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向日葵  作者: 角達 和樹
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8  

 気が付けば私は、いつも彼女のことしか考えていなかった。


 朝目が覚めてまっさきに、『今日は彼女と何しよう』。


 朝ごはんを食べながら、『今日はどこに行こう』。


 夜布団で眠りにつく前に、『明日はどんな話をしよう』。


 生まれて初めて人を好きになって、『恋』なんて言葉当然だけど知らなかった。


 けれど、ただ彼女と一緒にいたくて。

 

 話していたくて。


 自分の好きなこと、嫌いなこと、学校のこととか宿題とか。夢の話や面白いアニメ、あと自分の気持ちとか。


 知ってほしい。彼女のことを知りたいって思った。


  気持ちを伝えた時あの日、私は言ったことによって後悔するとか切なくなるとか後々のことなんて考えてなかった。


 一緒にいられるわけないってわかっていたし、次に会うのはずっと先になることだって。


 それでも伝えたかった。


 自分の思っているこの気持ちが、彼女も同じものだろうって何の根拠もないけど思ってた。 


再会を約束した翌年夏まで、私の行抱く彼女への思いは消えることなく燃え続けた。


でも、結果的に彼女とは二度と会うことは無かった。


翌年の春に、彼女は体調を崩し精密検査を受けたところ『白血病』と診断されすぐさま入院し治療をした。


闘病したものの翌年の年の瀬に亡くなったそうだ。


その話を聞いたのは、私が中学に入るころに彼女の家の別荘が取り壊されているのを見て祖父母に問い尋ねたところ悲しそうな顔をして教えてくれた。

 

彼女の気持ちを二度と聞くことが出来なくなってしまったわかけだが、私の初恋は苦く黒いものではなかった。


 私の気持ちに答えることもなく逝ってしまった彼女。

 

 彼女への思いが消えることなく私の心の中で美化されていくためか、私の初恋はモナカのような甘く白い思い出のまま私の中の奥深くに眠ることになった。

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