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無愛想な彼に、血液と恋心をあげました  作者: れもん


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11話 もう一度、会うために

 「ゼアルに、会わせてくれるんですよね!?」


 嬉しくて瞼に涙を浮かべながら言う私を見ると、カミーユはゆっくりと頷いた。


 「ああ、約束しよう。お互いの準備ができてから、ね」


 それから小さく咳払いをして、どこか笑いを抑えているような声で話し出す。


 「とりあえず君は、生活習慣を元通りにしようか? ちゃんと食べて、外の空気も吸って――部屋の換気も忘れずに」


 「う……」


 私の顔が、一気に熱くなった。

 だって、今の私はボサボサの髪にヨレた部屋着、部屋の中は脱ぎ捨てた服と空き袋の山。


 絶対、目に入ってた。


 「な、なんでそこまで……」


 「ん? だってコウモリとして入った時から見えてたもの。

  心身は繋がってる。まずは自分を労わることから、だよ」


 「は、はい……。ありがとうございます! カミーユさん!」


 「ふふ、やっと笑顔が見えたね。その調子で、ゼアルにあった時もとびきりの笑顔を見せてあげて。

  それと、僕のことは呼び捨てで構わない。敬語はちょっと苦手でね」


 「わ、わかった……」


 戸惑いながら頷くと、カミーユは安心したように頷く。


 「よしよし、それじゃあ僕は帰るからね。明日か明後日にまた来るよ。

あ、ちゃんと玄関からね」


 カミーユが帰ったあと、私は言葉では言い表せない不思議な気持ちになっていた。


 ゼアルは私を嫌いになっていなかった。それだけで、私にはじゅうぶんすぎる特効薬だ。


 「よしっ!まずは片付けよう!」


 体の奥からエネルギーが溢れてきた私は、窓を開けてすぐに掃除に取りかかった。





 2日後、すっかり綺麗になった自宅に、宣言通りまたカミーユが訪ねてきた。相変わらず穏やかな笑みを浮かべている。


 「やぁ、リィスちゃん。ちゃんと生活習慣を戻したんだね」


 「ど、どうも……」


 ちゃん付けで呼ばれたことが恥ずかしくて、目を合わせられなかった。

それをわかっているのか、カミーユは茶化すような笑みを浮かべる。。


 「ちゃんとゼアルと君の間を行き来して、お互いの気持ちを伝えてきたよ」


 「ゼ、ゼアルは何て言ってたの……?」


 「"俺にリィスに会う資格があるんだろうか"だって。それでも、だいぶ前向きに考えられるようになったけど。変なところで頑固なんだよね、あいつ」


 カミーユが呆れたように肩をすくめる。


 「まだ、会うのは厳しい?」


 「五分五分、と言ったところかな。家の中に入れてくれるかもしれないし、また閉じこもってしまうかもしれない」


 「でも、1回会わなきゃ……」


 「僕としては、もう少し待った方がいいと思うよ。焦ってまた振り出しに戻りたくないだろう?」


 「うん……」


 カミーユの言う通りだ。せっかくゼアルも前向きに考えてきてくれているのに、ここで追い詰めるようなことをするわけにはいかない。


 「あと、どれぐらい待ったらいいかな?」


 「少なくとも1日はいる。まだ心がグラグラしてるんだ。

 でも、君とゼアルが会わないと解決しないからね……」


 「ゼアルが、会いたい、みたいなこと言い出したら教えてくれる?それまで待つから……」


 「もちろんさ。

  ゼアルも贅沢だよね……こんな可愛い子、待たせるなんてさあ」


 カミーユの言葉に顔が熱くなる。冗談のつもりでも、可愛いと言われて嬉しくならないはずがない。


 「じゃあ、僕は帰るから……しっかり準備しとくんだよ?」


 「うん!」 


 元気よく答えた私を見てカミーユは笑顔を浮かべると、手を振りながら去っていった。



 そして翌朝、髪の手入れをしていた時に、カミーユがやってきた。

どこか晴れ晴れしい顔をしていて、期待してしまう。


 「ふふ、いつでも行けるって感じだね」


 「せめて、準備だけはしておこうかと。そ、それで……」


 詰め寄るように言った私に、カミーユは待ってましたとばかりに、にっこりと微笑んだ。


 「お待たせ。さぁ、ゼアルに会いに行こうか……」

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