4、初めての人助けでスキル発動?
4、初めての人助けでスキル発動?
ワレは、ダイアウルフ!
部族の長もしていた事がある偉いダイアウルフなのだ!
今、ワレは、久方振りに悩んでいる
腹が減ってきた!
獲物はその辺にいるのだが、どうしても、焼いた肉が食べたいのだ
これまでは、あやつの分を分けてもらっていたのだが、最初から焼いて食べたいのだ
それをどうやって後ろを歩く人間に切り出そうかと悩んでおるのだ
しかし、今まで、出会った人間どもは、ワレの部族を散り散りにしたり
ワレを見れば、襲って来ておったのだが
コイツは、ワレを助けたばかりか道案内まで頼んできおった、
実に面白いやつなのだが、怒ると少々怖いのだ!(小声)
そのくせ、持ち物も持たずに出歩く始末、危なっかしいのなんの・・・
ダイアウルフの表情は、後ろを歩く者からは、見る事は出来ないが、実に楽しげな顔になっている
あぁ、もう、我慢できん
よし、ここら辺で・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『オイ!止まれ!』
ダイアウルフが、突然、念話で伝えて来た
俺は、仔犬を側に寄せ、しゃがみこむ
『そろそろ、昼にするぞ、火でも起こして、待っていろ!』
言うないなや、ダイアウルフが、風の様に飛び出した。
「キィっ」
と、甲高い何かの鳴き声がした
しばらくして、ダイアウルフが、鹿?の様な動物を仕留めてきた
『まだ、火は無いのか?』
いやいや、早すぎるでしょ。
俺は狩りを始めて見たので、かなりドキドキしながら、見入ってしまった
『丁度、あっちに湧き水がある。その辺りで飯にするぞ
今日は、最初から焼いたのを食べてやっても良いぞ!』
はいはい、とうとう、最初から焼きですか?
ちょっと、広めに火を起こした
ダイアウルフは、さも、役目は終わった、焼いてくれ!みたいな態度になっている気がする
出発してから3日目、狩りと料理で役割分担されて来た感がある
「何回やっても、捌くの慣れないんだけど、手伝ってくれよ」
・・・返事がない、手伝う気なしって感じか、仕方ない、今日もテキトーにやってみますか
ハイ、やり切りましたよ!
多分、相当、無駄にしていると思うけどね
今日は、朝飯を食べてないから早めの昼飯で、ゆっくりBBQって感じだね
そうだ、肉が焼けるまでの間、洞穴で手に入れた水筒でも、確認してみよう。
湧水入れても、漏れはないみたいだな
匂いは・・・、多少気になるけど、我慢しよう!
何回かゆすいで使うの決定!
『もうそろそろ良いのではないか?』
ハイハイ、焼き具合の確認ね、ってかさ、俺に会うまでは、生で喰ってたんだから、焼き具合なんかいいじゃんかぁ
と、思いながら、焼き具合を見て、枝を外して、まず2人?に提供する
俺は、もう少し火を通そう!
仔犬も、飯の時はダイアウルフの近くにちゃっかり陣取っているのが可愛いな
「あとどれくらいなんだ?」
この3日間で、かなり親しく会話出来るようになってきた
『そうだな、あと1日も歩けば着くのではないか?』
おお!やっと、こっちの人間に会えるぞ!
なんて声を賭けたらいいのかなぁ
「そうそう、今のところ、モンスター?に襲われたりしていないけど、この辺りって安全なのか?」
あまりにこれまでが順調だったので、聞いてみた
『安全ではないぞ
ワレもそうだが、誰もが、自分より強い相手には、挑まぬからな、この辺りに住む者供が、ワレより弱いのだろう』
ふぅん、ダイアウルフのお陰で襲われないって、もしかして、コイツめっちゃ強いのかな?
「じゃぁ、アンタがメチャクチャ強いから、襲われないって事なのか?」
沈黙されてしまった、不躾な質問だったかもしれない
『実は、ワレらの種族は、それほど強くはないのだ、ただワレが、少々長生きをしているから、他の者より少し強いだけなのだ。
それにこの辺りは、そんなに魔力も強くないので、住み着く者供もそれほどでもないのだ』
そうなんだ、ちょっと言いづらい事聞いちゃったかな、と、思ったら
『もしや、お前は、ワレがこの世で1番強いとでも思っていたか?
