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第一の関門


 明くる日の朝。


「ぎゃああああああああ!!」


「おわっ! 何事だ?」


 突然の悲鳴に叩き起こされてバーザがベッドから転げ落ちる。

 窓から身をより出して外の様子を確認する。


「大変だ。生徒が襲われている!」


 朝早くから登校している生徒たちが黒い化け物に襲われて逃げ回っているではないか。


 転生してから早々に第一の関門プロローグイベントにぶち当たる。

 

「助けにいかねば!」


 本能が、逃げ惑う者たちを救え、と告げる。

 本能に従い、大急ぎで得物の短剣を片手にパジャマ姿のまま表に飛び出す。


 ◇


 なお、プロローグイベントの内容はこうだ。

 突如現れた無数の黒い化け物から学園を守る、というもの。


 黒い化け物は人間の半分の大きさの虫の様な姿をしていて、得体の知れない雰囲気を醸し出す。


 得体の知れない相手というと強そうに聞こえるが、実際にはそれ程強くはない。

 ある程度のレベルと装備さえあれば、一撃で倒せる程度のステータスだ。

 それに加えて強さの割に倒した際に入手できる経験値の量はそこそこ多く、しかも大量に出現するお陰で一気にレベルが上げられる。


「なんなんだよこいつら……! 状況を教えてくれ!!」


「オレだって聞きたいよ!」


 しかし事情を知らない大多数の生徒、教師は慌てふためき、恐怖の中で戦っていた。

 

 恐怖から普段の訓練通りの動きができない者。

 パニックから注意力散漫で不意打ちを喰らってしまう者。

 ただただ慌てふためき何もできない者。


 それはもう散々であった。


「どっからでもかかってこい!!」


「成敗してくれる!」


 一方、何が起きるのかを全て理解している大多数の転生者は一切焦ることなく、対策を万全の状態にして挑んでいる。

 無論、皆ちゃんとストレンジ学園の制服に着替えている。

 バーザのようにパジャマ姿で戦っている者は誰ひとりとしていない。


「せやあっ! たあっ!!」


「ふんっっ!!」


 転生ボーナスで高めにしてもらってたステータスのお陰で敵を楽々片付けれた。

 得物を手に戦う彼らの姿は“大量に押し寄せた雑魚敵をなぎ倒す無双ゲーム”を楽しむように怪物たちと戦った。


「こいつらいったいどんだけいるんだ……!」


 ただ、ゲームのシナリオを全く知らないバーザにとってはミッション達成の条件を知る由もなく。訳も分からないまま戦闘パートがはじまり、それに巻き込まれたようなもの。


 目の前にいる、唐突に出現した敵が恐ろしくて堪らない。

 得体のしれない恐怖で半ばパニック状態に陥りながらがむしゃらな攻撃を繰り出し始めた。

 振るう短剣は技もなにもあったものではない。


 「こんなことなら出てくるんじゃなかった……」


 本能に従ったことに後悔するも時すでに遅し。

 

 それでも化け物に立ち向かえるため、最低限の勇気は持っているといえる。

 それに本人は気づいてないみたいだが。第三者から見た場合の彼の姿はなかなか勇ましいものであった。


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