6、人生で異世界初の居候
6、異世界で人生初の居候
俺は、ドアを叩く音で目が覚めた
「ヒロ様ぁ!おはようございます、朝ごはんが用意出来たそうです
準備出来ましたら・・・」
俺は、クリスが、わざわざ来てくれた事に恐縮して、慌てて、ベッドから出て、ドアを開けて
「おはようござ・・・」
「キャッ!ひっヒロ様、それは!?」
朝の挨拶が言い終わる前に、クリスが、驚きながら、俺の右手を指さした
何気なく、俺も見た
ゲッ!?!?
俺の右手には、刃物が握られている
イヤイヤ、状況がやばい、刃物を持ってドアを開けたって、ヤベェじゃん!
「あっあ、ごっごめん
えぇと、果物を食べようと思ってたところだったから、ごっごめん」
ヤッベェ、こんな、下手な言い訳しか言えない
「っもう!ヒロ様!驚かせないでください
さぁ、よろしかったら、朝食をいただきましょう」
昨日、寝る前に、頭に思い描いたのはナイフだったのだが
なんと、それが、手に握られていたんだ
でも、訳が分からない!どうやって出来たのだろう、しかし、間違いなくこれって、俺がやったんだよな?
これは、マジで検証しないとな
これが、今朝のやらかし報告でした!
朝食も食べ終わり、タガートとアイトは馬の段取り
イリカとリネンは、ちゃんと恩師に挨拶に行ったらしい
クリスに至っては、この短時間で、村の薬屋兼、武器屋兼、道具屋、要は、なんでも屋と、商品の積み下ろしと商談を終わらせている、さすがだ
そろそろ出発となった時に、俺は、昨日来た方向を見た
『そろそろ行くけど、聞こえてるか?
と・も・だ・ちw』
と、ここまで(正確には、少し手前までw)道案内をしてくれた、友人wに念話した
『フン、馴れ馴れしくしおって
聞こえておるわ』
念話の届く所にいるなんて、ダイアウルフも可愛いところがある
『じゃあまたな、ダイヤw』
俺は、挨拶と共に、長い種族名を短く呼んだ
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぉぉん!!
昨日、夕飯を食べた場所の付近から、かなり大きい遠吠えが聞こえた
すると、どうした事か、急に脱力感と共に、背中に悪寒を感じて、軽い貧血のような感じになり、俺は膝をついた
「ヒロさん!大丈夫!」
アイトが、慌てて近寄って来た
「いや、寝冷えしたかも、シャツがなかったからかな」
うううっ、ガテン系御用達の我らがワ⚪︎クマンのTシャツのあたたかさが懐かしい!
「でも、大丈夫、ちょっと、クラッてきただけだから」
アイトの手助けで、立たせてもらった、すると
フォオォオォオオン!
と、仔犬が、まだ辿々しい遠吠えを返した
そして仔犬を荷台に座るミサの隣に置きながら
「顔色良さそうだね」
と、ミサに声を掛ける
「はい、大分よくなりました
昨日は、助けていただきありがとうございました」
と、目を背けながら言われた
あれっ嫌われた?
「昨日は、男性に服を脱がされた、どうしようって、夜中に飛び起きてたぞ!」
タガートが、からかいながら、出発の合図をした
「タガート!秘密にしてって言ったのにぃ!」
と、恥じらう元気が、出てきた様で、ちょっと安心したが
「ちょっと、待ってくれ、あれは、傷口を処置する為に・・・」
と、慌てて、動き出した、荷馬車を追いかける
みんなの笑い声が、顔を赤くしてる、俺とミサに降り注ぎながら、タンガロを後にした
こういった、荷馬車などの護衛は、護衛が、周囲を歩きで警戒しながら移動するので、かなりゆっくりなスピードになるらしい
昨日は、ダイヤ(ダイアウルフねw)が、近くを歩いていてくれたから、安心だったけど、今日は、ちょっと不安だ
でも、タガート達は、結構リラックスしている様に見える
帰ったら、どこの何を食べるだの
しばらくは、休んでやるぅだの
服を買わなきゃぁだの
大衆浴場に行くですとか、思い思いの話題で、盛り上がっている
俺は、風呂、もしくは服を買うに1票入れたいかなw
昼を過ぎたくらいで
「街が見えて来たよ」
という、アイトの言葉が響く
みんなの気持ちが、一層、昂ったようで、おのずと、歩くスピードも早くなる
少し進むと、街の壁らしきものが見える、が、横に長い!
