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異世界で神(娘)と暮らし始めて嫁探し?  作者: 超七玉
サーヤ冒険者になる、ヒロ能力に目覚める
45/47

45、王族来訪

45、王族来訪


「おいおい、この報告書は本当なのか?」


 絵画や装飾品が数多く飾られてはいるが、落ち着きのあり、何人かで談話ができそうな大きなソファー、なども置かれた部屋・・・と言うか巨室(居室)?

 

 大きな事務机と一言で片付けるには失礼にあたりそうな美術品のような机に肘をついて座る、見た目50歳くらいの、いかにも叩き上げの戦士のような男性が、渡された書類に目を通してが、机の向かいに立つ2人の男性のうちの1人に驚きの声を上げるように確認をした


「はい、国王

 レイモンド氏とフレッドおじっ、いや、冒険者ギルドのギルドマスターの連名ですので、偽りではないと思われます

 それと、ギルドマスターからの手紙が1通添えられておりました」


 答える男性は20代前半か?、しかし、どことなく国王と呼ばれた人物と顔の面影が似ている


 硬い表情を保ちながら、国王と呼ばれた人物が、口を開く


「蒼き炎の奴らと接敵して、3人で倒した?

 ダンジョンでバジリスクと接敵して倒した?

 おいおい、前回の報告にあった、石化したエルフが、生き返った報告といい、フレッドの奴は、我達をたばかっておるのではないだろうな?」

「フレッドおじさんの手紙を読んだら、もっと驚くかと思われます」


 若い男性は、1通の手紙を国王に手渡した


「全く、前回、アルジア近郊で出現した蒼き炎を纏ったビッグベアの時の状況はどうであったかの?」


 国王は、手紙を開きながら聞いた


「はぁ、炎を纏ったビッグベアが出現した時はアルジアから、50人の衛兵と30人の冒険者が向かい、相当な痛手を負いましたな」


 若い男性の隣にチョコンと立っている、白髪の老人が答える


 "ぐぬぬぬぬっ"と、獣の呻き声のように喉を鳴らし手紙を読み始める国王


「メイナード

 フレッドのやつ、随分とまどろっこしい書き方をしておるが、どう見る」


 メイナードと呼ばれた若い男性が、質問されると


「そうでしょうか?

 私には、おじさんが、かくも面白い人物を冒険者として引き入れた事を自慢しているように思えるのですが?」

「ほぉ、あ奴め・・・

 そういえばルイスはフレッドに懐いておったな

 そろそろライフィスに視察でも出す頃合いだ

 今回は、あやつに行かせてみるかの?」

 "はっ、では、呼びます"と、メイナードが、廊下に出て、衛兵に指示を出す


「しかし、アイツらが動き出したとしたら面倒だな、ジェームズ」

「えぇ、魔の者達は、残虐ですからな

 根城の手掛かりでも見つかれば頂上かと・・」


 少しの間、報告書と手紙の件を話していると、居室のたった1つの入り口がノックされた


「お茶の用意ができましたので、お召し上がりください」


 と、台車を押したメイドを連れた女性が、軽く礼をして入ってきた入ってきた


「コラ、クレア!

 今は、父上達と大事な話をしていたんだぞ」

「あら、ルイ兄様が呼ばれたので、ちゃんと4人分のお茶をご用意いたしましたわよ」


 クレアと呼ばれた女性が、とぼけた顔でお茶の用意を始める


 国王とメイナードは、呆れ顔だ


「クレア様、今日のお茶請けは、なんですかな?」

「勿論、じいじの好きな、やわらかぁい、蒸しパンですわ」


 "ありがたやぁ"と、さっさと自分の分のお茶とお茶請けを持ってテーブルがあるソファに移動するジェームズ


「そろそろアキコマに米の買い付けに行こうと思ってるのですが、少し足を伸ばして、レイ様とおじさまに会いに行ってもよろしいですか?

 お父様!」


 国王を父と呼ぶと言うことは、娘である事は確定のクレアという女性が、国王にお茶を出しながら尋ねる


「なぜ、いつも王族のお前が、買い付けに行くのだ

 何かあったらどうする?」

「あら、お父様もご存知の通り、私は、この国最大のアレク商会の代表ですので、買い付けくらいいたしますわ」


 またもや、頭を抱えながらため息を吐く国王とメイナード


「お前、ルイスをライフィスに視察に行かせる話を盗み聞きしていたんだろ?」

「はて?なんの事でしょうか」


 クレアがとぼけながら、メイナードにお茶を手渡す


「遅くなりました!

 ルイス、馳せ参じました!」


 ちょうど、元気ハツラツなルイスと名乗る若者が入ってきた


「おぉ、呼びつけてすまぬな

 ちょっと、ジェームズとライフィスの視察に行ってくれぬか?」


 そう言いながら、報告書と手紙を手渡す




「して、私は、何をしに行くのでしょうか?」


 あらかた読み終わったルイスが、今回の視察の目的を尋ねる


「全てに絡んでいる人物がおるらしいから、そやつを見てきてくれぬか?

 有益な人物なら連れて来てくれぬか?」

「はっ!」


 ルイスと呼ばれた若者が、元気に敬礼をした


「はい、ルイ兄様の分です」


 と、全員にお茶が回ったところで、談笑が始まる




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ここは、北東地区警護隊詰所の近くにあった、閉店してしまった宿屋


 しかし今は・・・・




「はい、順番!順番だよぉ!

