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向日葵  作者: 角達 和樹
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駄菓子屋はリフォームをしたようで昔より綺麗になっており、駄菓子屋と言うよりはコンビニのようだった。


お菓子ばかりだった駄菓子屋が、日地用品からカップ麺にパンや弁当もあった。


私は、夕飯と明日の朝食用の食料を適当に選んでレジに向かった。


あの頃いたおばあさんではなく、娘さんであろう方が奥から出てきた。


 おばあさんにもよく「お似合いだね」って茶化されてその度に彼女は顔を真っ赤にして慌てていた。


会計を済ませて店を出ようとしていたら、アイスの冷蔵庫が目に入った。


あの頃あった冷蔵庫ではなく新しいものだった。


そういえばアイスなんていつ以来か忘れるほど食べていなかった。


そう思ったら、なんだか無性に食べたくなってきた。


 たくさんのアイスが私の興味をくすぐり、選ぶのを手間取らせる。


誘惑に負けた私は、結局モナカを買った。


 あの夏になんども食べたモナカ。


 夢の中にも出てきたせいか一番惹かれた。


帰り道、夕食前だというのに私はモナカを食べながら歩いた。


行儀は悪いが、昔はよくこうやって彼女と食べながら歩いた。


彼女が食べていたアイスバーが落ちてしまって、泣きそうになった彼女のために自分のモナカを半分あげたこともあった。


こうやっていくつも思い出が引っ切り無しに溢れてくるけど、実際過ごした時間はたった一つの季節。


あの夏は時間の流れがとても速く感じたけど、すごく充実していた。


今なんか、時間の流れは遅く密度は薄いし思い出に残るようなこともほとんどない。


でもどれだけあの夏が充実していたからと言っても、もう戻ることは出来ないし彼女に会うことも、ましてやあの時の返事を聞くことも二度と出来ない。


わかっていたし、受け入れたから忘れようとしたけど・・・。


 私にはやっぱり無理だったようだ。


そんな悲劇のヒーローぶってセンチメンタルな気分になり、モナカを食べながら田んぼ道を歩いた。

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