それならそれでも構わぬぞ、も少し敬い、肉を多めに焼いてくれても構わぬからな』
「ぶっ!」
思わず、食べようとして持ってた串肉を落としそうになった
「いやいや、強いのは分かるけど、言葉遣いが、尊大だからさぁ」
『ハッハッハ、すまなかったな
部族を治めていたからな、あいつらを従わせるのには、ついこの様な口調になってしまったのだ、許せ』
なんか、始めて笑ってくれた様な気がする
「仕方ないもう少しだけ焼くとするか!
残りは、次まで、とっておくからな
それと、この角みたいなの、カッコいいからもらっていいか?」
『おぉ、焼いてくれるなら、何でも良いぞ
魔石は、無かったがな』
現金なやつだな、まっ、このバッグに、肉を入れたらどうなるか試せればいいか
その辺の木の皮と大きめの葉っぱで包んで試してみよう
早めの昼食後、歩き出して他のモンスター?に襲われず、ダイアウルフが言うには、残り1日くらいの所まで来た時だった。
俺たちは、ダイアウルフが人間とは会いたくないというから、ちょっと歩きづらいが獣道の様な所を歩いていたんだけど、どうも、街道の方から、喧騒の様な音が聞こえてきた
「争いごとみたいだな」
『フン、見てきてやるから、ゆっくり降りてこい』
頼む!と声をかけ、笠やぶを街道に向けて降りて行く
数分後、つむじ風が舞ったかと思ったら、隣にダイアウルフが伏せていた
『どうも、ゴブリン共が、人間を襲っている様だな』
そう聞いて、気になって、ちょっとした丘の上から街道を覗き見てみた
馬車が1台、それと、周囲に3〜4人の人影が、それを囲む様に、緑色の子供の様な奴らが15〜6体かぁ
どうなんだろう、撃退出来るのかな?
いや、1体?デカいのがいる!
神嬢ちゃん所にいたやつくらいか?
どうする!俺!
目の前に、困っている人がいるぞ!
「なぁ、アンタ、あのデカい奴と戦ったら勝てるか?」
しばらく悩んだが、やっぱり助けたい!
遠回しに人間に味方しろって言っちゃてるけど、大丈夫だろうか?
『まぁ、負ける事はないが、何故、そんな事を聞くのだ?
人間の為に戦う気など無いぞ』
だよな、部族を滅ぼされてるんだもんな
でも、ダメなんだよ、助けられるかも知れないのに、見て見ぬ振りなんて!
「分かった、人間には、近付かなくていい
あの、デカいのを牽制してくれるだけでもいいからさ
ダメかな?
俺だって、アンタの事、助けたじゃんか、頼むよ!」
ダイアウルフが悩んでいる
分かるよ、人間を恨んでるもんな
馬車の周りの人間を見ながら、歯軋りしているようにも見える
『手は出さぬ!それが条件だ!
だが、お前に勝てるのか?』
「ありがとう!
間違いなく勝てない!
でも、ここで何もしなかったら、俺、後悔するから」
『死んでも、知らぬぞ!
ならば、ワレの背中に乗れ!
お主は、ここに隠れていろ』
「ワンっ!」
仔犬は、分かったのか、吠えた
「じゃぁ、頼む」
言って、ダイアウルフの背中に乗った
「ウォォォォォォォン!」
ダイアウルフが遠吠えをした
馬車の周囲のゴブリン達が、こちらを見上げる。
その隙を突いて、1人がゴブリンに切り掛かっていた
『身を屈めて捕まっていろ』
刹那、ダイアウルフが丘を駆け降りる!
速い!
しかも、背中に乗って改めて分かったがデカい!
足が地につかない
あっという間に馬車の手前まで来た、と思ったら、急に止まりやがった!
俺は、惰性で、弾き飛ばされて、馬車の後ろまで転がった。
「誰だ!」
さっき、ゴブリンに切り掛かっていたと思われる男が剣を構えながら怒鳴った
「イッテェ!