 診てもらった人は、食事が無料だからねぇ!」


 北東地区の警護詰所の隣で、食堂を営んでいたカリーナの元気な声が響き渡る


 この宿屋を街が買取り、今後増員する予定の警護隊の宿舎にする計画なのだが

 まだ運営方法が決まっていなかったので、仮のシンディー健康管理(吸血チェック)の場所として活用している


 いきなり健康チェックといっても、なかなか足を運ばないだろうとの事で、健康チェックをしたら食事が無料になる特典を付けてみたところ、子供から老人まで、来るわ来るわの大盛況


「おばさん!食事券貰ってきたぁ」


 カリーナの足元に、弟らしき男の子を連れた女の子が話しかけてきた


「健康チェックしてもらったんだね

 今、テーブル開けるからちょっと待ってな

 ホラ、そこ!食べ終わったんなら、この子らに席を空けてくんな!

 子供は国の宝なんだから、どいたどいた!

 ついでに食器も下げてくれたら助かるよ」


 冒険者風の数人が、食後の果実水を飲んでくつろいでいたが、カリーナさんにケツを叩かれて慌てて立ち上がる

 急かされているのにどこか楽しげだ

 カリーナさんの人柄が分かるようだ


「アンタらありがとうね、あとでサービスするからね

 さぁ、座りな

 何が食べたい?

 それと結果はどうだった?」


 女の子が、どいてくれた冒険者にお辞儀をして席につく


「うん、健康だって

 でも、弟がエイヨウ?が足りてないって言われた」

「そうかい、よぉし、おばちゃん頑張って栄養満点の料理を出すからね

 肉は嫌いじゃないだろ?」


 "うん!"と、大声で返す2人の前に、大人でも食べきれないくらいの料理がやってくるのは、子供達には内緒だ




「良かったなサーヤ、健康で」

「うん、でも、シンディちゃん、"この血うまぁい"って、大声出しちゃったらバレバレだよね」


 シンディが噛み付着く前に、超回復薬を一口舐めるだけで痛みはない事が判明し、血を吸った後は、少量の超回復薬を塗るだけで傷跡も残らない事が分かった


 ただ、単純な性格のシンディが、血の味の感想を言ってしまうのがたまに傷だ


 俺は、健康なのは前回で分かっていたから、今日はサーヤの健康チェックがてら、カリーナさんの様子を見に来ていた


「あら、弁当箱の・・・ヒロさんじゃないか

 もう、アンタなんだって?私をレイモンドさんに紹介してくれたのは?

 あの店もボロかったんで、改築した宿屋に移れて嬉しいやら、仕事が増えて大変やらで参っちまうよ!

 娘さんかい?

 相席でいいだろ?その子らの食事を見てやってくんな」

「あっ、いや、親子じゃ・・・

 慌ただしいなw

 よし、一緒に食べさせてね」


 カリーナさんに捲し立てられながら席についた


「こんなに食べれないヨォ!

 お姉ちゃん達も食べてぇ」

「いいの?

 じゃぁもらっちゃおうかなぁw」


 相席の子供達は、目の前の料理と悪戦苦闘中らしくサーヤと俺に助けを求めてきた


 まぁ、余りそうなら弁当箱もあるし(ちなみにサーヤの分も作ったのだ!)、シロもいるから、まず残らないだろう


 少し子供達の料理をつまみ食いしていると、目の前にさらに料理が運ばれてきた


「アンタらにはこっちだよ

 もう、街からの仕事だから、食材が豊富でね

 それと、アンタ、外周区やマリーちゃんとこの若い子にここで働かせるようレイモンドさんに言ってくれたんだって?

 まったく、いい事してくれるじゃないか?

 もう、ありがとね」


 バンっ!と、背中を叩かれた


 イヤイヤ、ちょっと思いついた事をレイ(街の代表のレイモンド)のやつに提案したら、すぐに動いてくれただけで、俺は何にもしてないんだけどね


「ねぇねぇ、オジサン

 カリーナさんって、みんなのお母さんみたいだね

 はい、どうぞw」

「あっあぁ、オフクロって感じのなw

 おっと、落ちたのは、食べちゃダメだぞぉ」


 俺達は、相席した子供達の世話をしながら食事をすすめた


 予定通り?持ち帰りの弁当箱に料理を満載し、シロのおかげもあって、余る事なく料理を空にした俺達は、事のついでに子供達を家まで送ってから、冒険者ギルドに今日の仕事を探しに行く事にした


 サーヤは、クリスの所に行けば、普通に仕事はあるが、たまには、冒険者の仕事もいいだろうと思ってね



「ヒロキさん、今日は、ゆっくりですねぇ

 目立った依頼は、もう残ってないけど・・・

 これを2人にお願いしたいかなぁ?」


 と、冒険者ギルドの看板受付のグレースが、1枚の依頼書を出してきた


 "薬草(癒し草以外)及び毒キノコの採取〜依頼主・調合師モネ〜


 癒し草以外の薬草を採取願う

 (眠り草、痺れ草、幻惑草、煙り草、毒草、毒消し草etc)

 キノコについては、食用以外は何でも可


 最低でも籠に2杯希望


 報酬・・・銀貨2枚

      珍しい薬草、キノコに関しては、別途買取りあり


 依頼形態・・・希望の品を依頼主に直接持って行く事で完了

 また、依頼中の怪我や・・・・・

 


「何だよこの依頼!

 モネのやつ、危険な物を採取して来いって言ってるようなもんじゃないか?」

「はい、私も、流石にこれは引き受ける方がいないだろうと、モネさんに断ろうとしたのですがぁ・・・

 ギルマスが、ヒロキさんなら受けてくれるだろうってぇ・・・

 それと、これぇ、例の健康チェック絡みなんですよぉ〜

 そしてこれは、モネさんが書いてくれた、欲しい薬草やキノコの絵ですぅ」


 おいおい、とんだ特殊依頼だな

 ってか、ほぼご指名じゃんか?


