表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
向日葵  作者: 角達 和樹
4/17

3                

結局2、3時間しか寝れなかった。


このまま横になっているのも退屈なので、携帯と財布だけ持って外へと出た。


日中はあれほどまでにけたたましく騒ぐセミの鳴き声も、まだ聞こえない。


すでに明るくなっているものの街からは人の気配いは感じない。


公園や学校で遊ぶ子供もの声も、通勤客で賑わう最寄りの駅も、いつもなら座ることも出来ない電車の中も。


ひっそりと静まり返っている街には私だけなのではないか、なんて妄想してみたり。


まだまだ暑い夏。


お盆で帰省ラッシュはとっくに終わり、Uターンラッシュが始まっているころに私は世間の流れに逆らって田舎に向かっている。


夏の朝は好きだ。


 日中に比べればそこそこ涼しく、辺りは明るいのに人影はなく静か。


喧噪に包まれたいつもの街とは違い、その非日常的な感覚は今の自分と似ていて時間が流れていないかのように感じる。


だが、今見える電車からの風景はどんどんと流れていく。


先ほどまでの私の思いとは相反するようで、当たり前のことだがやはり時間は流れていた。


乗り継ぎをして2時間以上電車に揺られていれば、目に入ってくる景色もさすがに変わってくる。


人工的な建造物群の灰色の世界は次第に薄れていき、空の青色と木々の緑色が作るコントラスト。田舎の風景。


祖父母の家は東京から二時間以上電車に揺られ、そこからさらにバスで一時間ほどの場所にある。


少し行けば北には山があり、南に行けば海がある。


コンビニやスーパーは無く、あるのは駄菓子屋くらいだ。


正に、田舎の中の田舎と言ったところだ。


祖父は亡くなっていて、祖母は叔母の住む近くの老人ホームで生活しているためにこの家は今はほとんど誰も訪れない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