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僕と私が交わる果てに  作者: 紅羽夜


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第24話「イギリス」

 場所は大きく変わりイギリスのとある廃墟。

 国によってはは警察とはは別に逮捕権や捜査権などの権利を持っている組織組織がある。

 警察と軍隊で別として扱うように『異能者』を分けるということだ。

 イギリスは『異能者』に対して権利や保証が進んでおり、榊原もこれを参考にしていた。

 イギリスには『異能者』だけで構成された特殊部隊が存在する。

 イギリスから世界各国から『異能者』を研修させるために出向させたり、自国に招いて指導したりもしていた。


「今すぐ武装を解除し、両手を挙げ地面に臥しなさい。警告に従わない場合は実力行使を行います」

「もういいか?アクラス」

「待ちなさい。無意味ですが投降時間を設けています」


 この二人は特殊部隊の隊員だ。

 現在、とあるマフィアの残党の逮捕という任務にあたっている。

 このマフィア構成が『異能者』であり、通称異能マフィアと呼ばれている。

 先日国の大規模作戦により大半のメンバーが逮捕された。

 その残党狩りである。


「ユーリ、いいですか?私がまず牽制するのでその後から突入ですよ」


 アクラスが銃で射撃する。

 金属製の実弾ではなく、電子チップ弾だ。

 電子チップ弾に接触すると、電流が流れる仕組みだ。

 弾は注射器の針の形状をしており、先端がほぼ無痛で皮膚に刺さるい。刺さると針からチップが排出され皮膚下に入り込む。

 このチップから電気信号を発生させ、利用することで筋肉を操作する。

 操作と言っても複雑に動かすことはできず、筋肉を硬直させる相手を無力化する程度である。

 電子チップは人工細胞から製造されており、体内に入り込んだチップは約二十四時間程度で消滅する。

 異能によっては電気信号で動きを止めきれず、逃亡を許す場合も当然ある。

 電気信号は相手の動きを止めるだけでなく、探知用の信号としても使用可能だ。

 体内で消滅するまでの間、電気信号を探知し、位置を特定することができる。

 相手の無力化、逃亡に備えての位置特定。この能力から対『異能者』装備として使用されることが多い。

 日本においては、電子チップ製造の技術の一部が、日本内で認可されていないので製造することも、輸入することも現状できない。

 ユーリは金色の傘を両手に持ち構える。

 個人の特注ではあるが、特殊なものではなく正真正銘普通の傘だ。


「目標は四人。全員が身体強化の異能だと推測されます。各個撃破でいきます」

「おう」

「って待ちなさい」


 ユーリはアクラスの指示を最後まで聞かずに特攻した。


「お前一人ならどうってことねーな」


 ユーリの前に男が立ちはだかる。

 男は素手でコンクリート製の壁を殴りつける。


「脅しのつもりか?」


 ユーリは突進し、男を傘で殴りつけた。

 傘を腕で受け止め、ユーリの小柄な体に蹴りを叩きこむ。

 ユーリは蹴りを寸で後ろに跳び躱す。


「何だ。お前『異能者』じゃないのか?」


 ユーリの身体能力から男は疑問を浮かべる。

 戦闘員は身体強化の類の『異能者』なのが一般的だ。


「お前には関係ないだろ」

「まさか、お前傘を強化するなんてちっぽけな異能なんじゃねーだろうな?」


 男は馬鹿にするかのように笑う。


「うるさい。これは俺の剣だ!」

「は?……く、傑作だな。お子ちゃまの演劇会はよそでやってろ!」


 男は再び壁を殴りコンクリートを破壊し、ユーリに迫り拳を叩きつける。

 ユーリは逃げることなく不動でその拳を傘で受け止める。

 コンクリートを破壊する程の威力だが、傘は壊れることなくその拳を受け止めた。


「お前の異能の種は割れたぜ?」


 ユーリはにやりと笑う。


「だからどうした!」 


 男はユーリの腹を蹴り上げる。

 先と同様に傘で脚を受け止める。