 しっかし、この薬草やキノコの絵、うますぎないか?


「へぇ、モネって絵の才能あるんだね

 こりゃ分かりやすいや」

「はい、ここの薬草図鑑も何冊か、挿絵を入れてくれていますよぉ」


 って、俺は、多分、これ見なくても、光った色でわかっちゃうんだけどね


「まぁ、変わった依頼だけど、薬草採取には変わりないから、弁当もあるし、ダイヤでも呼んで、ピクニックがてらやってみる?」

「ウン、いいよ

 ダイヤさんにも会いたいし、シロも駆け回りたいだろうから」


 よし、まだまだ、昼前だ、今から出れば、一晩野宿するくらいですみそうだ


 俺のマジックバッグには、だいたいの道具は入ってるから、このまま出発した


 街を出て西に進路を取り、アキコマの村に続く街道を進みながらダイヤと合流して、右側に鬱蒼と林か森が見えてきた辺りで、進路をその林がある丘のような小さな山(北)に変える


 いつものようにダイヤの背中に乗るサーヤは、あまりの気持ちよさにうつ伏せになりながら寝てしまっている


『オイ、少し貫禄が出てきたようだな?』


 ダイヤが、俺に目線だけくれて念話してきた


「あぁ、バジリスクやヴァンパイアと戦ったからかな?

 って、俺は、体当たりくらいしかしてないけどな」

『おっ?

 それは、美味うまいのか?

 今晩、馳走してくれるのか?』


 おいおい、聞いた事ないものが全部肉だと思うのやめてくれってんだよ



「違うよ!

 まぁ、バジリスクの方は、食べれたかも知れないけどね」

『なんだ違うのか、すると、今日のワレの食料はないのか?』


 まったく、こうも人間に食べ物を求めるようになってしまうとは・・・

 最初は、あんなに人間嫌いだったのに・・・


「なんだよ

 まさか、俺達とも、食べ物がなけりゃ行動してくれなくなっちまったのかよw」

『いっ、イヤ、そうではないゾ!

 オヌシ、ちょっと見ぬ間に、じょ、冗談も通じなくなったのか

 オヌシらは、特別に決まっておろうがw』


 出会った頃は高圧的だったのが、随分と丸くなったもんだよw


『ほっ、ホレ、この辺りは、目立った奴はおらんから、好きなだけ草を取ればよいのだ

 わっ、ワレは、オヌシらに、馳走を取ってきてやろうではないか汗』


 そう言うと、シロを咥えて消えてしまった


「キャッ!

 もう、ダイヤさん乱暴なんだから!」


 とか、言いながらも、草の生い茂った所に優しく放り出されたサーヤが痛くもないのにボヤく


「まぁ、薬草なら、簡単に見つけられるから、チャチャっと摘んじゃおうか」

「はぁい

 オジサン、モネさんの資料見せてよ!」


 2人で依頼書と共に渡されたモネの資料を見ながら採取を始めた


 俺のスキルなのか、薬草を見るとほんわか淡く光って見えるんだけど、モネの資料と合わせて見ると、こんな感じだ

    眠り草・・青

    痺れ草・・黄色

    幻惑草・・桃色

    煙り草・・茶色

    毒草・・・紫色

    毒消し草・赤紫色


 ちなみに回復薬の主成分として使われるのは、癒し草で、淡く緑色に光って見える


 今回は、緑以外を片っ端から摘み取っていく


 キノコも、光って見えるが、なぜか資料の方には、名前が書かれていない

 もしかしたら、毒キノコの成分が、名前で分かってしまうとマズイとか、そこまで気が効かなかったのか分からないが、とりあえず種類ごとで分けて採取していった


 間違いなく、籠に5杯分くらい採取したところで、一陣の風が、舞ったと思ったら、ドサっと、大きな鷲?

 いや、コカトリスが横たわっていた


『オイ、これで、あの、ジュワッとした、アレを作ってくれぬか

 もう、あれが食いたいとワレの腹が唸っておるのだ!』


 "はいはい、唐揚げね、分かったよ"


 それから、サーヤがコカトリスを捌き、ダイヤとシロがくつろぐ場所の作成

 俺は、火を起こして、調理をする


 久々にこのメンツで、火を囲んで、何でも話せる仲間同士で、夜を楽しんだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一夜明けて、帰っても良かったが


 "ヒロさんでも、この程度が限界かねぇ"などと、モネに小言を言われるのも癪なので、太陽が真上になるくらいまでは、再度、採取を行い、帰り支度(って言っても、体に着いたネコジャラシなどをとる程度w)をして、昨夜の残りでランチをとりながら団欒を決め込んでいると・・・



『オイ、何か来るぞ』


 昨日の残りの唐揚げを人一倍食べて、まったりしていたダイヤの念話が警報のように響いてきた


 ライフィスとアキコマを結ぶ街道からは、少し高くなっている所で休憩をしていたので、木々を掻き分け覗き込むように街道を見下ろす


「うわぁ、綺麗な馬車だね」


 サーヤが感嘆を漏らす


 見れば、街道を結構な数の人達に囲まれながら馬車が4台、ゆっくりと進んでいた


 先頭と最後尾の2台は荷馬車といったところか、中央の2台は、派手さはないが、作りがデカい!

