どうにかしてこの世界の情報を少しでも手に入れねば
バーザはあれこれ考えてみたものの、良い案は出ず。
自分一人の力でどうにかしようとするのは諦め、他のプレイヤーの行動を頼りに推測することに。
「ちょっといいかな?」
「なんだ?」
取り敢えず他の転生者を虱潰にそれとなく聞き込み、情報を得ようとする。
その姿は婚活パーティーで片っ端から異性に声を掛けまくっている非モテみたいで哀れである。
はっきり言ってバーザのコミュ力は低い部類に入る。
緊張して声は裏返り、たどたどしくてぎこちない。
その酷さは見る人によっては挙動不審といっていいレベル。
質問された側は皆、バーザを変な奴だと気持ち悪がるも、変に波風立てることもないだろうと考え、一応自身の知る情報を少しばかり分けてあげる。
彼らは適度な距離感の協力者程度の関係が一番だと判断し、バーザと付かず離れずの距離感で接した。
「いろいろ教えてくれてありがとうございます。助かりました」
それでもどうにかこうにかある程度の情報を得ることができた。
質問した者ひとりひとりに丁寧に頭を下げてお礼を言うと、満足そうにニコニコ顔で学生寮の自分の部屋に帰っていく。
他の転生者たちも程なく教室から自分の部屋に帰っていく。
しかし悲しきかな。バーザが得た情報は基本中の基本なもの。
ストーリー序盤ならともかく、中盤頃には役に立たない。
彼らは情弱だと完全に舐めてかかり、初心者向けの情報を恩着せがまし教えたに過ぎない。
軽くみられたわけだが、軽くみられるだけならまだマシ。
ライバルを蹴落とそうとする非良心的な者などは、弱キャラを強キャラと偽り、その弱キャラを仲間にすべきと勧めたり。
非効率な育成方法を勧める。
装備強化のアドバイスでも、優秀な魔道具技師だが料金は高過ぎて序盤では頼むことはまずない魔道具技師を勧める。
厄介なことに優秀であるという部分にウソ偽りはない。あくまでもメリット部分のみ説明したと説明すれば、デメリットを説明しなかったこと咎められても「優秀な魔道具技師を教えてやっただけだ」と言われればそれ以上追及するのは困難だろう。
ライバルを蹴落とすためなら手段を選ばないとはこのこと。
酷いものだ。
そうこうやって、各自情報交換で異世界転生一日目は終わった。
バーザは知らず知らずのうちに損な選択をして他の転生者より出遅れているなど露知らず…………。
だが、そんな程度はまだ序の口。
転生者たちの知らない恐るべき秘密が二つあった。
一つは彼らが喜びそうな設定を整えつつ、転生時にそこそこのチート能力を与えつつ、思考が狭くなり、欲望に忠実になる催眠をかけられていること。
もう一つは、恐るべき侵略者の魔の手がじわりじわり迫っていることを…………。