タンガロの村は、外周を歩いたわけではないが、大体サッカー場4つ分位の広さを木の柵で覆っていて、人口は100人くらいかなぁって感じだったが
イヤイヤ、ライフィスは、もう、比較にならない、ってか、壁の横幅が、とんでもねぇ!
どのくらいあるのか分からない
街道も両脇の雰囲気が、果樹が沢山生えてたり、畑だったり、田んぼ?だったり、遠くには、家畜小屋?見たいなのが見えて、段々、人の営みが感じられて来た
ちょっとした、集落も点在してる
街が中央にあって、その周りで農耕が行われてる感じかな?
さっきから、行き交う人や追い抜く馬車や騎馬など、人の往来も増えてクリスやタガートは、何人かの知り合いと遭遇していた
なんか、すげぇワクワクして来た
段々、近づいてくると、壁も、はっきり見えて来て、壁の向こうには、高い建物も伺える
壁も、6m位の高さだろうか、下から、何段階かで、色が違う所を見ると、建て増しして今に至るのだろう、この街の発展具合が伺える
目の前には、門があるんだろうか、多分今は、開かれていて
徐々に人や馬車の列が出来てきてて、
俺達は、その最後尾に並んだ
異世界ものには付きものの、門番との揉め事がない様に願いたい
そんな事を考えていると、少し前方に、耳の先が尖った人や、ずんぐりむっくりした人、毛深い人など、一杯いて、俺は、キョロキョロしっぱなしだった
「おいっヒロ!まさか、ヒロは、人間以外は、見た事無いのか?」
タガートに言われて、ギクっとした、やばい、ジロジロ見過ぎたか?
「ワルイ、猫耳くらいしか見た事ない」
と、俺を転生させた少女を思い浮かべた
「猫耳?獣人族かなんかか?
そうか、結構、自分の見た目を気にする奴もいるから、あまりジロジロ見ない方がいいぜ!
場合によっちゃ、喧嘩沙汰にもなっちまうからな」
イカンイカン、そういえば元の世界でも、ここ最近は、色々うるさかったような気がする
「ありがと、気を付けるよ」
と、答えた頃に、衛兵らしき人の近くまで進んできた
「おっ!クリスさん、お帰り!
危険な物とか持ち込んで無いかな?」
顔見知りらしい衛兵が、クリスに話しかけながら、簡単に、クリスの身体検査や、何やら、カードみたいな物を見ていた
「ただいま、ありがとう
荷物は、商品ばかりで、武器や防具はありますが、大丈夫かと、後は、皆さんの詰所に後で届けようかと思っているアルジアのお菓子くらいかしら」
後ろの若い衛兵達が、やったぁ!と喜んでいる
「あっ、それと、途中、ゴブリンの襲撃があって、助けていただいた方が、そこから、同行してくださってます」
それとなく、俺の事を伝えてくれた
衛兵は、俺を一瞥して
「大変だったね
クリスさんを助けてくれたんだ、ありがとう
ライフィスに初めてかな?ギルドカードなど、身分を証明出来るものがあればそのまま入ってもらってもいいが、無ければ、金貨1枚が必要だけどいいかな?」
無い!と答えると、お金は、クリスが払ってくれた
「じゃぁ、クリスさん達は、入ってください
君!名前は?」
ヒロです、と伝えたら、何やらメモを書いて、後ろの衛兵に渡していた
「ようこそライフィスへ」
えええ?簡単に入れちゃったよ
クリスの人柄のお陰なんだろう
クリスにお金のお礼を言うと
「とんでもないです
それと、何かしらの職業に就けば、ギルドカードなどの身分証を作る事になるので、慌てないで大丈夫ですよ
さ!参りましょう」
と、門をくぐると、活気のある街並みが、目に飛び込んでくる
門からすぐのエリアは、外周区というらしく、中央にむかって、中区、中央区または、行政区となっており、それぞれ一応東西南北に別れているらしい
外周に行くほど、庶民的になるらしい
クリスは、南中区に居を構え、南外周区に何店舗か店を持っているらしい
大通りとでも言えばいいのか、門から中央区へ続く道を進む、道幅が広いせいか、両脇には結構露店や出店が並ぶ
「凄い活気だ」
露天や出店に目を奪われていたら、心の声が漏れていた
「ライフィスじゃ、衣食住全てが揃っていて、尚且つ、職に困らないって言うくらいだからな」
と、いつ買ったか分からないが、串肉を頬張りながらのタガート
しばらく歩くと、建物や歩いている人の雰囲気が変わったと思ったら、南中区に入ったらしい
「はい、皆様、お疲れ様でした」
クリスが明るい声で、みんなを労ったかと思うと
1件のちょっと大きめのお店の前で、荷馬車を止めた
すると、その店から、数名の男達が出て来て、手際よく店内に荷物を運び込み、荷馬車が店の裏に消えていった
タガートとリネンが、何やらクリスにサインをもらっていた
「ヒロ!ホントにありがな!