 2頭の馬で引いているが、馬車が重すぎるのか、進む速度は、歩く速度くらいだ


 それに目立つのは、中央2台を囲む様に歩く護衛だ

 流石にフルプレートの兵士はいないが、背中に槍やハルバード、盾に弓と、様々な武器、錫杖を持った神官戦士の類い、魔法使いと仰々しい行軍だ


 2番目の馬車が真下を通り過ぎる時にダイヤが鼻を鳴らした


『あの箱の中に禍々しい気を出している奴がおるな』

「え?

 ヤバい奴が馬車に乗っているのか?」


 俺は、見つからないように少し身を乗り出して観察したが、何も分からなかった

 ただ、小声で聞き直した俺に"ウム"とだけ返事が返ってきた


 続いて3番目の馬車が真下を通り過ぎようとした時に、こちら側の窓が開いた


 すると、金髪の多分女性が、こちらを仰ぎ見て、会釈をしたと思ったら


『こんにちわ、いい天気ですわね』


 と、念話で声を掛けられた


 ?!?!?!?


 どゆ事?


「今、声かけられた?」

「オジサンも?」

『フン、小賢しい』

「クゥゥン」


 どうやら、ここにいる全員が聞こえたようだ


「まっ、まぁ、なんの1団か分からないから、片付けをして、少し距離を置いて、帰ろうか?」

「うん、わっ、分かった」


 キツネに摘まれた気もするが、あんな豪華な馬車が俺達に関係あるとは思えないので、気を取り直して、なるべく関わらないように、距離をあけて帰ることにした



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 日が傾き始めた頃、俺達は、南門に着き、許可待ちの列に並んだ


「おっ!ダイアウルフの兄貴だ!」

「ウルフさんこないだは、ありがとう」

「次はもっとうまい鍋用意から、また頼むぜ〜」

「わぁ、大きなお犬さんだぁ」


 最近では、護衛の依頼を受ける冒険者の中では、かなりの人気者のダイヤは、街の近くまで来ても、好意的に接してくれる冒険者達が多くいるため、自然と一般の人達の目にも入ってくる


「アンタらも、あのウルフさんに飯と引き換えに護衛してもらったのかい?

 俺達もこないだ世話になってよw

 いやぁ、ウルフさんがいると護衛の依頼が楽で良いよなぁw」

「えぇ、まぁ」


 はははっ、アイツ人間嫌いって言いながら、マジで手懐けられてんじゃんか!


「なんか、ダイヤさん人気者だね」

「あっあぁ、まぁ、そうなってくれると、俺達もダイヤと接しやすくなるから助かるな」


 そんな話しをしながら、許可待ちしてるんだが、なかなか列が進まない


 何かあったのかと、列から顔を出して先頭を見てみると、中に入れないで、列から外れた人達が数人見受けられる


 しばらくするとなんとか列も進み、俺たちの番になった


「やぁ、ヒロさんおかえり」

「ご苦労様、何かあったの?」


 俺は、ギルドカードを見せながら、顔馴染みの衛兵に聞いてみた


「あぁ、実は・・・」


 どうやら、街に王族が来訪していて、安全のために、初めて街に入る人は、明日の朝から審査をする事になってじまったらしい


「おいおい、いつもなら、夕方でも手続きしてくれたじゃないか?

 それに街に入れないって、馬車がある人はいいけど、徒歩の人達はどうするんだよ?」


 門の両側には、商人だろうか、数台の馬車と行商らしき人、途方に暮れた親子連れや、見た事ない冒険者達と、総勢30人くらいだろうか、どうしたもんかと立ち話をしている


「すまないなヒロさん

 上からのお達しなんだ、明日の朝までは、野宿なりなんなりしてもらうしかないんだよ」

 

 じゃぁ、さっきの豪華な馬車が王族だったって事か?

 まぁ、安全の為に、新規の来訪者はしっかり審査したいわな


「オジサン、あの家族みたいな人達可哀想だよ」


 サーヤが教えてくれた方を見ると、赤ちゃんを抱っこした若い母親らしき人の両脇に男の子と女の子が、成り行きを心配そうに見守っている


 全く、コレがレイのしたい、誰もが住める街かよ!ったく


「なぁ、サーヤ、ちょいとクリスに頼んで、寝袋でも、テントでもいいから持ってきてもらえるか?

 それと、換えの下着類をリリスに譲ってもらってきてくれるかい?

 これ、お金」

「えっ?

 あっ、そういう事?

 うん、分かった

 急いで行ってくる」


 走って街の中に消えていくサーヤとシロを見送り、もう一度衛兵に話しかける


「俺も、今日は、ここで野営するから、ちょっと、壁とか借りてもいいか?」

「え?ヒロさんも?・・・・

 あっ、助かるよ

 本部には報告しておくよ

 すまないが、彼らを頼む」


 勝手な行動が出来ない役所勤めは大変だよね

 さぁて、お人好し老害(中身がね)お節介を発動させますかね


 取り敢えず、あの家族かな


「あのぉ、すいません

 私、この街で冒険者をしているヒロって言います

 野宿するなら、お手伝いしますか?」


 さっきサーヤが話していた子連れのお母さんに、怪しまれるのは百も承知で、ギルドカードを見せながら話しかけた


「あっ、いや、すいません

 乗せてもらってきた商人さんは、街に入ってしまったので、どうしたらいいのか・・・

 自分達だけで野宿なんてどうやったらいいのか?

 あのぉ、何をすればいいんでしょ?」


 だよね、いきなり放り出されたら困っちゃうよね

 まっ、俺の場合、こっちの世界に放り出された時は、目の前に熊がいて、その後、ダイヤに出くわしたんだけどね

 あっそうだ


『おーい、ダイヤ!

