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後日譚 ―語られしものたち―

それは、とても静かな終わりだった。

四人が「答え」にたどり着いたその瞬間、世界は光に包まれ、やがて音も色も境界も溶けていった。

すべてがひとつになり、何もなくなった。

けれど、それは消滅ではなかった。

“記憶”は残された。

“物語”として。

 

 

やがて、時は流れた。

世界は、新たな姿で始まった。

見知った建物、空に電線が走り、子どもたちはスマートフォンを片手に遊ぶ。

風はかつてと変わらず優しく、けれど、誰も“かつて”を知らない。

 

ただ、ひとつだけ残されたものがある。

「昔話」

 

「むかしむかし、あるところに、桃から生まれた桃太郎という子がおりました――」

祖母が孫に語る夕暮れの縁側。

 

「海の底には竜宮城があってな、玉手箱を開けると……」

父親が寝る前に語って聞かせる、あたたかな布団の中。

 

「山で熊と相撲をとってた金太郎、って本当にいたのかなぁ」

社会科の教科書の余白にいたずら書きされる赤いまさかり。

 

「かぐや姫って、宇宙人だったんじゃない?」

天文部の生徒が笑いながら月を指す、ある夏の夜。

 

 

誰も真実を知らない。

でも、誰もが語り継ぐ。

それは、かつてひとつの世界が終わったとき、そこに生きた者たちの“意志”が、物語として残されたからだ。

語ることで、残る。

忘れられても、語られればまた蘇る。

 

そう、“あの世界”はもうどこにも存在しない。

だが、“この世界”の中に、今も静かに息づいている。

 

月を見上げる人の目に、ふと何かがよぎる。

剣を持つ少年がふと誇らしげに胸を張る。

海辺で、沈む夕日を見つめながら、誰かが言う。

「いつか、また、どこかで――」

 

 

そしてその声が、

きっと、次の物語の始まりになるだろう。

 

― おわり―

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。ある女性の愛する想いが故に起こした試行錯誤の世界を描きたくて書き始めた物語ですが、その想いを別の角度から描きたくなりこのような物語になりました。

いろいろと矛盾もあり、説明不足もありますがいつも何も続かない私が最後まで描き切ることができて嬉しいです。この女性がなぜこのような選択をしたのかをいつか描ければと思っています。

毎日、一人でも読んでくれている方がいたからこそその喜びで続けられました。皆さんのおかげです。

改めて最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

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