とっ通りすがりの者です」
ぜってぇ、どこか擦りむいてるよ
「はぁっ?通りすがりぃ?冒険者か?」
今度は、ナイフみたいな武器で、数体のゴブリンを牽制している小柄の人に聞かれた
「すいません、素人です」
「ちっ」
2人の後方で、杖を構えてる人に、"ちっ"って言われてしまった
前方に黒焦げの物が何体か転がっている、魔法なのか?
「っぎゃぁぁぁ!
大きなダイアウルフまで、出てきちゃったですぅ」
反対側で、デカいゴブリンと対峙してると思われる人が叫んでる
「大丈夫だ!そいつは・・・俺の友達だ!
人間には手を出さない!
牽制だけしてもらうんで、なんとかしてくれ!」
「はぁっ?アレが、友達だとぉ!
まったく!
お前、取り敢えず、そこに座ってるのを頼む!」
振り返ると、女性が2人、1人は車輪にもたれかかっている。
「分かりました!」
四つん這いで、急いで近づく
「大丈夫ですか?」
と、声をかけながら状況を確認したら、1人は左の鎖骨辺りに何かが刺さって、服が血で濡れていた
矢か?
馬車を見たら、何本か、同じ物が、刺さっていた。
もう1人が、答える
「すいません、介抱しようと試みたのですが、何をしたら良いか・・・」
大丈夫!震災の時は、こんなもんじゃなかった!
俺は、自分の顔を両手で叩いた!
バシっ!
「大丈夫!なんとかなる!」
俺は、そう言って、肩に矢の刺さっている人に向かい合い
「名前は言えますか?
肩以外で痛い所はありますか?」
と、救急対応訓練で、習ったテンプレを言った!
「みっ、ミサです。
他は、だっ大丈夫です。」
「ありがとうございます、傷口を見ますよ」
と、なかば強引に襟を広げて、傷口を覗いてみた
刺さった矢の周りが、少し紫色に変色していた
「毒とかですかね、何か、処置できる物ってありますか?」
そう尋ねて、俺は、頭の中で、どうする?と、自問自答をしていた
「ばっ馬車に売り物の毒消しがあります!」
と、隣の女性が叫んだ!
「貴女は?」
「はい、商人のクリス・テイラーです」
はっきりと名前の言える、意思の強い人と見た!
クリスにそれを2本持ってきてもらうよう頼んだ
「貴女なら出来ます!」
「わっ分かりました!」
クリスさんが、馬車の荷台に入ったのを確認して、俺は、ジャケットを脱ぎ、残り少ないTシャツを脱ぎ、またジャケットを来た
ナイフで、Tシャツを下から、螺旋状に切って、包帯状にする
次に、矢尻が背中側に出ているのを確認して、肩の前と後ろで、矢を切って、出ている部分を少なくして、服を矢から外す
ミサの左肩があらわになってしまったが、仕方ない
そして、バッグから、3種類の草を取り、手で揉み擦る
「持ってきました」
クリスが、小瓶を持って来た
「これの使い方は?」
素人質問だったかも
「のっ飲むんです」
だよねー!
クリスに飲ます方を任せて、俺は、もう1本を無造作に傷口にぶっかけた!
「きゃっ」と、ミサが叫んだ
「ごめん、でも、我慢して!」
そして、その後、揉み擦った草を傷口(矢の周り)に塗り、余った残り少ないTシャツを前後に当てがい、包帯で矢を肩に固定していく、多分痛いと思うけど、抜かない方がいいと思った。
その時、
「きゃあ!」
クリスが、俺の後ろを指さして叫んだ!
俺は、振り向いた
「緑!」の奴が、舌なめずりをしながら近寄ってきた
「ごめん、何匹か、そっち行っちゃった
魔法はもう撃てない、そっちでなんとかして!」
杖の人が叫ぶ
既に、1匹目のゴブリンは、何かを振りかぶって、振り下ろす動作に入っていた
詰んだな!
咄嗟に左手で、頭を庇ったが、その腕を何かで叩かれた!
ドガっ!
「イッテェよコノ!」
喧嘩なんて、何十年ぶりだよ、頭にきて、右手で殴り返した!
ボグッ!
フギャっ!
相手の胸元に当たってくれたらしい
よろめいた1匹目が後ろの2匹にぶつかる
左手は、見たくない!ぜってぇ、グチャってる
俺は、何かないかと、バッグに右手を突っ込む
洞穴で手に入れた石達を思い浮かべて手を握る
「野球部を2ヶ月で、辞めた男を舐めるなよ!