 まだ近くにいるなら、門の脇で野営するから、ちょっと大きめの肉を用意してくれるかぁ?』

『おっ?飯か?飯なのか?

 任せておけぃ

 デカブツを仕留めてくるぞ!』


 ヨシヨシ、段取りOK!

 次は、こちらのお母さんに


「分かりました、多分、寝床は用意出来るし、夕飯もこれから作りますから、一緒に食べませんか?」

「いいのですか?

 ヒロ?さんでしたっけ?

 ならば、何か手伝わせてください」


 さっきまで途方に暮れていたお母さんの顔が、一気に明るくなった

 さてと、後もう少しサービスして


「よぉし、君たちも今日は疲れただろ、まずはこれを飲んで

 あっちの子供連れの人達も、ご飯作るから、呼んできてくれるかい?」

「わーい(ゴクゴクっ)

 プハー!美味しい

 あっちの子の分もある?」


 子供はこれくらい遠慮が無い方がいいね

 俺は、さらに果実水を取り出し、子供達に他の家族を集めてもらう仕事を頼んだ

 お母さんは、赤ちゃんの面倒があるだろうから、マジックバッグから、木製折り畳み椅子を取り出し座ってもらった

 座面は、大蝙蝠の羽根を使っているから、頑丈だ


 まずは、石を並べて、木をくべ、火を着ける


 中鍋しかないけど、取り敢えず水を炊く


 その間に、杭を何本か取り出し、壁を利用して、簡易シャワー室と、簡易トイレを作る

 排泄物は、埋めて怒られるなら、後で、大猪の腸にでも詰めてどっかで捨てよう


「これはこれは、随分と用意周到ですな

 なんなら、私も手伝わせてくれますかね?」


 などと調子よさそうに商人風の男が近寄ってきた


「いえいえ、街に入れなくて困っている人達を不便に思ってね

 俺はこの街で冒険者をしているんだけど、まぁ、困った時はお互い様って言うでしょ?(こっちでは言わないかな?)」


 怪訝そうに見ている商人だったが、急に真面目な顔になって


「お見それしました

 冷やかしのようにお声をかけてしまい申し訳ありませんでした

 売り物の中に、食材もありますので少し持ってきます」

「あっ、食材ならっ」


 っと、商人が振り向いた時だった


 ビューっと風が吹いたと思ったら


『待たせたな、これで足りるかの?』


 ダイヤが、オオワシを2頭、捕えてきた


「ひぇぇぇ!」

「きゃーっ」


 と、辺りが騒然とする


「こら、ダイヤ、いきなり現れたら、みんなびっくりするだろう!

 みんなぁ、大丈夫ですよ

 仲間のダイヤです

 今日の晩飯は、オオワシを使った料理になるんで、楽しみにしてくださいねぇ」


 ダイヤにびっくりして、みんなオロオロしているので、ダイヤには、その辺のパトロールを頼んだ


 そうこうしていると


「ヒロさーん、持ってきましたぁ!」


 あれ?クリス?わざわざクリスが来てくれたのか?


「大きな鍋も、持ってきたですぅ!」

「ちょうどよかったみたいだね

 オオワシを捌いちゃうね

 あっ、魔石は、お手伝い代でもらってもいい?」


 そうか、イリナとリネンはもううちの住人だから、サーヤが呼んだんだな?

 おいおい、ならば家賃代で、その魔石は俺のだろ?

 なんて思ったが


「ああ、頼む!

 クリス、荷台で、子供達は、寝れるかな?」

「はい、ここにいるお子さん達は、余裕を持って屋根がある場所で寝れますね」


 流石クリスだ、サーヤからの伝言だけで、ここまで準備してくれるなんて、ほんと出来る人だなw


「サーヤは、リネンを手伝ってくれるかい?」

「任せてぇ!

 また、唐揚げサイズと、今日はチキンソテーかな?そんな感じで切っとくねぇ」


「クリス、済まないが、子供達のシャワーをお願いできるかい」

「はい、着替えもリリスに言って、十二分に用意したので大丈夫です」


「イリナ、鍋を・・・」

「もう、火を着けたですぅ

 野菜を切るですぅ」


 なんだ、この手際の良さは?

 なんか、俺、要らないんじゃないか?


 街に入れなかった家族3組と、商人3人が、なんだかんだ言って1つにまとまり出した

 また、商人達は、自慢げに売り物の調味料や香辛料を持ち出して来て、使いながら、情報交換やら、売買交渉がはじまっている


 オオワシが裁き終わり、油に入れ始めた頃、遠巻きに見ていた冒険者3組も


「あのぉ、たいしたお礼は出来ないが、何か手伝うから、俺たちも混ぜてもらってもいいか?」


 と、ペコペコしながら近づいてきたので


「遠慮すんなって、同じ冒険者だろ?

 なら、ちょっと、食べる場所の用意を手伝ってもらえたら助かるな」

「ありがてぇ!

 お安いご用だぜ!」


 江戸っ子風に輪に加わった


「あのぉ、さっき、シャワーって聞こえたんですけどぉ

 それって、私たちも使ってもいいですかねぇ?」


 よそよそしく、2人の女性冒険者が聞いてきた


「あっ、気づかずにごめん

 使って使って、なんならコレ」


 と言いながら、クリスが手に入れてくれた石鹸を手渡した


 女性冒険者は、飛び跳ねながら喜んでいた


 料理も出来て、匂いに釣られてダイヤも戻ってきたところで、みんなで晩飯にした


 オオワシの肉は、唐揚げにしたら柔らかく、焼けば外パリ中ジュワッで、煮込めば出汁を吸って、最高の食材だ


 子供達が、喜びながら食べている


「ヒロさん?

