異世界にのさばるためには犠牲も仕方ないことだ
「本題の戻る。深夜に奴らとは校舎裏で待つと約束をしておいた」
バーザとの主導権争いに勝利したベーダーは別陣営の転生者とのやり取りを説明。
それによると、自分たち二十人の転生者はこの世界にとって有害な存在らしく、この世界に存在する限り天変地異が起こり、やがてこの世界を崩壊させてしまうとのこと。
そのまま放置しては一大事。そこで世界の崩壊を防ぐ為に別陣営の転生者は二十名の転生者を元の世界の元居た場所に元の姿で帰還させてこの問題を解決させる、という行動にでたわけである。
もっとも、約一名行方知れずになっているので二十人全員を帰還させることは不可能になったが……。
まあ、それはともかく。
数少ない情報を基に作戦を練る。
「で、どうする気だ?」
「全員で協力する……! 奴らの息の根を止めるんだ。お前ら、手を貸せ!」
「それは構わないが、どうする気だ? 敵の強さは未知数だ、俺たち全員でかかっても勝てないかもしれないぞ?」
「そうなったら、おれたちにとって最悪の展開になっちまうんだからな」
転生ボーナスでステータスは高めにしてもらったものの、転生者たちははっきり言って烏合の衆。
生まれた場所をはじめ、生前の職業や年齢(享年)もバラバラで、各々が様々な思惑のもと好き勝手に動くためにまとまりなど無いに等しい。
そんな連中が共闘したところで、まともに連携をとれるかどうか怪しい。
「案ずるなたわけ! 策はちゃんとある」
「その策とは?」
「それはな――」
自分たちは強いが、それを過信すれば痛い目にあう。それをわかってるから慎重になる者も。
それを拭い去るようにベーダーは自分たちを鼓舞すべく、意味ありげな言葉を使い、他の転生者をやる気にさせようとする。
「なるほど、それはいい」
「その作戦なら十二分にかてそうだ」
ベーダーの立案した作戦は理にかなっていたらしく。多くの者はそれに乗り気。
うんうん、といった具合に首を縦に振る。
「われわれはその作戦のメンバーから外してくれないか?」
一方で良心的メンバーは別陣営とはいえ、自分たちと同じ転生者を殺すことに難色を示す。
もっとも、ここで波風を立てれば非良心的メンバーと揉めるのは九分九厘間違いないだろう。
揉めるだけならまだマシだ。最悪、バーザのようにタコ殴りにされかねない。
結果として彼らは傍観という『邪魔はしないが協力もしない』という中立的姿勢を示す。
「まぁ、そういうなや。これはおれたちの存亡をかけた戦いなんだ。それを参加しないなんて言うのか?」
「うっ……!」
「ぐうっ……!!」
だが、ベーダーは悪知恵を超えた邪悪な思考を働かせる。
生前に詐欺師して培った口のうまさを生かして、脅迫、恫喝など様々な手で、相手を丸め込んで命令している。
痛いところを突かれ、良心的メンバーはまともに言い返さなくなってしまう。
そのまま丸め込まれてベーダーの脅迫の前に不本意ながら協力する事を約束させられた。
「おれらの理想の異世界ライフをエンジョイすべく、邪魔者を排除するんだ……!!」
「「「「おうっ!!」」」」
一部の転生者は士気を高めるべく、スクラムを組む。
他愛のない戯れ合いだが、テンションは上がる。
一見すると結束しているように見えるが、利害関係が一致しているだけなので、些細なことで崩れてしまう脆い絆である。
戯れ合いも程々に彼らは負傷者二名と行方不明者一名を除く全メンバーで奇襲を仕掛けるべく待ち合わせ場所に向かう。
それはどこまでも自分本位な考え。
私腹を肥やし――この世界を瘦せ衰えさせる存在。
彼らは世界を汚染する招かれざる客に他ならないだろう。
他者にどう思われようが、この世界はゲームで、自分たちは主人公。だから、好き勝手に楽しんで何が悪いのか? それが当然のことだというベーダーら非良心的転生者たちの考えが変わることはないのだろう。
別陣営の転生者改め、正義の転生者は邪悪なる転生者たちの野望を阻止できるのか?
正義の転生者との存亡をかけた戦いが始まろうとしていた……。