俺達は、冒険者ギルドに報告に行くからよ
今度、ゆっくり飯でも食おうぜ!
クリスさんも、またよろしくな!」
「ヒロさん、待ってますですよ
では、失礼しますです」
タガートとイリカが、そう言ってくれた
他のみんなも、また会う事を約束して、外周区の大通りにあったと言う冒険者ギルドに向かった
全然、気付かなかった
ミサはもう歩けるようで、何よりだ
「ヒロ様、私は、少し、今回の仕入れの片付けを店の者として来ますので、ゆっくりしてください
小さいですが、浴室もありますので、夕食まで、おくつろぎください
そこにいる、ミレイに仔細は伝えてありますので、なんなりとお申し付けください
ミレイ頼みましたよ!」
まさかのメイドさんだよ!
行きたいと思っても、結局、行く事が叶わなかったメイド喫茶の本物が目の前にいるよ!
「ヒロ様、さ、こちらに
荷物をお預かりいたします」
マジもんのメイドさんだよ!やばいっす
って、荷物は、肩掛けのバッグだけなのだが、仔犬を抱っこしている為、お願いしてしまった
一度、店内に入り、真っ直ぐ抜けたら、庭に出た!
目の前には・・・・デカい家!
左手には倉庫らしき建物
そして、右手に、厩らしきものがあり、一緒に旅をした馬が、体を拭かれていた
流石に仔犬を家に入れるのは、まずいと思い、ミレイに相談すると、厩の人に預けてくれた
寂しそうな顔をしていたが、我慢してくれ
家の中に入り、2階の客間らしき部屋に案内された
「よろしければ、お風呂の用意が出来ていますので、いかがですか?」
迷わず、2つ返事です
念の為に使い方を聞いてから入ったけど、基本湯船に浸かるのがメイン
石鹸はあるけど、それを手で擦って、泡立てて体を手で洗う感じだ
それでも、久々の風呂は、キモティーです
風呂を出ると、俺の服が無くなっている!
慌ててミレイを呼ぶと、もう、洗い始めてるそうで、用意された服を着た
着るには着たけど、なんか落ち着かない
客間に戻り、ミレイが、お茶を用意してくれて、夕食が出来たら呼びに来てくれるとの事
部屋をうろちょろしたり、窓から外を眺めたり、していたが、全く落ち着かない
「そうだ!」と、思い出し、バッグから、今朝、握っていたナイフを取り出す
実にいい!
しかし、こんなの鞘もなく持ち歩いていたら、怪我をするな、早目に鞘を作りたいところだ
今度は、黒い石を取り出し、鍋でも出来ないかと思いながら念じたり、声に出したり、投げるそぶりをしてみたり、色々試したが、何も起こらなかった
今度は、ダメ元で、前に試した様に、粘土細工をする感じで、手で捏ねようとした
すると、若干、手の中が、ほのかに温かくなる感じがした
イケるか!
と、思った瞬間、暖かさが消えてしまった
何か集中力的な事だろうか
そうこうしていると、ミレイが食事の準備が出来たと迎えに来てくれて、食堂に案内された
食卓には、10人くらいの人が、先にテーブルに座っていた
ほとんどが、ここで働く人達だそうで、クリスは、みんなで食事をしながら、その日の出来事を聞くのが好きらしい
ミレイも、クリスの隣に座っている
クリスが、俺の事をみんなに紹介してくれ、みんなにお礼を言われ、照れくさかったが、みんな気さくで、暖かい
食事中も、至る所で会話があり、中でも、危険な思いはしたが、クリスが無事に帰って来てくれたことに泣きながら喜ぶ、年配の男が、みんなの笑いを誘ったりしていた
話は、クリスの幼少期のお転婆過ぎてやらかした話まで出てきて、クリスが赤面して半泣きになる始末
いつもは、そんなに時間を掛けないらしいが、今日は、ここの主人のご帰還と言う事もあり、かなり盛り上がってしまったとの事
俺、こっちに来て、危険な目にも遭ってるけど
なんか、毎日が楽しい気がしてきたよ
読んでいただきありがとうございます。
やっと、街に入る事が出来ました。
次は,冒険者になろうと思うます。
早く、神と暮らさせないとと焦ってます。
失礼します。