 ほんと、ありがとうございます

 街に入れないとなった時は、どうしようかと・・・」

「いやいや、これは、その、こちらのテイラー商会のクリスのおかげだよ!

 困った時は、クリスに何でも相談してください」


 サーヤ達と一緒にオオワシのソテーを頬張っていたクリスが、ビックリした顔で反応する


「モグモグ、いっいえ、このくらい、パートナーとして当然です

 住居や仕事でお困りでしたら門を入ってまっすぐ進み中区にあるテイラー商会にいつでも相談に来てくださいね

 そちらの同業者様も、何かありましたら、テイラー商会をご利用くださいね」


 いい塩梅だw

 新しく街に入る前にクリスの名が売れて何よりだ


 しっかし、さっきから気になるのは、俺たちから、距離を置いて暖を取っている5人組だ

 一応イリナが誘ってみたが、完全フル無視されたらしい

 おいおい、河原でBBQしてたら、隣でやってますくらいの会話するでしょうが!


 見た感じ、冒険者風だが、目つきが凄く悪い、仲間内での会話もしているのか分からないくらい静まり返っている


 目線をくれると誰かしらがこちらを睨んでいるのが、どこか不信感を仰ぐ感じだ



 そんな事はさておき、みんなに唐揚げを振る舞っていた時に衛兵が近寄ってきた


「ヒロさん、そろそろ門を閉じるけど、本当にここで野営するのかい?」

「あぁ、この子達を放って置けないだろ?

 せっかくだから、揚げたてのオオワシの唐揚げでも食べて行きなよ」


 衛兵が、"やりぃ!"と、言いながら一気にかぶりついて、"あちあち"と、暴れ回って、周囲のみんなを笑わせていた


「クリスも明日があるだろうから、引き上げた方がいいんじゃないか?」

「え?いや、私は、パートナーとして、朝までお手伝いをしなければいけませんし・・・」


 クリスが、アワアワと食器を集め初めて、忙しい素振りを見せた


「クリス、ありがとう

 でも、パートナーだからこそ、クリスには、クリスにしか出来ない事をしてほしいな

 それと・・・」


 俺は、距離を置いて暖を取っている冒険者達の事をクリスに話し、冒険者ギルドのギルマスに伝えてほしいと伝言を頼んだ


「分かりました

 ならば、サーヤさんも一緒に戻る事にしてください」

「あぁ、そうしてくれ

 サーヤ、クリスと街に戻ってくらるかい?

 戸締りはしっかり頼むよ」


 そう言うと、2人は片付けをし始めた


 衛兵が、食べる事が止まらなくなってしまい、遂には、子供達の横に座ってしまった

 多分、子供が好きなんだろう


「おい、お前がヒロキ・クロガネか?」


 子供と楽しく話す衛兵を見ていたら、急に後ろから話しかけられた


 振り返ると、ガタイのしっかりした、騎士?ってこんな感じなのか?ってな感じの青年?にぶっきらぼうに声を掛けられた


「はぁ、そうだけど?

 何か?」


 返事をすると、その騎士?は、後ろを振り返り、誰かと話している


 ちょっと暗くて見えなかったが、騎士の横から、女性が姿を現した


「初めまして、私、アレク商会代表のクレアと申します

 レイ様・・・、街の代表のレイモンド様から、街に入れずに困っている方達がいると聞きまして、更に、その方達にお食事の準備をされている方がいると聞きましたので

 私共も何かご協力出来ないかと足を運んだのですが・・・

 まさか、あなた達でしたとは・・・

 何かの縁でしょうか?」

「はぁ、いやぁ、随分とご丁寧にすいません

 これは、あれです、その、趣味みたいなものですよ

 ほら、困ってる人は、ほっとけないでしょ?

 ってか、どこかでお会いしましたっけ?」


 さっきまで、雑談しながら食事を取っていたのに、この人達が来たら、静かになっちゃったよ

 衛兵なんて、急に直立不動になっちゃったし


『あら、ご挨拶は、もう済ませていたと思ったのですが・・・』


 "あっ"と、俺とサーヤが声を出した

 唐揚げに全集中していたダイヤも、顔を上げてこちらを見ている


「あっ、あぁ、馬車に乗っていた人ですか?」

「おい!お前、さっきから、随分と言葉が汚いようだが、こちらにおられるのはっ!」


 さっきの騎士?が、俺に食ってかかって来たが、クレアと名乗った女性が、右手の人差し指を立ててそれを制した


「ランディおやめなさい

 私どものせいで、国民を困らせてしまっているのですよ

 そして、その方達にお食事を提供されているヒロキ様に失礼でしょう

 このような事、簡単に出来ることではありません

 ヒロキ様、どうかアレク商会にもご協力をさせてもらえないでしょうか?」


 何なんだ?クレア?アレク商会?全然、分からないし、まぁ、手伝ってくれると言っても、あとは寝るだけだしなぁ


 断ろうとしたその時、いつのまにか横にあたクリスがひざまずいた


「クレア王女、誠に僭越ながら、テイラー商会という小さな商い業をしているクリスと申します

 こちらの冒険者のヒロさんとは、パートナー関係を結ばせていただいておりますゆえ

 ヒロさんの行動に関係するものは、私どもが、責任もって対応する事にしております

 どうかご理解いただけますようにお願いいたします」


 王女?何々?なんて言ったのクリスくん!?


