アウトオブあーかい部! 80話① カチコミ
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
……ではなく応接室。
「失礼します。」
中で1人仕事をしていた教頭先生を訪ねたのは白衣を纏った白ちゃんだった。
「白久先生?何かトラブルでも……?」
「はい。」
白ちゃんは神妙な面持ちで教頭先生の前に立った。
「単刀直入に申し上げます。……母が入院したので、お休みを頂きたく相談に参りました。」
「お母さんが……!?」
「はい。持病が悪化して倒れたとの連絡が入りました。」
「持病?そんなはずは……、
「お差し支えなければ、今すぐにでも見舞いにと……誠に勝手な願いであることは承知しています。」
白ちゃんは淡々と語り、深々と頭を下げた。
「…………わかりました。今すぐ行ってあげてちょうだい。」
「……。」
「……白久先生?」
「……赤井牡丹さん。」
「なに?突然。」
「……白久雪にお伝えください。『いつまでも死んだ人間を嗅ぎ回るな』と。」
「…………あなた、澄河ちゃんじゃないわね。」
「……そう見えますか?」
白ちゃん(?)は教頭先生の前で自分の容姿を誇示するように一周回って見せた。
「驚いたわ。まさか琥珀ちゃんの方から来てくれるなんて。」
「その名前……白久雪から聞いたんですか?」
「どうしてそう思うの?」
「……フフ♪」
白ちゃん(?)は唐突に笑って見せた。
「そんな取るに足らない名前を未練がましく覚えている人間なんて、この世に2人しか存在しませんから。」
「3人。」
「白久琥珀自身はノーカウントで。」
「はいはい。でもまだ2分の1ね。決めつけるのは早計じゃない?」
「嫌ですねぇ?白久雪の最近の体調を把握している程近しい人間が、どちらから情報を聞き出すかなんて……考える余地あります?」
「…………なるほど、まんまと鎌をかけられたってことね。言いたいことがあるなら、伝言なんてしないで直接言ったらいいんじゃない?」
「だからこうしてここまで押しかけて来たんですよ♪」
「なるほど?……でも私は雪ちゃんの親友なのよ?彼女が探している愛娘が目の前に現れて、報告しないとでも?」
「驚いた……あの白久雪に親友がいたなんて。」
「白久雪は、琥珀ちゃんが思うほど悪い人じゃないのかもしれないわね♪」
「娘の1人は『悪い人』ですけどね。」
「あら、澄河ちゃんは良い子よ?学校中に飯テロする代わりに格安で購買の売れ残ったパン買い占めたりするけど。」
「それは注意した方がいいんじゃないですか……?」
「でもお陰で購買は賑わってるし、ちょっとした名物にもなってるの♪……『必要悪』って言うのかしらね?」
「……なるほどあなたなら白久雪ともうまく付き合える訳ですね。」
「そんな私が仲をとり持ってあげても良いんだけど……。」
「……失礼します。言いたいことは言いましたので。」
「あ、ちょっと待って?」
「なんですか
「私の連絡先、渡しておくわ♪」
教頭先生は琥珀の手に電話番号が書かれたメモを握らせた。
「……。」
琥珀は応接室の置き電話で渡された紙に書かれた番号に電話をかけた。
『はあいどうも教頭先生です♪』
「……。」
『琥珀ちゃんって、かーなーり疑い深いのねぇ?まあ気が向いたら公衆電話でも使ってちょうだい♪』
通話が切れた。
「……。」
「またお話しましょう♪」
「……あたし、あんた嫌いだわ。」
琥珀は捨て台詞を吐いて応接室を後にした。
牡丹、雪(2)
牡丹:雪ちゃん元気?
雪:今日も元気に社畜してるよ♪
牡丹:そう、良かった
雪:なになにぃ?
雪:もしかして牡丹ちゃん、寂しくなっちゃった?
雪:ど〜してもって言うならお仕事抜け出して2人で温泉旅行にでも
牡丹:働け
雪:ひっどぉ〜い!?
雪:牡丹ちゃんから絡んできたのに!
牡丹:悪かったって
雪:申し訳ないと思ってる?
牡丹:はいはい
雪:申し訳なくてお詫びに温泉誘いたいと思ってる?
牡丹:ないない
雪:しょ〜がないなぁ〜?
雪:お風呂にする?旅館にする?それともわ・た・し?
雪:キャー///
雪:[スケジュールを作成しました]
牡丹:外科にする?眼科にする?それとも精・神・病・棟?
雪:え……
雪:そんなぁ!!??
牡丹:疲れてるならちゃんと休め
牡丹:私も同行する
雪:やったぁ♪
雪:眼科って外科じゃない?
牡丹:うるさい