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僕と私が交わる果てに  作者: 紅羽夜


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第10話「無自覚」

 ナツキは休日になるとさっそく図書館に向かった。

 十年前の?日付の新聞を複数持ち出し、机の上で広げる。 


(事件て扱いでもないからやっぱり詳しいことは書いてない……)


 ナツキの調査は早速難航していた。

 学校の図書室と市の図書館では後者のの方が圧倒的な資料数である。

 なので具体的なことが書かれた記事があることを期待していたが、残念ながらないようだ。


「あら、ナツキ君珍しいわね。新聞たくさんひろげて」

「あ、こんにちわ。ちょっと調べものしてて」


 ナツキは人付合いが得意ではないため図書館をよく利用している。なので職員は顔なじみが多い。

 声をかけてきたお姉さんは図書館で一番年齢が若く、ナツキにとっても親しみやすい人だった。


「そっか。授業で使うのかな?」

「授業ではないんですけどね。課題的な感じです」


 言葉を濁すしかない。とっさに嘘などナツキは吐けない。


「そう、頑張ってね。何かあれば聞いてちょうだいね」

「ありがとうございます」


 そう言うと職員は戻っていた。

 これといった収穫がないままナツキは家に帰った。

 保健室で普段通り勉強していると、見知らぬ来客者が訪れた。


「あらずいぶん愛くるしい坊やなこと。宗藤この子でしょ?」

「ああ」

「初めまして、私はそこのおじさんと同じ紅い家のセバスチャン」

「初めまして。ぼ、僕は神崎ナツキです」

「そんな緊張しなくて大丈夫よ。どこかのおじさんが可愛い可愛い育ち盛りの女の子のお弁当も持ってき忘れたから持ってきたの」


 刹那の弁当のことだろう。


「おじさんってあんたのほうがと……」

「あら?乙女の年齢に触れるのは男性のマナーではないわよ?」


 宗藤は口を閉じる。


「セバスありがと」


 刹那は礼を言い弁当を受け取る。


「ナツキ、私の弁当セバスが作ってくれてる。美味しい」


 ナツキは驚いた。刹那の弁当はいつ見ても美味しそうだし、見た目凝られたりしているからだ。

 偏見ではあるが、こんな大きい男性が細やかに弁当を作る姿は想像しずらい。


「ピーマンナツキにあげるから楽しみにしてて」


 刹那は弁当の中身を確認し告げる。


「だめだよ、お野菜食べないと。せっかく美味しく作ってもらってるんだから」

「えー。苦い」

「あら、実に聡明な子じゃないの。私のタイプだわー。それにどういことよ」


 後半は宗藤に向けてである。


「俺も驚いてる」

「あ、ごめんなさいね。私そろそろ時間だから」

「俺は見送りについてくわ。刹那、ピーマンしっかり食えよ」


 台風のような人物は颯爽と帰ったいった。

 しばらくして、茜が入って来た。


「どうしたの?」

「うーん。何でもない」


 茜は保健室から、どこかで嗅いだことのある匂いがした気がしたが、思い出せないのであきらめることにした。


「そうそう、前島さんてのお姉ちゃんの知り合い?がナツキに会いたいって」

「何それだれそれ?」

「あんたね……クラス委員長のメガネかけたあの……よく黄色いヘアピンの」

「あ、あぁ前島さんね。でもその知り合い的な人が何の用?」


 ナツキは名前では一切人物を特定できなかったが、特徴を聞き何とか思い出した。

 クラスになじみがないので仕方のないことではある。


「その知り合いが郡山さん?て人らしくてさ、郡山さん『異能者』らしくて。ナツキのこと聞いて会ってみたいって」

「えーそんな急に言われても」

「会うだけ会ってみたらいいじゃない」

「でも知らない人だしさー」

「大丈夫よ。それに万が一でにも嫌な人だったら私が文句言ってやるから」

「茜が事荒立てる必要ないよ」


 ナツキが感謝しているところでもあるから複雑だ。

 昔、ナツキがいじめてきた相手に真っ向から対立した。

 しばらくして、表立ったいじめはなくなった。


「私はそんなつもりないわよ。相手次第よ相手次第」

「……そうだね」

「何よ」

「そうゆう茜の強いところ好きだなって」

「そ、そう」

「お、おはよう佐霧さん。どうした?顔赤いけど大丈夫か?熱中症には気をつけてくれよ」

「だ、だ、大丈夫です」


 茜は弁当をかきこむ。


「ところで、刹那ちゃんて『異能者』なんですか?」

「一応な。不安定で危なっかしいからカウンセラーの俺がついてる。男性が苦手だから気軽に同級生を紹介しないで貰えるとありがい」

「ナツキは平気なんですか?」

「みたいだ」

「な、何すんのさ!セクハラ」 


 茜はいきなりナツキの胸を揉む。

 現在男の体なのでないが。


「今週の土曜忘れないでね。後で場所とか伝えるから」

「はいはい」

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