「あら、素敵な方には、やはり、素敵な奥様がいらっしゃいますのね

 残念ですわ」

「いや、クレア王女、そんな、ヒロさんとは、パートナーで、そんな、奥様だなんて、

 えっ、私が妻なら今夜は・、あんな事やこんな事・・・」


 やばい、クリス暴走モードだ!


「クレアさっ、クレア王女!

 クリスとは、夫婦ではなくて、あくまで、パートナーです」


 あっぶねぇ、クレアさんって呼ぶところだったよwやばかったわ


「あら、そうなの?

 なら、少し、お話など聞かせてもらっても、問題はないかしら

 それと、先ほどから、凄くいい香りがするのですけど、何かしら?」

「王女こちらへ、ヒロさんが考案した、"唐揚げ"なる料理がありますので、宜しければご賞味ください」


 ん?クリスが、無理矢理、俺からクリスを引き剥がしたような気がしたぞ


 しかし、ランディと呼ばれた騎士が、さっきから、俺を睨む睨む、俺、なんかしたっけかなぁ?


「うーん

 美味しいですわ

 塩味の聞いたパリパリした中に、ジュワーと肉汁が溢れ出す

 クリスさん、これを売り出したら大変なことになりますわよ」

「さすがクレア王女!

 私もそう思っておりますが、これを作れる人が、ヒロさん含め、まだ、少ししかいないんです」


 あれ?何だ?クレアとクリスが意気投合し始めたぞ?


「お姉ちゃん!これも美味しいよ!」

「まぁ、こぉんな大きなお肉、食べたら、お腹が、ポンボコリンになっちゃいますわねぇ

 一切れだけいただきますわね」


 子供がクレアに近づいた時、ランディがビクッて動いたのには、笑えたな

 しかも、王女様をお姉ちゃん呼ばわりされたんだからなw


『おい、気を付けろ!』


 そんなやり取りを見ていたら、ダイヤから忠告が入った!


 背中に違和感を感じ振り向くと、離れた場所にいた冒険者達が、間隔を空けて近づいてくる


 ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ?


 1人居ない!


「ダイヤ!」


 俺は、大声を出して、クリス達の方にダッシュした!


 何と、クレアがこっちに走ってくる!

 あっ、さっきの念話が聞こえたのか?

 でも、こっちに来たら危ないんじゃ?


 と、考えていたら、俺の横を何かが通り過ぎた

 俺だって全速力で走ってるのに!?


「クレア様!」

「はい!」


 ランディだった!

 彼が、クレアと合流し、振り向いて、冒険者達に向かって身構える

 クレアは、ランディに背中を預け、何やら短剣のような物を構えている


 凄い連携だ


 しかし、こっちだって負けてない


 クリスと衛兵が子供達と親達を一緒に晩飯を食べていた商人の方に連れて行き、冒険者達が守る姿勢をとる

 イリナとリネンが俺の方に走ってくる


 ダイヤは、一瞬で俺たちと、目つきの悪い冒険者?達の間に入って身構えて牙を剥き出しにしている


 うん、みんな、凄い連携だねw


 で、俺は・・・・・・


 あれ?無防備?


 んで、俺は何すればいいんだ?


 と、間の抜けた顔で、クレア達を見たら、その向こうの、街を覆う壁(高さ約6m)に張り付く大きな蜘蛛?


 いや、蜘蛛かと思ったら、人だ!

 そいつが、壁を蹴って跳躍した!


 間違いない、狙いはクレア達だ


「壁だ!気を付けろ!」


 俺が叫ぶと、ランディが瞬時に反応して、降ってくる敵を下段から右上にかけて薙ぎ払うように切り裂いた


 ランディが壁側に向けば、クレアがこっちに向いた


 一瞬目があったが、真剣だ


 シュンシュンシュン!


 何か、風を切り裂くような音が聞こえた


 弓だ!


 間に合うか!


 俺は、ダッシュした


 4人いた残りの目つきの悪い冒険者達も、ダイヤに対して陣形を変え、両手剣を構えたヤツと片手剣を構えたヤツがジリジリと間合いを取っていたが、その後ろにいた2人のうちの1人が弓を放ったのだろう


 クレアが目を丸くして俺を見ている


 ダメかもしれない、だって俺、小手しかしてないしw


 どうする?


 すると、頬を掠めるように風が通り過ぎた


 風の精霊?


 あぁ、でも、どうしたらいいかなんてわかんねーし、弓の軌道なんて見えねえし!


 えぇいままよ!と、取り敢えずハリウッドジャンプをかます!

 頭だけは、小手をしている手で守る!


 カン!カン!ブスッ!


 え?ブス?


 ズザザザ、ザー


 無事では無いけど地面に着地!


 ブスって音の出所は?と、慌てて体をまさぐる


 イッタ!


 はい、左脇腹に刺さってますぅ!


 熱っ!脇腹が焼けるように熱痛い!


 はい、毒決定!


「イデデデ、クスリ、薬!」


 と、マジックバッグから、超回復薬と、毒消しを取り出して頬張って飲む!


「おい、大丈夫か!?」


 どっゴーン!


「グギャァァ」


「何々?」


 ダイヤの向こうの目つきの悪い冒険者達がいた場所で、物凄い大きさの火球が落ちて炎が上がった


 リネンだろう、手加減ないなw


「ふぅっ」


 と、ため息をついて俺は、ゆっくり立ち上がった、既に痛みはない


 腹に矢が刺さったままだが気にしない


「ひっ、ヒロ様?」


 クレアが、俺を心配して叫ぶ

 見た感じ、クレアは無事のようだ

 良かった良かった


「うおおおおりぁぁぁ!」


 そんな惚けているクレアと俺の間を獣の咆哮のような雄叫びを上げながら、白い鎧が走っていった


 イリナだ!


