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超人気ゲームでもプレイしてないゲーマーもいる


 ここは王道学園ファンタジーゲームの【ストレンジ・ヒストリー】の世界。


 爆発的な人気を誇る、学園RPGで社会現象にもなった程。

 その世界にある程度のチート能力を与えられた異世界転生者が放流された。


 これより少し前、同じ時刻の日本にて、それぞれが別の形で命を落とした者たちは、神に導かれてこの世界に転生しようとした。

 天界に招かれしその数三十名。


 神は転生予定の者たちから数十メートルほど距離をとると説明開始。


 皆、憧れの異世界転生に浮かれて喜びの声を上げる。


 しかし神は無条件で異世界転生させる気はなく、条件として転生させる者の“記憶の一部”と引き換えに異世界転生+チート能力諸々を与える、と話す。


 交換条件に難色を示す者も多かったが、これは貴様らのような資格のない者を特例で転生させるための代価だよ、と説明。


 そして、早い者勝ち二十名様限定、と神が口にすると、態度をコロッと変えて我先にと懇願。

 干支決めに参加した動物がごとく神の元に訪れ、定員ある二十名があっという間に埋まる。


 出遅れた十名は異世界転生できるチャンスを棒に振る。

 それから彼らがどうなってのかは定かではない。


 選ばれた者たちはゲームでプレイヤーの分身となる主人公としての自分たちをクリエイトし、物語の舞台となるストレンジ学園の高等部に途中入学者として入学してきた、というわけである。


 現在空き教室に集まって会議を行っていた。


「はてさてどうしたものか……?」


 ほぼ全ての転生者が好きなゲームの世界に転生できたのを喜ぶ中で頭を抱える小柄な男性が一人。


 異世界転生が嫌いだから頭を抱えている訳ではない。


 むしろ異世界転生ものの作品は大好きである。


 悩んでる彼の名はバーザ・ジュウレン。


 腰まで届く緑色の髪と瞳が特徴的な容姿の中性的な美青年だが。

 転生前は三十半ばの立派な大人で、マンションの管理人であった。


 普段なら年齢的に大人びた落ち着きがあるはずだが、今現在そうではなかった。

 それもそのはず。彼は【ストレンジ・ヒストリー】はおろかゲームをプレイしたことが殆どないのだ。


 ゲームをプレイしたのといえば、数少ない友人の家に遊びに行った時に一緒にプレイした程度。


 ゲームが嫌いとまではいかないにせよ、ゲームをプレイするより特撮番組や人形劇などを見るのが好きなタイプの人間。


 こういった性分の者では、社会現象にまでなったゲームでも興味を示さない。


 ゲームをプレイしなくても日常生活ではどうということもないが、この場においてはかなり悪い方向に作用している。


 辛うじてテレビCMなどで作品の存在は知っているものの。 


 その知識量はガチ勢はもとより、ライトゲーマー寄りのプレイヤーですら大きく劣っている。


 これでは土地勘のない場所に置き去りにされたようなもの。

 右も左もわからないとは正にこのことである。


 当の本人も状況が悪いと自覚しており、どうしようか知恵を絞るのでありました。

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