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僕は、ヨルに消えた。

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

僕達はあの山に入り、神社へと向かう。山の神も何かを感じ取ったのか、木がざわめく。

「護留。」

あの細い道の前に立ち、直途が僕の名前を呼ぶ。僕は直途に笑顔を向け、再び歩き出す。直途は今にも泣き出しそうだったけど、覚悟を決めたのか僕の後ろを着いてくる。音羽さんも、黙って着いてくる。

「行くぞ、二人とも。」

僕達が霊道を抜けると、以前来た時と様子が違った。辺りは赤い霧が立ち込めていて、石段の横に白い手が並んでいた。

『アソボアソボ、マタアノヒノヨウニ。アソボアソボ。』

「違う。お前はあの子であって、あの子じゃない。」

僕は石段を進みながら山の神と話す。

『ワタシハワタシダヨ。ネ、マモル。』

「そうだな、山の神は山の神だ。あと、僕の名前を気安く呼ぶなよ。」

『ヒドイヒドイヒドイ。アア、カナシイナ。』

「ならもっと悲しそうに喋ったらどうだ?そんなんじゃ伝わらないぞ、山の神...いや、悪霊。」

僕が鳥居の前に立ち、その姿を視界に入れる。一つの目玉を中心に無数の手が集まり、一つの球体を形作る。それは山の神なんかじゃない。神に近い力を持つ悪霊だ。

『オイデオイデ。ワタシノ...「ヨル」ノトコロニオイデ!』

その瞬間、無数の手が伸びてきて僕を叩き潰そうとする。僕達は散らばり、僕は悪霊へ向かって走り出す。

「おいでって言うなら攻撃するなよこの悪霊が!」

「護留!時間を稼いでくれや!俺と音羽さんで隙を作るけん!」

「ああ、任せた!」

僕は悪霊から伸びる手を狙って拳を放つ。あの時生き霊になっていた感覚はまだ残っている。今の僕なら...

「おら!」

『ヒッ!?』

自分の霊力を操れる。

「は!?」

「山代さんすごっ!」

僕の放った拳はあの手を一本だけだけど破裂させた。避けるだけじゃない、今の僕は攻撃も出来る。

いくらでも時間は稼いでやる。

「悪霊、いい加減にあの子を返せ。」

『ヒドイ...ヒドイヒドイヒドイ!!』

手の数と速度が急に増し、無数の手が僕を掴む。無数の手は力を強めていき、僕を絞め殺そうとする。だけど、時間切れだ。

「「龍神よ、今一度力を借ります!急急如律令!」」

『ヒィ!アツイ!アツイアツイアツイアツイアツイィィィ!!』

直途と音羽さんが周囲に貼った御札が光り、悪霊を青い炎で包む。僕を掴んでいた手は解け、僕は地に足を着く。

「今だ護留!」

「行って!山代さん!」

「うん、ありがとう二人とも。」

僕は悪霊に向かって走り出す。そして、走りながらも直途の方を向いて、口を開く。

「直途、またな!」

「...っ!おう!」

僕は悪霊の手を掻き分け、一番霊力の強い場所へ進む。この先には、あの子の気配がする。

「ん?ここは...。」

「なんで!」

僕の身体に何かがぶつかると同時に、そこから声がした。僕が下を向くと、そこにはあの子がいた。

「なんで来ちゃったの!どうして!」

「どうしてって、そんなの決まってるよ。僕が、今でも君に恋をしているから。」

「...っ!私だって護留の事好き!ずーっと好きだよ!でも、護留が死んじゃったら意味が無いよ...!」

僕は涙を零す彼女の顔を覗き込み、口を開く。

「君がくれた首飾り、すごく綺麗なんだ。ほら、あの日僕が君にあげた髪飾り。落としちゃ駄目だろ?」

僕は彼女の髪に勿忘草の髪飾りを着ける。

「あの頃はたくさん遊んで、たくさん一緒に怒られたよな。君となら、どこへでも行ける気がした。僕はあの頃からずっと君が大好きで仕方なかったんだ。」

「私だって、護留が好き。ずっと一緒にいたいし、一緒にどこへでも行きたい。でも、だからこそ早く逃げて。このままじゃ、護留は...!」

「こっちを見て。」

僕は彼女にキスをする。そして、彼女は唖然とした。

このままずっとこうしていたい。彼女と離れたくない。でも、それじゃあ駄目だと分かっている。だから、こうするしかないんだ。

そして僕は、塞がりかけている穴に彼女を投げた。

「...っ!?」

「ごめん。大好きだよ、まひる。」

僕に無数の手が迫り、僕を潰そうとする。その中、僕は悪霊の中心に見える形代に手を伸ばし、それを掴む。

「こんな物、要らねぇだろ...!僕が、代わってやるよ!!」

僕は形代を破る。そして、僕に霊力が大量に流れ込んだ。

彼女が...まひるが山の神として山に囚われたのなら、僕がその代わりに山の神と成る。もうまひるに辛い思いはさせない。もう、僕の夢は叶った。これで、全て終わりだ。


セミの鳴き声がして、私は目を覚ます。今日は初めての高校生活だ。私は髪飾りを着けて、外へ出る。

「おはよう二人とも!」

「おう!」

「おはよう、じゃあ行こうか。」

私と直途と雫ちゃんはあの山の前を通って高校へ向かう。

初めての高校生活だからドキドキする。

「じゃあ、また後でね〜!」

私は二人と別れて、職員室に行って先生から話を聞く。その後、教室の前に立って待機する。

「入ってきて〜!」

先生の声を聞いて私は教室の扉を開けて黒板の前に立つ。

初めての教室で、多くの人の前に立って、すごく緊張する。

「じゃあ、自己紹介よろしく。」

「はい!」

私は黒板に名前を書いて、クラスメイトの皆の方を向いて、口を開く。

「私の名前は「青草あおくさ まひる」です!一年間、よろしくお願いします!」

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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