目にでも突き刺さりやがれ!」
そう叫びながら、手にした数個の石を俺は力一杯投げた!
石達が手を離れる瞬間、手元が眩く光った!
思わず目を瞑ってしまった
シュッ!✖️7
ザクッ!✖️6
ギャァぁぁぁっ!✖️3
ドサっ!✖️3
目を開けるとゴブリン達が、仰向けに倒れて、顔を押さえながらジタバタしていた!
チャンス!
駆け寄って、ゴブリンの横顔を思いっきりトゥキック!
鉄板入りの編み上げ安全靴が炸裂!
2匹目は、力み過ぎて、空振りして、尻もちを突いたが、すぐ立ち上がって、3匹とも動かなくした。
その時、
「どりゃぁっせぇぇぇい!」
馬車の反対側で怒号が飛んだ
ズンっ!と、地響きが鳴る!
「よっしゃぁぁぁ!です!」
デカいゴブリンを倒したのかもしれない!
グギギギギ!
ゥギャッウギャ!
とか、訳の分からない喚きが聞こえてきた!
残っているゴブリンは、2〜3体だろうか、後退りしていき、そのまま、走って逃げて行った!
「ふぇぇっ」
と、情け無い声を出して、小柄な人が、その場にへたり込む
「ミサ!大丈夫かっ!」
と、剣の人と残りの人達が、ミサに駆け寄っていく
『大事ないか?』
「キャン!キャン!」
振り向くと、ダイアウルフが俺の横で、他の人間達から、視線を逸らさず話しかけてきた
仔犬は俺に飛びついて来た
「あぁ、なんとかな!
でも、ありがとう、手伝ってくれて、嫌な事させちゃったな」
『何もしとらんわ、アヤツが、ワレに気を取られているうちに、人間が倒しただけの事だ』
「ねぇねぇ、コレ凄いね」
と、小柄な人が、何かを持ってきた
よく見たら、螺旋状の柄で先端が尖ったバーベキューの串の様な、物だった
「冒険者じゃないって言ってて、ちゃっかりこんな武器持ってるなんて、びっくりしたよ」
小柄な人が、言っている事が、分からない
聞けば、俺が投げたのが、これで、それぞれのゴブリンの顔に刺さっていたらしい
俺が、ゴブリンを蹴る時は、無我夢中だったし、アイツらは顔を手で覆っていたので分からなかった
「そっそう、そう?
いやぁ、ワルイワルイ、慌ててて、回収するの忘れてた」
と、差し出された、串?を回収した
いやはや、一体何が起きたのか、さっぱり分からない、これは、あとで検証だな
そこへ、デカいゴブリンを倒した人が、倒れているゴブリンにトドメを刺しながら、こちらにやって来た
全身鎧?のその人は、ダイアウルフの前まで来て、兜を脱いでお辞儀をした
「さっきは、ありがとうです
君のお陰で、ホブゴブリンを倒せたです」
頭を上げると、ショートカットの女の子が、満面の笑みで立っていた
『フンっ人間如きが、礼などしよって』
と、満更でもなさそうだ。
「通りすがりのにいちゃん、最初は、何者かと思ったが、助けられちまったな
ミサの応急処置もありがとな
俺はタガートだ」
と、右手を差し出して来た
俺も、右手を差し出した
「ヒロだ、迷惑じゃなかったかな?」
へたり込んでいた俺を起こそうとしてくれている
立ちあがる時に、無意識に左手を地面について思い出した
うん、超痛い!
立ち上がり、すぐに腕をさする・・・
袖をまくる・・・
真っ青な青タンになっているが、グーパーは出来るし、膝も動く、腕も曲がってない!
もしかして、マジで、怪我をし難い体になってる?
何はともあれ、人助けから発生した、初めてのモンスターとの戦闘(横入りだけど)は、かろうじて生き残れたらしい
ゴブリンを蹴った足に、まだ、感触が残っているが、これが異世界なんだと少し実感した気がした
読んでいただきありがとうございます
ちょっと、長くなりそうだったんで、途中で切りました
よろしくお願いします