「クレア様、後ろに!」

「はっはい」


 ランディと背中合わせになり、周囲を確認しながら、ジリジリ回転して、リネンの魔法で燻っている方にランディが身構える


 イリナが躊躇なく煙の中に飛び込んで、"ザグ、ザグ"と2回、斬撃の音がした


 一瞬の静けさの後


「オールクリアですぅ!」


 と、言いながら、イリナは大火傷の2体の冒険者らしき人物を担いできた


 どうやら、前衛だろう


「ナイス、イリナ!怪我はないか?

 みんな、もう、大丈夫だよ」

「でも、ヒロさんは、大丈夫じゃないね」


 脇腹に刺さったままの矢をリネンにチョンっ!とされ、俺は、悲鳴をあげた




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ヒロキ殿、大丈夫か?」


 いきなり襲って来た冒険者達5名のうち3名は死亡、今は、並べられて、衛兵が調べている

 生き残った2名も、縄をかけられ、俺が超回復薬で火傷を治して、これから事情聴取されることだろう


 そして俺は、イリナとリネンに手伝ってもらって、脇腹に刺さった矢を今し方、抜いたばかりだ


 ってか、ついさっきまで、俺を睨みつけてたランディが、急に丁寧な喋りになってるw


「あぁ、もう、平気だよ」

「私が、1人の敵に気を取られていたせいで、危うくクレア様を・・・

 身を挺して守ってくれた事、感謝する」


 あぁ、そういう事ね

 でも、あれはあくまで、偶然矢を防げたから、いいものの、俺に矢が当たってなかったらどうなった事か・・・

 でも、一瞬、風が吹いて来て、"任せて"って、聞こえた気がしたんだよなぁ


 あっ、もしかしたらコレか?

 左腕の、ミサが作ってくれたミサンガを見つめ、ありがとう!とさすっておいた


「イヤイヤ、俺は、戦闘はからっきしなんで、体を張るくらいしかできなくてね

 なんとか、矢を防げて良かったよ」

「いや、鍛錬を積んでいても、咄嗟の行動が出来なければ意味がない、あなたの勇気は見上げたものだと思う」


 なんかこそばゆい言い回しで照れてしまう

 王族って、あんなあからさまに狙われるんだ

 命が幾つあっても足りないんじゃないか、って、あれ?


「あっ、もしかして、新規の人達を街に入れなかったのは、こういう襲撃に備える為?」

「あぁ、どの国でも、国の転覆や利権の争いはあるからな

 特に、クレア様には・・・

 しっかし、クレア様も、あなた達を見に行くと言われた時に、危険だからと何度も止めたんだ

 なのに、こうと決めたら、周りの事などお構いなしで、こちらの心配など全くもって・・・

 あっ、今のは、聞かなかった事にしてくれ」


 ははは、愚痴れるほど仲がいいんだろうなw


「クレアさっ、王女は?」

「レイモンドさんと戻られた

 あなたには、後でキチンとお礼をさせて欲しいとの伝言を預かった」


 イヤイヤ、そんなに大した事はしてないんだけどね

 そう伝言して、ランディは騎士らしく礼をして街に入っていった


「もう、いつもあんな風に無茶をしてるんですか?

 もう、もっと、鍛えるか、防具を固めるか、それとも・・・商人に徹するかにして欲しいですねw

 それはさておき、衛兵さんから、もう危険はないだろうから、皆さんの街に入る許可が。仮に降りたそうです

 まぁ、監視付きですけどね」


 クリスが、膨れっ面で半分怒りながら教えてくれた

 心配させちゃったみたいだね


 にしても、レイも、鼻からそうしてくれれば良かったのに・・

 あっ、そしたら、街の中であの襲撃が起きてたかもしれないのか?

 おぉ、くわばらくわばらw


 周りを見ると、街に入れると喜ぶ家族達や商人、それと冒険者達

 俺は、3家族のお母さん達に、余った唐揚げやソテーを特製弁当箱に詰めて手渡した


「何から何まですいません」

「お兄ちゃんかっこよかったよぉ」

「お腹痛い?痛いの痛いの飛んでけぇ!」


 ははは、ありがたい、痛みはもうないが、"おお、痛く無くなったぁありがとう!"と、大袈裟に驚いたりしてみせた

 そして、子供達の頭を撫でてお別れした


「さぁ、オレ達も家に帰ろうか?

 あっ、ダイヤ、色々ありがとな」

『フン、何もしとらんワイ

 馳走になった、また、頼むぞ!』


 なんだよ、その上から目線は?

 次からは、金取ろうかなw


「イリナ!結構、魔石大きかったから、早く換金しよ」

「おう!しようしよう!

 それで、美味しいもの食べるですぅ

 サーヤも一緒ですぅ!」

「やったねシロ!」

「ワン」


 はいはい、だーかーらー、うちの家賃は?

 なんて言えないね


 あぁ、超疲れたから、依頼の報告は、明日だな




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんと!失敗じゃと!

 せっかくの機会を拵えたのに・・・

 まぁ、良い、今回は、腐るほど機会がある

 よし、いつでも動けるように人だけは集めておけい」

「はっ!」


 どこかの路地で白髪の老人が、目の前に跪く人物に指示を出すと、その人物は、一瞬でいなくなった


「今に見ておれ・・・」


 白髪の老人は、遠く西の星空を睨みながらつぶやいた

お読み頂き感謝いたします、超七玉です

ちょっと簡単にライフィスでの襲撃事件を完結してしまった感じに思えますが、次へのステップと思って頂けたら幸いです

ありがとうございました

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