひれ伏せ」
当然普通の学校に通っているので夜間学校じゃないのだが、夜じゃないという突っ込みはもはや無駄というものだろう。
「見よこの甘味眼を」
ださいと3文字で切り捨てられるほどにダサい、この上なくダサすぎるネーミングセンスというものを期待してはいけないのだろう。
なんというダサいネーミングだろうかこれが究極の邪気眼なら、相当邪気眼のレベルは低すぎる、そして甘味眼ってなんだよ全然邪気眼の要素ゼロだよ。
あと眼帯をとっても左右同じ目で違いなんかないという突っ込みをおいといて進言をした。
「先生授業をしてください」
「ふふふよかろう、この甘味眼について特別に講義してやろうじゃないか」
誰がそんな授業を頼んだんだと言いたい、後そういう意味で言ったんじゃねぇよ。
お前の担当は数学だよ、甘味眼なんて言葉絶対出てこない授業をしてくれと言いたいのだが担任は誰も聞いてもいない甘味眼の話を黒板をつかって説明し始めた。
「いいかこの甘味眼はな邪気眼を取得しているものの中でもかなり珍しい部類にはいるのだ」
「先生授業をしてください」
「あせるな、今このすばらしい甘味眼の説明をしてやるぞ、退屈でつまらん授業よりためになる」
いや数学の授業がつまらないのは、教え方が教科書の例題を丸々黒板で書くだけで説明してくれないから退屈でつまらない授業になっている部分があるからだとか、受験生にとっては邪気眼よりは役に立つからとは言わなかった。
「この甘味眼はみた新作のお菓子が美味いか不味いか見分けてくれるのだ」
何の役に立つんだよ、今時口コミやネットのレビューで事足りるとかは言わないし実に無駄な時間だとかも思わない。
「先生授業をしてください」
「先刻から貴様うるさいぞ我の邪気眼を恐れるのは無理はないが、貴様のような雑兵相手に使う気などないから安心しろ」
そりゃあ、甘味眼は新作のお菓子が美味いがどうかの判定のものだってさっき言っていたから使う気あっても使えないだろうがという突っ込みはしない。
「ははは分かったぞ、貴様本当は我が弟子となってこの邪気眼の秘密を知りたいのであろうが、残念ながらこれはもって生まれた才能がものをいうのだ、貴様のような雑兵が手にいれることは叶わぬと知れ」
これのどこに怒る要素があったのかは、さっぱり分からない。
しかし先生の言葉に我慢の限界に達してしまう、そう何事にも限界というのはあるものだ。
先生が現代社会の闇にのまれて、このような状態になってしまったのは自分たち学生にも問題があるのかもしれない。
ただこのような状況におかれた場合学生だってストレスや怒りというものは、溜まってしまうものだそしてそれはいきなり暴発をする。
気がついたら席を立って、目潰しをしていた。
先生はその痛みに耐えきれず転げ周っていた。
我に返ったときにはこんなのでも仮にも先生に手を出してしまった。
「貴様教師に手を上げるとは停学だ!反省しろ」
こんな時に我にかえったのは何も自分だけではなく、荒療治となったのか先生も我にかえっているのが分かってしまった、とりあえず深いため息とともにもう一発だけ反省前に顔面にパンチを入れていた。
後悔は先にたたない、先生の邪気眼の授業と同じぐらい役に立たないそれがこの担任の先生から学んだ唯一役に立つ授業であった。