緊急事態で招集したのに全員揃わねーじゃねーかよ!!
夜中の空き教室。
ベーダー・ダストラーが他の転生者たちを緊急招集し、緊急会議が開かれる。
今日は転生者の集まる予定はなかったので、寮の自分の部屋で寝るやら、寛ぐやら、授業の予習復習をしたりと皆自由にしていた。
突然の招集に殆どの転生者は若干面倒くさそうにしており、特に寝てるところを起こされた者は不満げにぶつぶつと文句を口にしていた。
何人か招集に応じない者もいたが、緊急事態だと説明すると何となく察したらしく、黙って空き教室に向かう。
「ジェラシットがいねーぞ」
「この非常事態にあのガキは何してやがる……!」
全員集まったかと思いきや、集まったのは十九人。
転生者の一人、ジェラシット・タナカがどこにもおらず。
ベーダーは怒り、声を荒げて怒鳴り散らす。
「お前知らないか?」
「いや、知らんけど」
一部の転生者を除き、蹴落としあう関係の転生者たちは自分の事以外無関心。
そのためお目当てのキャラやアイテムが被って争奪戦にでもならない限り積極的に他の転生者に絡んだりしない。
つまり、行方不明になろうが人知れず野垂れ死のうが知ったこっちゃないのである。
それどころか同族の失態を嘲笑う者もいるぐらいだから、仲間意識を持ってる者の方が珍しい。
そんな者が大部分を占めるのだから酷いものである。
「あいつだったらクエストに出てますよ」
「なにっ!?」
それでも何らかの手掛かりを持つ者も一人いた。
彼の説明によると、近隣の森に行って、泊まり込みの食材集めのクエストを引き受けたらしい。
他の連中からすればそこまで興味がなさそうなあまりうま味のない仕事。
一人だけおいしい思いをしてるわけではないので、この行動を咎められる心配がない。
ただ、こんなをうま味がなくて面倒くさいクエストを受けたジェラシットを物好きだとは思われたが。
「あのガキんちょ! とんずらしやがったな」
「厄介事から自分だけ逃げよーとはふてぇ野郎だ!」
「無駄に危機管理能力の高い臆病者め」
ベーダーを含む何人かがジェラシットを罵るが。もちろんそんなことはない。
彼がクエストに出たのと別陣営の転生者の出現は全くの無関係。
そもそもジェラシットが受けたクエストは泊まり込みの食材集めで、朝から出かけており時間的に不可能。
だからベーダーたちの言ってることは全くの的外れ。もっとも彼らはそのことを知る由もなかったが。
とはいえ、このままでは話も進まないのでジェラシット抜きで緊急会議を始めることに。