「お前の異能は身体強化ではなくて、纏ってるだけだろそれ」


 破壊された壁を見れば分かる。

 地面に落ちた壁の欠片の量と、崩れた壁の穴の大きさが一致しない。


「そうさ、俺はコンクリがあれば最強だ!」

『混凝纏壁』

「最強?無様に上層部の連中が捕まるやいなや、逃げ出したのが?」


 ユーリの推測通り、コンクリートを体に纏う異能。

 コンクリートを破壊できる威力がなければ男にダメージを与えることはできない。

 コンクリートを纏うだけでなく、纏う箇所や量などを自在に操ることができる。

「こっちは場数踏んできてんだ。入隊試験に合格しただけのいきがってるガキに負けるはずねーだろ」


 男が助走をつけ再び殴りかかる。

 が、突如男の体が急に前のみりになった。

 踏み込んだ地面が少し陥没しし足を躓かせ転倒した。


「終わりだ!」


 ユーリは全力で傘を振り下ろす。

『混凝纏壁』

 先ほどもそうだが、ユーリの傘では男をどうすることもできない。

 のはずだが、コンクリートは砕け散り男は血を吐き出し気絶した。

 アクラスは近くの無人の民家に踏み込んだ。

 目標が逃げ込んだからだ。


「アナタたちは末端だ。つまりは使い捨要員です。組織が壊滅した今、アナタ達が抵抗するメリットはないはずです。残りのメンバーの情報を全て提供するのならの減刑を考えてもいいです」

「末端だ?使い捨てだ?だったらどうした。俺らにはここしかない。親父しかいないんだよ!それなのに汚く暗殺ときた!それが、国のやることかよ!」


 暗殺とは語弊がある。

 マフィアのボスの逮捕を実行した。

 ボスは激しい抵抗の末現場を逃亡した。

 逃亡劇の途中に隊員の攻撃により死亡した。


「そうですか。では実力行使に移ります」


 アクラスは銃を撃つ。


「そんな遅い弾当たるかよ!」


 どうやら男の異能は移動速度を加速させる種類のようだ。

 電子チップ弾は金属製の弾に比べ速度が遅いのだ。

 アクラスは実弾装備に切り替える。


「これでわかったろ」


 実弾も容易く躱す。

 男はアクラスに突撃した。

 アクラスは寸前に避ける。男の体は壁に叩きつけれることなく、まるで反射したかのようにアクラスに再度突撃する。


(まるでゴムボールみたいだな)


 アクラスは直進させないように実弾をぱこすか撃ちこむ。


「だから当たらないって言ってるだろ」

「ちっ」


 弾切れだ。 

 アクラスはあえて距離をとらず男に接近する。


「こざかしい」


 アクラスの読み通りだ。男は高速で移動できるが制御が難しい。急な方向転換はできない。

 アクラスと男の位置が入れ替わる。


「無駄なあがきだ」


 男は再度アクラスに突撃する。

 男の突撃にアクラスは動けなかった。否、動かなった。


「無駄なことはしない主義です」

「何!」


 アクラスは突如床に寝ころんだ。

 男はアクラスの上を通過し、壁にぶつかる。


「二度目がっあ!」


 男は壁にぶつかり、アクラスに追撃しようとした瞬間、壁が壊れた。


「いっちょあがりだな」


 壁が壊れただけでない。男の体が衝撃で飛ぶ。

 ユーリの一撃が壁を破壊し、男に当たり吹っ飛ばした。


「目標確保」


 アクラスは男の太ももに電子チップ弾を撃ち込む


「こちらも目標確保。……はい?」


 耳に装着した小型端末で連絡をする。

 アクラスの戸惑いにユーリは恐怖する。


「……了解」


 アクラスは溜息をつく。


「ユーリ、日本語は喋れますか?」

「……何だよ急に」


 ユーリはイギリス生まれイギリス育ちだが日本人とイギリス人の両親から生まれた。

 幼少期はよくバカにされた。ユーリには触れてほしくない箇所だ。


「喋れねーよ。てか、翻訳機使えばいいだろ?」

「今度の任務は日本です」

「は?何のために」

「レクチャーだそうです」

「レクチャー?」

「ええ。詳細は戻ってからなので、急ぎましょう」


 護送車が到着し、身柄を渡し向かう。

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