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僕と私が交わる果てに  作者: 紅羽夜


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第29話「結果」

 とあるマンションの一室。

 五人の男たちは正座し目の前の主に怯えていた。


「捕まってないのはお前らで全員か?」

「は、はい。そうです。なので、しばらく滞ってますが、きちんと利益を本部に……」

「本部?」


 男の一言で黙りこむ。


「あのな。俺たち『黒壁の楽園』とお前たちは協力関係であっただけで、仲間になったことは一度もない」

「そ、それはもちろん承知してます」


 五人の男が恐れ慄くこの男は世間を騒がす『異能者』至上主義の組織『黒壁の楽園』のボスだった。

 『異能者』至上主義の組織は世界に無数にあるが、特に『黒壁の楽園』は組織として強い。

 何よりこのボスの手腕だ。

 警察、認可異能組織を相手に活動し、組織を維持しているのだから

 そして、五人の男たちは警察に仲間が軒並み逮捕され瓦解寸前の犯罪組織の幹部だった。

 いきなり、攫われこの場に連れてこられた。

 最初は敵対組織からの襲撃かと思ったが、『黒壁の楽園』のボスだと知らされると態度が一変した。

 明らかに友好的な態度ではない。返答を誤れば死だと。


「なのになぜ、『黒壁の楽園』使って依頼を出していた?」

「ご、誤解です」

「末端の人間が断れないように『黒壁の楽園』を名を出したら相手は誤解するだろ?」

「うっ」


 この組織は違法アダルト産業を資金源にしていた。

 『黒壁の楽園』に資金を提供する見返りに、人的援助や、トラブルの処理などしてもらっていた。

 繋がりをたどれば、校長もこの組織の末端の協力者にあたる。


「まぁ、末端が捕まる分にはそうそう情報はないだろうからさして影響がない。が、金の流れを辿っていけばお前たちに行きつく。お前らは末端と違い、少ないものの情報は持ってる。自身が可愛くて余計なこと喋るんじゃねーのか?」


 端末に表示させたのは末端の協力者、そう校長逮捕の記事。


「こいつはいかれたようだから、喋るどころか異能者であることも隠されるだろうな」


 男は懐からライターを取りだす。


「それともう一件。お前らのところの異能者が逃亡したんだろ?」

「そ、それは現在調査中です」

「調査中ね。撮影担当だったんだろ?組織の混乱で無茶な命令。そりゃ馬鹿じゃなければ見限るよな」

「あ、あいつは幹部と会ったことはありません。あくまで末端の人間の命令を行動していただけです」

「でも行方掴めてないんだろ?」

「す、すいま……」


 謝罪の言葉は最後まで紡がれることはなかった。

 男がライターを弄った瞬間、男たちの体は焼死体になっていた。

 男は端末を取りだし、連絡をする。


「俺だ。終わったところだ。やはり、こいつらじゃ逃げたやつの所在掴んでなかった」

「なるほど。まぁ、表面温度の低下の異能じゃさしたる脅威にはならないかと」

「腕切れば終わりだしな」

「気になるのはずさんな管理体制の組織で、こうも完璧に行方を消せた理由ですね」

「消えたんじゃなくて消された可能性があるな」

「……警察ですか?」

「その可能性は低いだろうな。榊原はリスク管理ができているやつだ。こいつを消すメリットがない」

「敵対異能組織ですかね」

「その可能性が一番高い。それに、海外の異能者組織ももぐりこんできてるようだ。本田のやつをよんどけ」

「本田?あの本田ですか?」


 困惑の声。


「ああ。あの本田だ。原咲と組ませる」

「大丈夫でしょうか?狂人二人を組ませると……」

 組織ではなく、自身を最優先させるのは問題だ。


 二人とも裏切ることはしないが、組織の不利益が出る行動をする可能性は否定できない。


「まぁ、そこは結果しだいだ。原咲を抑えられるやつはそうそういない。逆もだ」

「……承知しました」


「ひとまず、本田にはこいつの捜索。原咲には例の異能者へ接触させろ」

 男は焼死体を蹴とばす。すると、灰になり床に積もる。

 男はそのまま部屋を出た。

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